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165 投資は勉強が必要か?

投資関係の詐欺って

 投資関係の詐欺が成立しやすい理由はいくつかある。
 ・投資は勉強が必要、という思い込み。
 ・投資はよき指導者につけば失敗しない、という思い込み。
 ・投資は楽して儲かる、という思い込み。
 ・投資で失敗したくない、という不安。
 ・自分がやるからには、投資でしっかり稼いでみせる、という思い上がり。
 ・きっと特別な情報を得ている人だけが儲かっているのだ、との勘ぐり。
 だいたいこんな感じだろうか。
 たとえば、日経平均株価とはなにか、とか、株価と収益性、利回り、債券、金利、商品市場との関係などなど、言葉をいろいろ知っておいた方がいいことは確かだ。その意味では「勉強」であろうか。
 だけど、メカが好きな人は、別に専門の教育を受けなくても、用語については自然に覚えてしまう。それと同じように、もし投資を好きになれたら、こうした用語を誰かから教わる必要はほとんどない。数冊、本を読むかネットで証券業界や東証の提供している資料で十分だ。
 そうそう、最初に、東証などを含めた日本取引所グループのサイトへ行くといい。この中に「株式投資を知る・学ぶ」といったコンテンツがたっぷり入っているし、セミナー情報もある。
 たとえば「平均株価とはなにか?」「金利が上がると債券価格が下がるのはなぜか?」といったことぐらいは知っておきたいのである。
 この段階で脱落した人は、詐欺に引っかかりやすい。そもそも投資をそれほど好きにはなっていないのだ。

好きになりすぎないことも大事

 投資に夢中になり過ぎると、足元をすくわれてしまうことがある。歴史上、多くのトレーダーたち、専門家たち、投資好きのお金持ちがやらかしてきた失敗の数々を想像してほしい。
 ぜひ教えて欲しいと思いたくなるようなすごい人たちも失敗してしまうのが、投資なのである。
 トレーダーのように会社の社員として売買をして大失敗しても、クビになるだけ(犯罪の場合は逮捕されるけど)。でも、一般の投資家にとっては、大事な財産を失うわけだから、将来にわたって大きな禍根を残す可能性が大きい。
 預貯金が大好き、という人がいる。タンス貯金はやめておいた方がいいけれど、通帳なりスマホのアプリなりで自分の口座残高を見て、ニヤニヤできる人である。
 ところが、預貯金好きも、ある程度、距離を保った方がいい。
 客観性を失ったとき、投資でも預貯金でも、失敗をしやすいからだ。
 そこは、ある程度は「非情」であった方がいい。冷笑しながら見ているとちょうどいいのではないだろうか。
 なぜなら、預貯金も投資も、最後にはおカネに換えなければなんの意味もないからだ。使うことではじめて価値を持つ。この使うタイミングを逃さないことがもっとも大事なことだ。
 よく投資は「不要不急ではない余裕資金でやりましょう」みたいなことを言うのは、実は、この「使い方」にこそ、心を砕いて欲しいからだろう。余裕を失うと、ミスをしやすいのは、投資に限らない。
 ではこの余裕資金とは、どれぐらいの余裕だろうか?
 少なくとも1年は運用できるおカネである。できれば10年単位で手をつけなくてもいいおカネである。

ここで自分の失敗を

 私は一時期、金融関係の編集、ライターをやっていた。さまざまな専門家に取材もしてきた。金融機関の人たちの話も聞いている。
 その自信からか、100万円を元手に自分なりのデイトレをはじめたことがあった。結果からすると、上記のような余裕資金ではなかったことが敗因となって、むしろ多大な借金生活に入ってしまった。
 調子のいいときは、150万円ぐらいにすぐになる。これは景気は関係なく、落ち着いてやれば誰でも可能だ。ところが、フリーランスの仕事はあまりにも不安定で、おカネのあるときとないときの差が激しく、この資金を崩して生活費に補填してしまった。
「この仕事をやり遂げれば50万円入る予定」とはいえ、それがいつ入るかは大きな問題である。出版が伸びて、支払いも延期になる。50万円のはずが「いろいろ事情があって今回は40万で」と値切られることもある。最悪のケースでは忘れもしないが某社は10万円だけ振り込んであとはトンズラされてしまった。小額訴訟でもしないといけない話である。そんな余裕はない。
 ということで、あえなく投資生活は終わるのである。
 私の知り合いはもっと激しく投資にのめり込み、博打のようにやってしまい、最後には姿が見えなくなってしまった。元気らしいけど。
 投資は、バフェットもそうだが、自分の資質、そして資金と相談してやれる範囲でやる。企業の成長を狙うのもいい。世界経済の成長を狙うのもいい。単にインフレを狙うのもいい。
 投資で失敗する確率を減らす方法だけは知っている。まず「長期」(10年以上)で考える。「一つのカゴに盛らない」(分散投資)。「タイミングを狙わない」(小額ずつ定期的な積立式=ドルコスト平均法)。
 いまは、もう私には余裕資金はゼロなので、とても投資をする気にはなれないけれど。
 あまりにもつまらない詐欺に引っかかる人が多いらしいので、ついこんな「当たり前」のことばかり書いてしまった。
※ドルコスト平均法は、アメリカの投資教育で言われたはじめたみたいなので、ドルだけど、日本なら円。毎月定額(1万円ずつなど)で投資するか、あるいは毎月同じ量を投資する(1株ずつなど)ことでリスクを最小限にできるよ、という話。

夢の光景。完成、かな。


 
 
 

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