三菱電機の不正

三菱電機が長期間に渡って品質検査の不正を繰り返していたそうですね。
日経の記事によると、拠点によっては、1980年代から不正が行われていたそうで、非常に長期間不正が行われていたそうです。
また、調査報告書によると、国内22製作所中、不正が発覚したのは14製作所でした。
特別な拠点で長期に不正が行われていたわけではなく、組織全体で不正が萬栄していたようです。
また、どのような背景が長期不正を助長させてしまったのでしょうか。

一つ目は、”どうせ顧客にはバレない”という意識が大きな要因ではないでしょうか。
例えば、報告書によると、列車用無線装置の検査でも不正が行われていたそうです。
顧客と契約した温度条件と異なった条件で、消費電力の検査を実施していたそうです。
このような不正をされても、顧客が検知するのは非常に困難なのではないでしょうか。
納品された製品を、温度環境を変えて、消費電力を調査する必要があります。
また、そこまでやって、”検査結果が違うのでは?“と三菱電機に言っても、”やり方が違う。素人に検査は難しい”と言われてしまいそうです。
そもそも、よほど製品不良がない限り、三菱ブランドを顧客は信じてしまうのでしょうか。

二つ目は、競合が少なく顧客に対して有利な状況にあった事も要因だったのではないでしょうか。
日経業界地図2022の鉄道車両製造業界を見てみると、鉄道車両用電気部品の最大手は三菱電機で事業売上高が1兆3円億円弱。
その他のプレイヤーも多くいるものの、東芝はモーターに特化し、富士電機は、駆動システムなどに特化するなど、領域が分担されているようです。
そのため、上記であげたような車両用無線装置などの分野では、目立った競合がいなかったのかもしれません。
目立った競合がいない場合、多少品質に問題があり、”契約していたものよりも電力の消耗が激しいかも?”と感じても、製品を切り替える事ができません。
そのため、不正をしていても、業績には問題がなかったのかもしれません。

三つ目は、業績数値重視の経営文化が影響していたのかもしれません。
記事を読むと、納期に間に合わせるために、検査を省いたという供述が見受けられました。
品質などよりも、目先の納期、目先の販売というのは、売上、利益重視のカルチャーの可能性があります。
実際に、2018年度からのアニュアルレポートを見ていくと、社長メッセージで、2020年に売上5兆円超え、営業利益率8%以上という目標が毎年繰り返し発信されていました。
これからは、かなりの仮説になってしまいますが、いわゆるザ・サラリーマン的な企業は、売上・利益などの数値目標重視の傾向が高いように思います。
良い大学を出て入社するステータスの良い企業では、所謂、偏差値などの目に見える指標での競争を好む人が多いのではないでしょうか。
そのような人たちが、社長になると、新しいミッション・ビジョンなどを示し、企業を導くのではなく、〇〇年までに売上・利益〇〇億円というわかりやすい指標で経営しようとするのではないでしょうか。
そのような傾向は、財閥系ではさらに顕著なのかもしれません。
そのため、三菱電機ももれなく分かりやすい売上・利益重視の経営を長らく続けてしまっていたのかもしれませんね。



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