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152 「これでいい」と「完成」は違う

このnoteをどう書いているか?

 書きたいことがあって書くときもあれば、なにも思い浮かばないままに書きはじめることもある。今日は後者。つまり、いまなにを書こうか、と考えながらこれを書いている。
 当初、数個の案を常にメモしておいて、その中から書けばいいと思っていた。しかし、いざはじめてみると、152回の今回に至るまで、そのメモを使ったのはわずか2回か3回だけだ。
 通常は、朝、微睡みの中で漠然と思ったことを書くようにしているけれど、最近はなぜかその微睡み時間があまりなくて、大したことを思いついていない。というのも、いま別の小説に取りかかっていて、今月に入ってから「今年はその2作品を完成させることが目標だ」と自分で決めたのである。小説を書きはじめると、正直、ほかのことはすべてどうでもよくなっていく。これはとても語弊のある言い方なので、もっと丁寧に書くべきことなんだろうけど、それぐらい、小説には魅力もあるし、同時に将棋で言えば百手千手先まで読むような作業を繰り返すことにもなって、自分のキャパシティを全部費やすことになってしまうからだ。
 こうやってすでに500字近く書いてしまってもなお、きょうのこのnoteがどのような結末になるのかはまったく見えていない。
 オチのある話は、基本的にオチから遡って考えるべきで、そこにストンと気持ちよく落ちるように工夫すべきだと思うけれど、私はこのnoteでその種の完成度を一度も考えたことはない。すべて「なりゆき」である。
 だいたい2000字になったらやめるのである。
 それまでは、こうやって文字を並べていく。とりあえず、やってみる。あとで遡って修正することはあるかもしれないが、いまはこのまま続けるしかない。ここで止めると、まったく進まなくなることもあるからだ。
 このnoteの目指すところは、自分ならではの文章を毎回書いていこう、そしてそれがなんの役にも立たないとしてもぜんぜん気にしないでいよう、少なくともいまのAIにはこういう文章は書けないだろうと思いつつ、楽しく書こう、と決めている。
 苦しんで書いてはいけない。それだけは、過去151回、まったく苦しんでいない。

未完成のまま発表する

 それは、ある意味、完成を目指していないのである。未完成のまま公表する。未完成のまま発表する。そういう、ずるさ、あるいは脳天気さである。
 どうしても、完成しないと世に問うてはいけない、との考えから抜け出せない時期があった。それをぶっ飛ばしてくれたのは、否応なく締め切りのやってくる世界のおかげである。
 はじめて雑誌編集をやったとき、「この日に入稿しなければ間に合わない」という締め切りが怖くてしょうがなかった。たいがい、間に合わないのを横で見ていたから、自分が責任を持つ場合だって、そうなるに決まっているから。
 しかしそのうち、いいことを思いついた。とりあえず、間に合ったものを突っ込んでおくのである。
 さすがに校正が出てから「すべて差し替え」なんて言ったら印刷所にぶん殴られるので、そういうことはしないけど、校正が出てから修正して完成に持っていくのである。もし、自分の部下がそんなことをしていたら、きっと「そういうことはしないように」と注意するだろうけど、自分が責任者で部下もいないのでぜんぜん平気だった。
 そのうちに、だんだん締め切りに間に合うようになっていき、いつしか、部下がついたとき、「締め切りは絶対に守れよ」なんて偉そうに言えるようになっていた。
 だけど、どうしても間に合わない部下には、自分がやったことを「非常手段」として伝えて、最悪の場合は印刷所に嫌がられることを覚悟で校正時に原稿の差し替えもやった。殴られるのは私ではないので、平気である。
 コツというより度胸と言った方がいいけれど。
 いまこうして書いていて、「いや、まてよ。本当に『完成』なんてあるのかな」と思ってもいる。
 とりあえず「これでいい」はあるとしても「これで完成だ」は、まずないのではないか。だったら完成前に発表したっていい。「いまは、これでいいんだ」と納得できていればいい。
 そう思うと、少なくともこうして、すでに1700文字も書けているのである。これは、「いい加減にやる」と言えなくもないけれど、一種のコツでもある。阪神タイガースが優勝を「アレ」と言い換えたのと同じだ。「完成」を目標にせず「これでいい」を目標にする。それだけで、私の場合は、かなり楽になるし、楽しめるようになる。
 もちろん、苦しみに苦しんで完成を目標にすることもいいことだ。それを否定しているわけではない。場合によっては、「これでいい」を目標にしたっていいのではないか。
 これでいい、と判断する基準については問題が多く含まれているけれど、とりあえずこれで2000字になるところなので、今日のところは終わりにしておきたい。オチはないです。

雲海20240222



 
 

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