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バスキアが27歳までに描いた衝動

天才とは27歳で亡くなり永遠となる
27歳で才能のある有名人が亡くなるジンクスは果たして神のイタズラなのだろうか。27クラブという言葉があるように今軽く記憶にとどめているだけでも、

カートコバーン

ジミ・ヘンドリックス

ジャニス・ジョプリン

ジム・モリソン

最近だと、エイミー・ワインハウスあたりが記憶に新しい。そして、ジャン=ミシェル・バスキアである。彼も27歳でその短い生涯を終えており奇しくも『27クラブ』の会員となってしまった。

そんな現代アートの旗手であったバスキアだが彼の名を一躍有名にしたのは、元ZOZOTOWN社長の前澤友作氏である。彼がオークションで過去最高額で有名なあの作品を落札することで世界中にMaezawa、Basquiat、ZOZOの名前が知れ渡ることになる。現代アートの価格とは、絵画そのものに値付けされると言うより作家のアイデンティティや生き様、死に様、作品群たちのインパクトによって価格に転化されてく。前澤友作氏がつけた『123億円』という金額は途方も無い額だ。だが一度高騰したバスキアの名が落ちるということはない、彼はもう新しく作品を作れないのだから。。。

バスキアが活動したのは10年間、作品数3000点。美術家として考えると作品数は多いように思う、彼が何を考えどのように作品をビルドしていったのか感じる機会に恵まれた。

バスキア展

昨年秋、森アーツセンターギャラリーで『バスキア展』が開催された。前澤友作氏の作品も貸し出され鑑賞可能ということもあり長蛇の列で平日週末問わず1時間以上の待ち時間があったように思う。

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やはり、目的は123億円の前澤友作氏の作品である。作品によって写真撮影可能なものと不可なものがあり恐らく所蔵している人間の判断に委ねられているのだと思うが、

みんなに見てもらいたい

と公言していた前澤友作氏らしく写真撮影が可能であった。

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ご覧の通りの人気で人が多く近づけないwそれでも、遠くから見るこの作品は確かにひときわ存在感があった。絵からエネルギーを感じるのである。

確かにバスキアというアーティストがそこに居たのだ

という、存在感を感じることができた。ゴッホやシャガールをはじめてみたときも思ったのだが、そのネームバリューが大きすぎて実在したのかしないのか教科書に出てくる偉人レベルだとイマイチリアリティにかける感覚がある。それは絵画集や教科書、ネットやスマホの液晶画面で見る『二次情報』であり実際に自分で作品の目の前に立つ『一次情報』では受けるインパクトが大きく違うのである。

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ジャン=ミシェル・バスキア Untitled, 1982 Yusaku Maezawa Collection, Chiba Artwork(C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

この作品の名前は『無題』つまり、タイトルはないのである。バスキアは黒人であり、アートの勉強(美術のトレーニング)を受けたことがないストリート出身であり貧しい暮らしの出自の人だ。ヨーロッパ至上主義の美術の世界において勉強してなくとも、情熱とエネルギーでサブカルチャーの壁を壊した最後のフロンティアだったのではないかと言われている。

バスキアの尊敬するアーティストにアンディーウォーホルがいる。ギリギリ同世代を生きた彼らは親交もあり、バスキアはウォーホルから影響を受けさらに現代アートへの傾倒が深まったと聞く。

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黒いピカソの異名を持つバスキア。作品の殆どがこのようなテイストである。ピカソの場合は繊細な人物画や風景画を書くこともあったが、バスキアは美術のトレーニングを受けていないのもありで生涯作風が大きく変わることはなかった。

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バスキアは日本にも度々来ており、その時の印象を描いた作品も残している。『YEN』の文字は日本円の『円』である。バスキアの絵は理屈ではなく、狙ってこの様なエネルギーあふれる表現ができることに大きな特徴があると思っている。バスキアやピカソのようなテイストを評して

子供の落書きのような絵画だ

意味のある作品に思えない

と。そんな評価を下す人間がいる、分からなくはないが逆に考えたらわかるはずだ。

狙って大人が、美術家がこの様な作品を作れることの方が稀有である

作品に意味を見出すのは後世、前澤友作氏のようなビリオネアの美術コレクターかもしれないしMoMAのような機関か、画商かもしれない。だが、この絵に意味がある価値があると評価された額が123億円なのだ。バスキアは現代においてそんな金額で評価されるアーティストだということが唯一の事実である。

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パット見、幼稚園の壁にでもかかってそうである。でも、よく見てほしい瓶ジュースの蓋が並べられその間にアルファベットが、、、意味やメッセージがあるのかもしれないが、エネルギーや若さ特有の勢いを絵の前に立つと感じることができた。先程から、勢いとかエネルギーとか作品の印象の話が中心だったが、バスキアはとても繊細な人で自身の死の直前、尊敬して憧れたアンディーウォーホルの死に直面する。それ以前から作品作りや創作活動、メディア露出に悩んでいた彼は薬物のオーバードーズで旅立ってしまう。

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写真で見ると分からないかもしれないが、この作品は死の直前に作られたものでかなり大型の作品である。だいたい畳4畳ぐらいあると思しき大作である。絵画というより、文字の羅列記号の羅列にしか見えない。日本のカルチャーに影響を受けたバスキアらしく中央に描かれているのは富士山ではないかと言われている。 繊細なバスキアの心模様を移すかのような邪悪なコウモリがいたり、同じような文字の連続も見られる。

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バスキアは、容姿も端麗だったことから人気に拍車がかかりプライベートも記事にされるような芸術家だった。この彼の写真を見て頂ければわかるが非常に繊細な表情をしていると感じる。苦悩、焦り、生き様、死に様すべてがバスキアというアーティストの作品のひとつなのである。絵の解釈、捉え方難しく考えず彼の作品を今後見る機会に恵まれたなら見ることをおすすめしたい。

前澤友作氏の言動や行動は度々物議を醸すが、バスキアというアーティストを世界に知らしめた功績は認められて良いと思う。こちらの映画も彼を知る一助となるはずであるのでオススメしておく。


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