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マレーシアの大地に生まれる、中国アリババ式スマートシテイ

はじめに 
ASEANの大都市、クアラルンプールの憂鬱
進化する大都市【スマートシテイ】
クアラルンプールから世界へ【中国−マレーシアの1大プロジェクト】
結びに

はじめに

この記事をご覧になっている皆様は今どちらにいらっしゃいますでしょうか?世界のどこかの大都市でしょうか?それとも長閑な田舎で読まれているでしょうか?

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(古代の都市国家から人類は都市に住み続けた)

21世紀にはいってすでに20年以上たった現在、世界の人口の半分以上が都市へ生活する時代に入りつつあります。私たちが当たり前のように暮らす都市は、高度な管理の下になりたっておりますが、近年はより高いデジタル化が進みました。
今回は進化し続ける都市を、マレーシアと中国の実例からお話しさせていただきます。

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ASEANの大都市、クアラルンプールの憂鬱

マレーシアのクアラルンプールに行かれたことは皆さんありますか?クアラルンプールはマレーシアの首都であり、東南アジア諸国【ASEAN】の中でも中核都市です。人口はクアラルンプール単独ですと180万人ほどですが、クアラルンプール都市圏では約700万人と想定されています。

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(世界でもっとも高いツインタワーを皮切りに、マレーシアの政治経済の中心地でもある)

所得や社会水準を長く向上させてきたマレーシアは、先進国入りを目標に掲げており、首都であるクアラルンプールも大きな変貌を遂げてまいりました。

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(日本を参考にするLOOK EAST POLICYなど、ASEANの中ではトップクラスの経済力を備えているマレーシア)

一方で都市の成長に応じて人口の過密化や、都市圏の拡大は避けられません。クアラルンプールも同様であり、一説によると人口180万人に対し自動車は400万両あるとといわれております。https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E9%9A%86%E5%9D%A1

公共交通機関の拡充も図られてきましたが、都市内の渋滞は大きな社会問題となっております。

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(調査によると毎日クアラルンプール市民は平均50分を渋滞の中で費やしている)

https://blog.getmyparking.com/2019/09/20/the-real-facts-of-traffic-jam-and-parking-issues-in-kuala-lumpur/

また隣接する都市圏との再開発や、今後のASEAN内で競争性を維持するための都市づくりという課題も同時に迎えている状況です。

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(つながる社会というのは、競争に日々さらされることでもある)

進化する大都市【スマートシテイ】

クアラルンプール市内の渋滞問題、都市開発問題に今取り組んでいるのは、中国のアリババグループ(阿里集團)です。
ご存じのようにアリババはすでにECサービスから大きく業務を拡大しており、その中には、都市開発事業も手掛けております。代表的な事例としてはアリババ本社がある中国杭州市を、デジタル化-スマートシテイ化(智慧城市)があります。

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(杭州の交通状況や、戸籍や病院などの行政処理、納税業務まですべてのデジタル化を実現したデータブレインー數據大腦)

既に中国国内では10都市以上のスマートシテイ実績があるアリババは、2018年よりマレーシア政府と契約を結び、道路交通システムや行政サービスのデジタル化支援とデジタルプラットフォームの運営を開始つつあります。

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(マレーシアのデジタル経済を推進することも同プロジェクトでは期待されている。正式プロジェクト名はマレーシアシテイブレイン計画-
馬來西亞城市大腦計劃)

同プロジェクトの初期課題となるクアラルンプール市内の交通渋滞緩和については、【アリババの持つデータソリューションによる交通状況の観測及び予測によって、市内の移動時間の12%が減少できる】とされています。
また今後も幅広いデジタル化を推進するための、施策も発表されております。代表的な例としてアリババ主導の人材育成が発表されており、1000人の高度デジタル人材の育成と、300社のスマートシテイ関連企業の立ち上げなどです。

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(デジタルによってつながる街と人づくりが、マレーシアの地で中国企業が進めつつある)

アリババ、ひいては中国企業初の海外スマートシテイプロジェクトは、その先の新しい未来を見据えた計画も兼ねそろえています。

クアラルンプールから世界へ【中国とマレーシアのの1大プロジェクト】

マレーシアの最大貿易相手国は2009年以来中国であり、近年もOne belt one road-一带一路 計画の盛り上がりによって、結びつきを強めつつあります。

その一端として中国企業や中国資本との国土の共同開発計画も進みつつあります。近年ですとマレーシアの東海岸とクアラルンプール、さらにはシンガポールを結ぶ鉄道網の協同計画が記憶に新しいといえるでしょう。

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(変更や遅延等の問題もあるが、東海岸をマレー半島全土と連結するのが目的といえる)

この中でクアラルンプールも隣接地域に新しい都市の開発を目指しております。
クアラルンプール都市圏全体を変える計画は【Bandar Malaysia-大馬城】と呼称されており、この新しい都市全体のデジタルインフラの整備にアリババが協力するという点も発表されています。

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(マレー半島の隣国である、シンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道の終着駅、さらにはIT産業の集積地としての期待がBandar Malaysia計画が担っている)

国家プロジェクトである以上、マレーシアの国内情勢によって変更があるのは避けられないことです。しかし中国発のプロジェクトがどこまで伸長するか私個人としては非常に期待しております。

結びに

日本でもトヨタ社主導の、コネクティッド・シティが注目を浴びつつあります。
その一方、中国がすでにスマートシテイをビジネスモデルとして海外進展しつつあります。日本の都市開発がどのような未来図を描いているにせよ、中国の事例は重要な参考事例になるはずです。

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(富士ふもとの日本式のデジタル都市は、どのような発展を遂げるのだろうか)

筆者連絡先
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Wechat ID:YUKIKATOU888


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