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お遍路

全長1200キロの四国遍路
お遍路は約1200年前に空海が歩いた道を、修行の道として巡ることから江戸時代に流行が始まりました。

ことしは札所を逆の順番に回る「逆打ち遍路」を行うと御利益が3倍になるといわれるうるう年ですね。

衛門三郎と空海(諡号:弘法大師)

天長年間の頃の話である。
伊予国を治めていた河野家の一族で、浮穴郡荏原郷(現在の愛媛県松山市恵原町・文殊院)の豪農で衛門三郎という者が居た。三郎は権勢をふるっていたが、欲深く、民の人望も薄かったといわれる。
あるとき、三郎の門前にみすぼらしい身なりの僧が現れ、托鉢をしようとした。
三郎は家人に命じて追い返した。
翌日も、そしてその翌日と何度も僧は現れた。
8日目、三郎は怒って僧が捧げていた鉢を竹のほうきでたたき落とし(つかんで地面にたたきつけたとする説もあり)、鉢は8つに割れてしまった。
僧も姿を消した。実はこの僧は空海であった。
(注釈:天長年間の空海は、京にあって東寺・高尾山寺・金剛山などで説教していました。物語の年代には高僧であり、托鉢僧ではありませんでした。弘法大師の諡号は死後のもので空海と呼ぶのがふさわしい。)

三郎には8人の子がいたが、その時から毎年1人ずつ子が亡くなり、8年目には皆亡くなってしまった。悲しみに打ちひしがれていた三郎の枕元に空海が現れ、三郎はやっと僧が空海であったことに気がつき、何と恐ろしいことをしてしまったものだと後悔する。

三郎は懺悔の気持ちから、田畑を売り払い、家人たちに分け与え、妻とも別れ、空海を追い求めて四国巡礼の旅に出る。
二十回巡礼を重ねたが出会えず、空海に何としても巡り合い気持ちから、今度は逆に回ることにして巡礼を続けた。その途中、阿波国の焼山寺近くの杖杉庵で病に倒れてしまう。

空海に詫びる衛門三郎、最期の願いを聞く空海

死期が迫りつつあった三郎の前に空海が現れたところ、三郎は今までの非を泣いて詫びた。
空海が「望みはあるか」と問いかけると、三郎は「来世には河野家に生まれ変わり人の役に立ちたい(石手寺刻版には「伊予の国司を望む」)」と託して息を引き取った。
空海は路傍の石を取り「衛門三郎」と書いて、左の手に握らせた。
天長8年10月(石手寺刻版では天長八年辛亥のみ。杖杉庵縁起では天長8年10月20日。)のことという。
(注釈:天長8年には空海は病を得ており、大僧都を辞する旨上表したが、天皇に遺留された時期である。阿波国には行ってない事になる)

翌年、伊予国の領主、河野息利(おきとし)に長男の息方(おきかた)が生まれるが、その子は左手を固く握って開こうとしない。息利は心配して安養寺の僧が祈祷をしたところやっと手を開き、「衛門三郎」と書いた石が出てきた。その石は安養寺に納められ、後に「石手寺」と寺号を改めたという。石は玉の石と呼ばれ、寺宝となっている。

納札(おさめふだ)を打つ
納札は遍路者が各霊場の本堂や大師堂に奉納する札。
表には名前、裏に願い事を書く。(住所は書かない)
空海と巡り合って詫びようとした衛門三郎が、自分の存在を空海に知らせるため、名前を書いた木札を堂宇の柱に打ち付けたことに始まりとされる。
現在は紙製であるが、かつては木や金属の札を打ち付けたため、今でも霊場寺院に参拝することを「打つ」と呼ぶ。

弘法大師の意思は今も四国巡礼の旅をされているのかも知れませんね、たまには逆打ちも良いかも知れませんよ。しかし、大師様と巡り合うのは死期かも知れない。

石手のお薬師さん
(道後温泉のほど近く、子宝と健康の祈願が叶うとされる、1300年の歴史ある神秘の寺で、熊野十二社権現(くまのじゅうにしゃごんげん)を祀る道場。本尊は薬師如来で、鬼子母神も祀られている。四国八十八ヶ所霊場の第51番札所)

四国は人口が少なく、お寺が多い
要するに檀家が少ないので、お遍路さんの志(納経料)がないと霊場を維持できない状況にある。京都の寺の御朱印に比べれは、四国は三分の一程度の納経料なのでお遍路には良いですね。

播磨西国三十三ケ所+客番1寺
播磨国にある観音霊場巡りは四国に倣ったものです。
江戸時代初期に慶雲寺の南室和尚(1591年 - 1671年 大悲弘済禅師)により選定されたとされる。
兵庫県南西部の書写山圓教寺、御嶽山清水寺、法華山一乗寺などを含む三十三ヶ所
天台宗、真言宗、臨済宗、曹洞宗の寺院を巡る。

新西国三十三箇所
播磨西国三十三ケ所同様に観音巡礼の一つ。
正式には「新西国霊場」であるが、四国の札所は入っていない。
西国三十三所に含まれない関西の広域札所を巡る。
関西全域の観光巡礼にも適するが、書寫山圓教寺を含まないのは残念。

播州薬師霊場(ばんしゅうやくしれいじょう)
播州地域(兵庫県南西部)にある薬師瑠璃光如来を祀る霊場のこと。
播磨国四国三十三ヶ所札所と範囲は重なるが、播州札所は全て天台宗の寺院からなる。
三十三ヶ所+客番1寺

播磨国と播州は同じ地域を刺します。

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