灰色の、時の、

『セメントの記憶』を観てきました。初、ユーロスペース。
https://www.sunny-film.com/cementkioku

王の墓
高層ビル
安い大量の服
システムの導入
奴隷の労働と無縁の記憶は
私達にあったのだろうか

治水は必要だったのであろう
人々のために
ピラミッドは必要だったのだろうか

灰色の昼の刻々の合間に
そのときに唯一の青き虹色を運ぶ海の匂い
灰色の夜の端に
地球上で最も広い朱色の東雲

昨日の続きの今日に
瓦礫の山のうえで救援に勤しむ人々は
おなじ私達だったのだろうか
瓦礫の隙間に潜り、挟まる体を見つける貴方は
おなじ私達だったのだろうか
瓦礫から抜けずに最後の表情を送った君は
おなじ私達だったのだろうか

死に、語る アッラー
朝ぼらけに掲げる アッラー
問いかける術を もはや持たない私を
凝結する空に留める アッラー


崩れ落ちなかった国で
空を埋葬して
先週とは異なる商品と商品の間に
転がる日常を詠う

今は崩れ落ちなかった街で
毎日が違う様に彩られる人生は
すべての色が混ざり合って
儀式のための黒に終わる

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