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中国百円ショップからNASDAQ上場!【Minisou-名創‐メイソウ】の躍進

はじめに
メイソウとは?
洗練された生活を届ける、新しい価値観の伝道者
コピー製品、パクリという世間からの視線               徹底した価格追求と商品
結びに

はじめに

近年中国を集める、中国企業のNASDAQ上場やIPO。2020年11月にはアントファイナンシャル‐蚂蚁集团の上場が予定されていますが、上場で注目をあびているのはテック企業だけではありません。

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(史上最大のIPOとされるアントファイナンシャルの上海‐香港同時上場。)

広東省の広州市から始まった雑貨店が今、中国のライフスタイルを代表して、アメリカのニューヨークで上場を準備している。一昔前の中国では想像がつかなかった状況です。                    【Miniso‐名創優品】が武器にするのは【低価格+低利潤】と、築き上げてきたシンプルで機能的な【世界観】。

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(10月15日のニューヨーク株式市場にての上場式。)

広東省が生んだチャイナドリームについて、今回お伝えしていきます。

メイソウとは?

メイソウは、現在世界80か国の地域と国に展開しており、4200店舗を数えております。2013年に広東省広州市に中国での第一店舗を展開後は、中国国内と世界全体で毎月80‐100店舗という速さで店舗拡大を目標としています。

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(2016年段階のメイソーの進出図)

過去にはテンセントからの10億元の投資を獲得しており、中国国内の各金融機関からの有力な投資先と目されています。2019年の売り上げは約180億元とされています。2017年の売り上げ額120億元と比較しても、短期間での成長が見て取れます。

ほとんどの店舗は加盟店舗形式をとっており自社店舗は全体の約3%、フランチャイズ戦略での拡大が中心です。今回のIPOを通じてより一層の企業規模の拡大は確実でしょう。

創業者は葉国富氏で湖北省出身、1977年生まれです。メイソウが2度目の企業にあたる同氏は、【ゼロからビジネスを始めた、中国の優れた起業家】【中国青年企業家TOP50】に選ばれました。

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(もともとはブルーカラーとして中学校を卒業後、金属加工の営業として働いていた。21歳の時に小売業に身を投じた)

現在はメイソウという名前で展開していますが葉国富氏は以前【哎呀呀】という、女性向けのアクセサリーや装飾品を販売する店舗を展開しておりました。メイソウは哎呀呀の発展店舗ともいえるでしょう。

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(2004年に起業された哎呀呀。順調に成長した同ブランドは、広東省の地場優良企業にも表彰された)

 メイソウが取り扱っている商品は生活雑貨を中心としており、値段は日本の150円に相当する10元前後の商品群が中心となっております。中国では同様の10元ショップというビジネスモデルは以前から存在していました。

その中でメイソウはその中で最も高いブランド認知度を獲得しているといえるでしょう。多くの中国の10元ショップは【田舎臭い】【商品が洗練されていない】という印象付けがされており、メイソウが起業した直後も、まずは業界全体の印象を変えることが必要になっていました。

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(従来の10元ショップ。1元からの商品も販売されているが、洗練された店舗は少なく、農村などの田舎を中心に個人経営が中心だった)

洗練された生活を届ける、新しい価値観の伝道者

名称から想像できるかもしれませんが、日本風の製品₌【日系:日式のデザインやブランドイメージ】を中心に据えており、初めて見た日本人や中国人の中には【メイソウは日本での展開が中心だ】と誤解してしまうほどです。

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(販売されている商品の多くに日本語の商品説明がされており、商品の宣伝にも日本風の紹介がされている)

同社の方針としての日本風を打ち出すにあたり、メイソウのデザイナーとしては日本人の三宅氏が名前を連ねています。三宅氏は代表の葉氏が直接足を運んで口説き落とし、共同経営者としての参画を了承。くどく落とす際には、【葉氏が半年で10回も中国から日本に足を運んだこと】に心を動かされたそうです。

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(その一方で三宅氏の経歴やデザイナーとしての実績が日本では報道されていないことから、三宅氏はあくまで名義貸しではないかという議論が日中で絶えない。同時に日本の会社住所も、所在の真偽は明らかになっていない)

メイソウが現在の日本風のブランドイメージを打ち出したのは、葉氏が日本旅行の際に大きな衝撃を受けたことが原因とされています。葉氏が訪れた100円ショップでは多くの顧客がにぎわっており、しかも日本人が購入しているの100円ショップの製品の多くは中国製。この時に中国の10元ショップとの差を痛感したそうです。加えて日本で中国人観光客が日本製だからと信じて購入している製品の多くが中国製であることから、ブランドイメージを日本式にすることを決断しました

コピー製品、パクリという世間からの認識

日本風のブランドイメージを確立したメイソウですが、その一方劣悪なコピー店と見なされる風潮とも向かい合う必要がありました。中国では【山塞‐山賊やよくわからない人が扱っている商品】という概念がありますが、山塞としてメイソウはやり玉に挙げられることになりました。         メイソウという名前も、日本ダイソーグループや良品計画との類似性、さらにはユニクロのロゴとの類似性を指摘されています。

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(2015年には製品の多くが中国製であるという指摘から、訴訟や法廷闘争に発展しかけた)

この指摘に対し葉氏をはじめメイソウとしては、【日本の多くの企業から学ばせていただいた】と話しています。事実としてメイソウは中国国内で従来の10元ショップの既成概念を乗り越え、若者への新しい価値観を伝えるという戦略は成功しております。                     同時期に現れた多くの競合他社、特に日本文化や韓国文化を参考にした他店舗がつぶれる中で、メイソウが成長し続けるのは自社ブランドへを信頼してくれる顧客がいることを裏付けています。良品計画やユニクロといった日本企業も競合としてメイソウの実力をすでに認識しています。

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(メイソウの成功を基に中国では、ライフスタイルの伝道師を目的とする企業が成長している。北欧のライフスタイルとデザイナー陣を掲げて【NOME】という競合企業も展開を続けている)

徹底した価格追求と商品群

代表の葉氏が企業戦略として挙げている特徴、そして経営理念として【低価格+低利潤=企業の成功】があります。一説によるとメイソウで販売されている商品の95%は、多企業店舗で4倍から5倍の価格で販売されています。【他企業の3分の1から3分の2の価格で商品を提供し続ける】、これがメイソウの重要戦略です。

具体例として下記をご紹介いたします。下記はメイソーと良品計画無印の収納箱で、非常にデザイン-材質ともに酷似しています。その一方でむ無印は15元、メイソーは10元と3分の2の価格設定。この10元という価格をはじめ、多くの商品が中国のEC市場よりも安く設定されております。

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(テレビ局による無印とメイソウの商品の比較。外観からは判断不可)

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(同じく比較動画。無印よりもわずかに材質が薄くなっており、価格の維持に向けて徹底的な管理を行っている)

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(同じく比較から、詰め替え用のボトルがメイソウだと10元、無印では25元と、ここでも価格差が目立つ)

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(2019年と2020年に特に売れ筋であった商品の一部。いずれも10元の商品群)

また近年ではその設計や商品の美しさへの評価を獲得しつつあり、2018年にはドイツの国際デザイン賞である、iFデザイン賞を4部門で獲得しました。2019年では1億元を販売商品の開発設計費に充てており、今後も自社商品の拡充に努めるとのことです。

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(iFデザイン賞では4つの商品で表彰されることになった)

商品の高い回転率も注目されており、従来の雑貨小売店の1.5倍から2倍の商品展開によって、常に新しい顧客層の開拓が目標となっております。

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(マーベルや中国国内の人気ゲーム【王者荣耀】のコラボをはじめ、積極的なコラボレーションが継続している)

結びに

すさまじい速さでビジネス環境が変化する中国。特にインターネット産業をはじめとするニュービジネスと小売業界の融合は、目覚ましい状況です。

【メイソウが今後も小売りで成長するのは間違いありません。中国の小売業界の変化は事実ですが、日本や欧米諸国では成功している小売りはたくさんあります。素晴らしい商品を安価に届けるメイソウの強みがある限り、私たちは成長できるでしょう】。葉氏は語っています。

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(データ化が進む社会においても、メイソウの自身は揺らがない?)

その一方で中国国内での競争相手は増えつつあり、特に今年10月にはアリババグループが1元ショップ事業の開始を宣言しました。1元ショップがライフスタイルの【伝道者】という地位を作り上げられるかは不明ですが、強力な競争相手には間違いありません。

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(アリババグループの宣戦布告が始まる?)

また商品の品質への追求が厳しくなっていく今、メイソウの上場がどのように左右するか、注目していくべきでしょう。

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(2019年のメイソウの経営状況。この数字が今後どのように変化していくのだろうか?)

画像元及び参考情報源

https://www.toutiao.com/a6890345953140670979/

https://baike.baidu.com/item/Nome/22583744?fr=aladdin

https://www.toutiao.com/a6884117627958985229/

https://www.toutiao.com/a6876418633757786637/

https://zhuanlan.zhihu.com/p/40364068

https://www.sohu.com/a/301332302_748132


筆者連絡先

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