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数字やデータの裏に隠れた人間の感情

先日、熊本市の遠藤教育長にお会いして素晴らしい統計の読み取り方を学んだ本気で語る会のマサです!
メディアや役所が公表したデータの数字だけから判断せずに、
統計の全体や地域の特性を考慮してみると、
目には見えない人間の感情に気づくことができます。
今回はその隠された真実と感情について考察します。

1 長期欠席と不登校の違い

「長期欠席児童・生徒」とは、年度間(4月1日から翌年3月31日)に通算30日以上欠席した児童・生徒をいいます。

文部科学省”児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査

「不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。

文部科学省 不登校の現状に関する認識

学校に行かないこどもはみんな不登校ではありません。
様々な理由学校に行けないこどもがいます。
令和2年度の統計がこちらです。

これだけを見ると、自分が住んでいる都市の数字だけを見てしまいますが、
他の都市と比べてみると驚く数字に気付けます。

2 登校と不登校の二項対立

この統計の違和感を教えてくれた遠藤教育長からの的確な問いがこちらです。

熊本市は長期欠席の8割が不登校です。しかし、中には5割を切っている都市もあります。この違いはどのような意味があるのか。

遠藤教育長との対話より

ハッとさせられました。
言われてみれば確かに!
統計をそんな視点で見たことがないマサです。
なぜ自治体によって不登校の割合がこんなにも違うのか。
とある教育委員会の方に聞いたところ、
長期欠席の理由が不登校だけでなく他の理由が重なると、
その子どもは「不登校」ではなく「その他」の理由になるようです。
不登校を選んでいても不登校にカウントされません。
そのような統計だから不登校の数が減ったのか。
それとも意図的に不登校を減らしたのか。
この数字にどのような感情が隠れているのか。
真意は不透明なままですが、地方の学校には「不登校=情けない」という風潮がまだ残っています。
学校に行くことが目的化している典型例です。
教育の目的は学ぶことです。
登校することが目的ではないはずです…。

3 認知件数の大きな違い

こちらはいじめの認知件数の統計です。

お気付きでしょうか。
新潟の割合が飛び抜けています。
にも関わらず、新潟のいじめ解消率は9割を超えています。
他にも解消率が同率の都市はあります。
新潟が解消率を上げるために認知件数を上げているわけではありません。
この数字に出ている新潟の狙いは何か。
雪が多い地域ではどのような考え方が育まれているのか。とても気になる統計です。
最後に、雪にまつわる驚愕のエピソードがあります。

4 除雪にかかる莫大な費用

ICTやRST(リーディングスキルテスト)など、教育界でも社会の変化に追いつくために様々な対応が求められています。
中でも整備費や人件費に四苦八苦しているなか、
遠藤教育長は新潟市の教育委員会の方からこのようなことを言われました。

今年は雪が少ないから、そのくらいの費用なら何とかなりそうです。

度肝を抜かれました。
雪が多い地域では除雪は死活問題です。
毎年、多額の予算を準備しています。
雪の降り具合によって予算を教育に回せることを知った時に、
雪がほとんど降らない熊本は一体何に予算を回しているのかと、
遠藤教育長は原点に立ち返ったようです。
言われてみれば確かに!
除雪費用など考えたことがなかったです。
当事者意識を持たないことは問題ではないですが、
他の自治体と予算の比較をしてみると意外な発見があると思います。
そこで、マサが勤務している学校と同じタイプの学校で教務規定を比較してみる提案をしてみました。
幸い、管理職が肯定的に受け入れてくれたので実行してみると、
単位数やホームルームなどの違いを発見しました。
生徒のデメリットになる規定は減らしていけるように提案している最中です。

このようなきっかけをくださった遠藤教育長には頭が下がります。
短い時間のお話でしたが、驚きと気付きの連続でした。
お会いできる機会は限られていますが、
学校外での学びをこれからも大切にしていきます。
上記の統計のご意見や、マサの解釈の誤りなど、皆さまからの御指南もいただきたい次第です。
お待ちしております。
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