知りえないこと

母である貴女が掴む朝の光は、彼女達には知り得ないことであって
貴方が父である日々の夜の色は、私には知り得ないことであって
私が娘であったことの苦しみを、知り得なかった父の苦しみを
知ろうともしなかったあの頃の私と、すべてが透けて見える今の私は
一生すれ違ったままで輪廻をまわり続けて

守るものがあることの歓びと、慈しみのチャンスを知り得ない
沢山の彼女達の苦しみを
誰も拾ってもくれず悟ってもくれないことを彼女達は自覚している
自覚しているが故に光の摩耗しない鉛筆の芯のような美しさを
どこにも、時間を、繋げない 
繋げなかった彼女達の、彼女達への愛おしさを
知りたかった魂達は毎晩バトンを枕元に置いていく
星屑のあいだを彷徨ったあとに、後継者を求めて


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