見出し画像

AIイラストが無断転載されても、証明が不可能って話 @ 話題にされない大問題

はじめに

みんなは「AI絵師」だとするの。

みんなは画像生成AIを使って、何度も何度もガチャを回して、やっとの思いで生成した画像をTwitterに投稿したわ。

そんな画像を見つけた私は、その画像をダウンロードして、Tシャツやスリーブに印刷して、グッズ販売を始めたの。

翌日、そのグッズ販売を見たみんなは驚愕。
すぐにグッズ販売を停止させたいと考えたとするよ。

では、突然ですが問題です。

【問題】

グッズに使われている画像。
みんなが投稿した画像であると証明する方法を答えなさい。


答え:ほぼ不可能

「生成した際のログやプロンプトがある」
「クラウドサービスの履歴がある」
と回答した人は、残念ながら不正解よ。

確かに、その方法なら「みんなが画像生成AIを利用して画像を生成した証明」にはなるよね。

もう一度、問題を振り返ってみるよ。

【問題】
グッズに使われている画像。
みんなが投稿した画像であると証明する方法を答えなさい。

必要なことは「グッズに使われている画像」「みんなが投稿した画像である」と証明することなの。

みんなが生成した画像とグッズに使われている画像が同じだと証明しなくてはならないのに、みんなが生成した画像の証明だけしても意味が無いのよ。

この先に進む前に、画像生成AIについておさらいよ。

画像生成AIは、膨大な量の画像の傾向を学習して、傾向に基づいた画像を生成しているの。
だから、学習していないものを生み出す事は出来ないのよ。

「でも、存在しないものを生成できているじゃないか」

それも正解よ。

混乱している人の為に例を示すわ。

例 )
林檎とバナナの写真を学習したAIがあるとします。

出来ること:
林檎みたいな皮を保つバナナの写真を出力

出来ないこと:
さくらんぼの写真を出力

解説:
AIは林檎の皮を傾向から学んでいる為、バナナの皮を林檎の皮に置き換えたような写真を出力出来ます。
しかし、さくらんぼの傾向は学んでいない為、出力できません。
学んでいないならと、さくらんぼとは入力せずに「小さな赤い果実」と入力しても、小さい林檎が出力されるだけです。
人間は想像でさくらんぼの絵を描くことが出来るかもしれませんが、AIはデータに基づく出力しか出来ません。

画像生成AIは、データに無いものを生み出す事は不可能で、出力する画像が必ずしもユニークな画像であることが保証されているわけではないの。

もしかしたら、みんなが生成した画像も、他の人が既に生成したことのある画像と同じかもしれないってことよ。

仮に、みんながログや履歴を見せても、私が「私もAIで出力しました」と言ってきたらどうする?

この場合、私が使用した画像を私が生成していない証明をする必要があるわけだけど、そんな事って出来るものかしら。


生成物には著作権が機能しない

画像生成AIで生成したものでも創作的寄与があれば……という話があるの。
今回は著作権が認められた生成画像があると仮定するわ。

みんなは著作権のある生成物を無断転載した人を著作権侵害で訴えることが出来るかしら?
答えは「出来ない」のよ。
証明が出来ないのだから、仕方ないわ。

画像生成AIで出力した生成物に対して、仮に著作権が与えられたとしても、証明出来ないから著作権が機能しない事になってしまうの。

そもそも今回の場合に著作権を認めると、同じ画像に2人の著作者が誕生してややこしい話になるというケースも出てくるはずよ。
(創作的寄与の話は、こうならない為にオリジナリティを追加しろ、という話だと思ったり思わなかったり……)


これから必要になる事は?

「電子透かし」を知っているかしら?
データの中にデータを埋め込む技術よ。
これからは電子透かしを使って、いつ誰が何を使って画像をAIで生成したのかを埋め込む時代が始まるの。
これで証明が出来るようになるわけね。

AI利用者の中には、AIを利用したことを記録されたく無いという変わった人もいるけれど、それは自由の代わりに安全性を捨てるようなものよ。
どうすれば安全性を確保できるのか、頭を使って考える必要があるわ。


これで解決……?

……にはならないわ。
先程も書いた通り、同じ画像を生成する人が現れる可能性があるの。
だから、信用できる透かしが2つ存在し、同じ画像が2枚存在するようになる可能性すらあるわ。

それにグッズ化の為に印刷した場合、印刷された画像から電子透かしを確認することは難しいの。
目に見えないように埋め込んでいるから、データという形では無くなった時点で証拠が失われてしまうから、太刀打ち不可能よ。

ウォーターマークについては、除去できるAIが既に開発されているから意味は無いし、どうしようもないわ。

これらのことから、証明は不可能なのよ。


AI絵師が一番議論すべきこと

創作的寄与がどうので著作権があるか否かとか、無断転載がどうとかよりも、著作権が与えられても著作権が機能しない現状を、どうやって打破するか、について議論すべきではないかしら。

意味のない著作権を与えられても、意味がないのよ。


最後に

画像生成AIで生成した画像に著作権って必要かしら?
画像を自動で大量生産出来ることが、生成AIの強みなのに、わざわざ著作権を手に入れる為にこだわる必要ってあるのかしら?

趣味レベルでこだわって作ってますとかなら分かるけど、稼ぎたいだけなら不要よね。
なんなら著作権侵害を訴える時間で大量に生成した画像を売れば、更に稼げるじゃない?

著作権にこだわる必要って、実は無かったりしないかしら?
非効率なことを効率化しようとして、更に非効率化しているような状況にも思えるし、一度考えてみると良いと思うの。

なぜ著作権にこだわるのかをね。


あなたの意見もコメントで教えてちょうだい。
noteやTwitterのフォローもよろしくね。
Twitter:https://twitter.com/1tr_j


PR
Twitterでアンケート中!!
回答や拡散をよろしくね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?