ほんのひととき

“旅や本にまつわる読みもの”を日々お届けするウェブマガジンです。月刊誌「ひととき」の人…

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“旅や本にまつわる読みもの”を日々お届けするウェブマガジンです。月刊誌「ひととき」の人気連載や特集の一部、文化・歴史をテーマとする書籍の内容や、ウェブ限定記事もお楽しみいただけます。[運営]株式会社ウェッジ ✉️honno.hitotoki@wedge.co.jp

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    「そうだ 京都、行こう。」の30年

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    そうだ 京都、行こう。 御朱印帳BOOK春夏版

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    ひととき2024年4月号【特集】福井 北前トラベル─。越前港町の記憶を歩く

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    君たちはどの主義で生きるか ~バカバカしい例え話でめぐる世の中の主義・思想~

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    旅する台湾・屏東(へいとう) あなたが知らない人・食・文化に出会う場所

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  • あの日の音

    音をテーマに、史実をベースとして歴史的、運命的な一瞬をひもといていく短編小説。「NISSAN あ、安部礼司」などラジオドラマの脚本多数を手掛ける北阪昌人さんによる連載です。

  • ほんのひととき編集部が気になった記事

    ここでは、旅と本のウェブマガジン「ほんのひととき」の編集部が気になったnoteをまとめています。おもに、旅や文化歴史にまつわるもの、本や書店を紹介したもの、ほんのひとときの記事をご紹介いただいたものなど。

  • 旬・美・遊

    旬のおでかけ情報をはじめ、気になる新刊や新商品、見逃せない展覧会や伝統的なお祭といったご当地の話題など、さまざまなトピックをお届けします。

  • 「ほんのひととき」からのお知らせ

    「ほんのひととき」に関するお知らせをまとめています。編集方針やメディアで紹介された情報など、ゆるくたのしくをモットーにお伝えしてまいります。

  • 笹岡隆甫 花の道しるべ from 京都

    華道家元・笹岡隆甫氏による連載コラム。花にまつわる絵画や伝統芸能などの文化・歴史的背景を探り、さらなる花の魅力をお伝えします。

記事一覧

刻太鼓の音|文=北阪昌人

ドンッドンッドンッ!  体に響く音で目が覚めた。私は眠い目をこすりながら、ヘアゴムで髪の毛を結ぶ。ベランダの窓を開けると薫風と共に、工事の音がやってきた。  そ…

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デ・キリコ展が10年ぶりに日本で開催

 20世紀を代表するイタリア人画家ジョルジョ・デ・キリコ[1888〜1978]の大回顧展が東京都美術館で開催される。  本展では、約70年の画業の中で生まれた作品100点以上…

特別展「教壇に立った鷗外先生」|文京区立森鷗外記念館

若干20歳で“先生”に  森鷗外(本名・林太郎。文久2[1862]-大正11[1922])は、明治17(1884)年~21(1888)年のドイツ留学後、陸軍軍医学校、東京美術学校(現・東…

[こどもの日]書店員さんに訊く、親子で楽しむ絵本3選(神保町・ブックハウスカフェ)

こどもの日を記念して、親子または祖父母と孫で読むのにおすすめの本について、神保町のこどもの本専門店&カフェ「Book House Cafe(ブックハウスカフェ)」の書店員・岩切…

【文学フリマ東京38】絶対手に入れたい5冊

皆さん、こんにちは。 5月19日に開催される「文学フリマ東京38」に、ほんのひととき編集部として初出店することになりました! さて、そんな些末なお知らせはさておき、今…

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【伊勢志摩サミット】いけばなを通して日本の風景を伝える|笹岡隆甫 花の道しるべ from 京都

サミット史上初、“会議室”にいけばな2016年5月、G7伊勢志摩サミットの会場装花を担当した。サミット史上初めて“会議室”にいけばなを飾ることができたという意味で、記…

常連客として暮らすー那覇の町で|宇田智子(古書店店主)

 69年前の『琉球新報』の夕刊に「あの町この街」というコラムが連載されていたのをたまたま知って、那覇の泉崎にある沖縄県立図書館に行った。  ぶあつい縮刷版を繰る。…

【旅するリラックマ】カワスイ 川崎水族館(神奈川県川崎市・最終回)

「世界の美しい水辺」がテーマのカワスイでは、多摩川からアジア、アフリカ、南米の熱帯雨林まで、世界中の淡水魚を各地域の自然を再現したエリアに展示。パンタナル(南米…

「扇の日」にちなんで

5月1日は「扇の日」です。 この日を記念日に制定した京都扇子団扇商工協同組合のHPには、その理由が次のように記されています。 平安時代は扇に和歌をしたため、相手に想…

【石山寺】大河ドラマの主人公紫式部ゆかりの滋賀・大津市へ

 紫式部が『源氏物語』の着想を得たといわれる滋賀県大津市の石山寺。その境内の明王院に「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」がオープンした。映像やパネル、衣装や小道…

【GWにおすすめ】2024年4月、とくに多くのスキを集めた記事をご紹介します!

新年度を迎え、まもなく1か月が過ぎようとしています。さくら、藤、ツツジとつきつぎに咲き誇る春を彩る花々に、心を踊らせてきた方も多いのではないでしょうか。 今日は…

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近代建築の巨匠・谷口吉郎が修学院離宮で体感した「音」の妙趣|偉人たちの見た京都

谷口吉郎は、日本の伝統美を生かした建造物を数多く設計した建築家です。主要な作品には、藤村記念堂、石川県立美術館(現・石川県立伝統産業工芸館)、東京国立博物館東洋…

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【奈良国立博物館】特別展「空海 KŪKAI─密教のルーツとマンダラ世界」の見どころを、仏像イラストレーターの田中ひろみさんが…

奈良国立博物館 生誕1250年記念特別展「空海 KŪKAI―密教のルーツとマンダラ世界」の内覧会に行ってきました。 空海の生誕1250年を記念して、「かつてない空海展になる…

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【ラ・フォル・ジュルネ】フランス発祥世界最大級のクラシック音楽祭(東京国際フォーラム)

 フランス語で〝熱狂の日〟を意味する音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」が東京国際フォーラムで開催される。  17回目を迎える今年は、音楽の“起源”に立ち返る「ORIGINES…

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青い夜があった|曽我部恵一(シンガーソングライター)

 2014年に「bluest blues」という曲を出した時、奥日光でミュージックビデオの撮影をした。  奴隷として虐げられた黒人たちが自分たちの悲哀を歌ったのがブルースという…

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[有田焼・香蘭社]ジャポニスムブームがアメリカに広がった時代|幕末・開化期、佐賀の万博挑戦

 ウィーンへの派遣団の中に、納富介次郎という男がいた。もともと絵が巧みな佐賀藩士で、幕末には上海に渡った経験を持つ。  納富は万博閉会後に、フランスのセーブルな…

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刻太鼓の音|文=北阪昌人

ドンッドンッドンッ!  体に響く音で目が覚めた。私は眠い目をこすりながら、ヘアゴムで髪の毛を結ぶ。ベランダの窓を開けると薫風と共に、工事の音がやってきた。  そうだった。私が暮らすマンションの向かいは今まで空き地だったけれど、新しいビルが建設されるのだ。  ドンッドンッドンッ!  月曜日の朝に聴くには愉快な音ではないかもしれないが、そのとき私はつい、微笑んでしまった。  その音は、似ていた。愛媛県松山市の道後温泉の刻太鼓の音に……。  先週末、私は初めて道後温泉を

デ・キリコ展が10年ぶりに日本で開催

 20世紀を代表するイタリア人画家ジョルジョ・デ・キリコ[1888〜1978]の大回顧展が東京都美術館で開催される。  本展では、約70年の画業の中で生まれた作品100点以上が世界各地から集結。注目すべきは、彼の代名詞ともいえる「形而上絵画」シリーズだ。人物に代えて〝マヌカン(マネキン)〟を描いた作品は、ダリやマグリットなど多くの芸術家に衝撃を与えたという。また、伝統的な西洋絵画の表現に回帰した作品も展示。ルネサンス期に見られるような作風は、それまでのタッチとは全く異なるも

特別展「教壇に立った鷗外先生」|文京区立森鷗外記念館

若干20歳で“先生”に  森鷗外(本名・林太郎。文久2[1862]-大正11[1922])は、明治17(1884)年~21(1888)年のドイツ留学後、陸軍軍医学校、東京美術学校(現・東京藝術大学美術学部)、慶應義塾大学部(名称当時)文学科などの教官、講師を務めました。  今回の特別展会場は、「第一章 教壇に立った鷗外」、「第二章 教科書と鷗外」で構成されています。「第一章」では、陸軍軍医学校、東京美術学校、慶應義塾大学部などの学校ごとに、講義内容、教え子の回想などから“教

[こどもの日]書店員さんに訊く、親子で楽しむ絵本3選(神保町・ブックハウスカフェ)

こどもの日を記念して、親子または祖父母と孫で読むのにおすすめの本について、神保町のこどもの本専門店&カフェ「Book House Cafe(ブックハウスカフェ)」の書店員・岩切ももさんにお聞きしました。 1.『きょだいな きょだいな』100人の子どもたちが遊ぶ、“きょだいな”ピアノにトイレットペーパーなどなど。普段見慣れない視点で描かれている絵が面白い一冊。「きょだいなピアノがあったとさ、~があったとさ、という読むときのリズムがすごく良くて。読み手側も読みやすいので、お父さ

【文学フリマ東京38】絶対手に入れたい5冊

皆さん、こんにちは。 5月19日に開催される「文学フリマ東京38」に、ほんのひととき編集部として初出店することになりました! さて、そんな些末なお知らせはさておき、今日は文学フリマで「絶対手に入れたい5冊」と題しまして、注目すべきクリエイターの方々を偏愛たっぷりにご紹介します。ではでは、最後までお付き合いください! ─No.1─ 『パイをめぐる』 mg.さん第一展示場 | G-03 https://c.bunfree.net/p/tokyo38/36283 はじめにご紹

【伊勢志摩サミット】いけばなを通して日本の風景を伝える|笹岡隆甫 花の道しるべ from 京都

サミット史上初、“会議室”にいけばな2016年5月、G7伊勢志摩サミットの会場装花を担当した。サミット史上初めて“会議室”にいけばなを飾ることができたという意味で、記念すべきサミットだった。これまで日本で行われたサミットでも、ホテルのエントランスなどに迎え花が飾られていたが、そこまで身近に感じていただくことができなかったのだ。 会議室のテーブルの上に、いけばなを飾るのは意外と難しい。まずは、高さ。会談の邪魔にならないように花の大きさを抑える必要がある。そして、四方からの視点

常連客として暮らすー那覇の町で|宇田智子(古書店店主)

 69年前の『琉球新報』の夕刊に「あの町この街」というコラムが連載されていたのをたまたま知って、那覇の泉崎にある沖縄県立図書館に行った。  ぶあつい縮刷版を繰る。連載は1955年12月1日から25日まで。初回のリード文は次のように書きだされている。  「“戦後十年”という唄い文句も余すところ三十日、十一年目を迎えようとする今年の師走になって“あの町、この街”が見ちがえるようになつた。きたない路地も、田ンぼも沼地も、無人の境地も十年後の今日は夢にも思わなかつた街がひよつくり

【旅するリラックマ】カワスイ 川崎水族館(神奈川県川崎市・最終回)

「世界の美しい水辺」がテーマのカワスイでは、多摩川からアジア、アフリカ、南米の熱帯雨林まで、世界中の淡水魚を各地域の自然を再現したエリアに展示。パンタナル(南米の湿地)エリアのスクリーンには朝昼夕の水辺の風景が映し出され、音響・照明と相まって水際を散歩しているかのような楽しさを感じられる。淡水魚のみならず、鳥やカピバラ、ナマケモノといった水辺に生きる動物との出会いも! アルマジロやイグアナなどと触れ合えるアニマルライブも人気。  リラックマも優雅な魚に夢中みたい♪ 写真=

「扇の日」にちなんで

5月1日は「扇の日」です。 この日を記念日に制定した京都扇子団扇商工協同組合のHPには、その理由が次のように記されています。 平安時代は扇に和歌をしたため、相手に想いを伝えていたそうです。とても風流ですね。大河ドラマ「光る君へ」にも今後、そんなシーンが出てくるのでしょうか。 今日は“扇の日”にちなんで、ほんのひとときに以前掲載したこちらの記事をあらためてご紹介します。 1718年(享保3年)、西本願寺前に創業した京都の扇子メーカー・白竹堂さん。伝統的な製法を守りつつ、現

【石山寺】大河ドラマの主人公紫式部ゆかりの滋賀・大津市へ

 紫式部が『源氏物語』の着想を得たといわれる滋賀県大津市の石山寺。その境内の明王院に「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」がオープンした。映像やパネル、衣装や小道具などの展示を通して平安貴族の生活やドラマの魅力を紹介する。また、隣接する世尊院では平安時代の“恋”をテーマにした「源氏物語 恋するもののあはれ展」を開催中。『源氏物語』の和歌を現代的に解釈し、イラストや音楽で表現。平安時代の恋を彩った色や香り、花の文化に触れられるコーナーも併設している。  さらに、かつて平安貴族

【GWにおすすめ】2024年4月、とくに多くのスキを集めた記事をご紹介します!

新年度を迎え、まもなく1か月が過ぎようとしています。さくら、藤、ツツジとつきつぎに咲き誇る春を彩る花々に、心を踊らせてきた方も多いのではないでしょうか。 今日はそんな4月に、とくにたくさんのスキを集めた記事を5本ご紹介します。 ✨── 1 ──✨ もっとも多くのスキを集めたのは、4月13日の「喫茶店の日」に合わせて、都内近郊の素敵なブックカフェをご紹介したこちらの記事です。 📒ゆったりと本が読めるお薦めのブックカフェ【7選】 GWに本を読みたい方は、この機に足を運んでみ

近代建築の巨匠・谷口吉郎が修学院離宮で体感した「音」の妙趣|偉人たちの見た京都

谷口吉郎は、日本の伝統美を生かした建造物を数多く設計した建築家です。主要な作品には、藤村記念堂、石川県立美術館(現・石川県立伝統産業工芸館)、東京国立博物館東洋館などがあり、日本芸術院会員や文化勲章受章の栄にも浴した、日本の近代建築界を代表する巨匠の一人です。 吉郎は1904(明治37)年に、石川県金沢市片町で、九谷焼の窯元「金陽堂」の長男として生まれました。生家は犀川大橋の近くにあり、店にはたくさんの九谷焼の壺や皿が並べられ、仕事場では職人たちが絵付けの仕事を行なう。吉郎

【奈良国立博物館】特別展「空海 KŪKAI─密教のルーツとマンダラ世界」の見どころを、仏像イラストレーターの田中ひろみさんが現地レポート!

奈良国立博物館 生誕1250年記念特別展「空海 KŪKAI―密教のルーツとマンダラ世界」の内覧会に行ってきました。 空海の生誕1250年を記念して、「かつてない空海展になる!」と井上洋一館長が力説される奈良国立博物館の総力を挙げた展覧会は、国宝28点、重要文化財約59点*とお宝だらけ。わたしのスーパーヒーロー・空海や密教のことがよくわかる展示内容でした。 5体が揃う最古の五智如来像会場に入るとすぐに、京都・安祥寺の国宝「五智如来坐像」が、大日如来像を中心に並んでいます。5

【ラ・フォル・ジュルネ】フランス発祥世界最大級のクラシック音楽祭(東京国際フォーラム)

 フランス語で〝熱狂の日〟を意味する音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」が東京国際フォーラムで開催される。  17回目を迎える今年は、音楽の“起源”に立ち返る「ORIGINES─すべてはここからはじまった」をテーマに、さまざまな音楽の伝統にスポットライトを当てる。中世やルネサンス期の古楽から現代的なジャズに至るまで、それぞれの音楽のルーツを紐解く構成だ。たとえば、多くの傑作を生み出してきたソナタや四重奏曲といった楽曲形式はどのように誕生したのか。楽器はどのように生まれ、時代ととも

青い夜があった|曽我部恵一(シンガーソングライター)

 2014年に「bluest blues」という曲を出した時、奥日光でミュージックビデオの撮影をした。  奴隷として虐げられた黒人たちが自分たちの悲哀を歌ったのがブルースという音楽で、”bluest blues”という言葉があるのかどうか知らないが、ぼくも当時の自分の落ち込んだ気持ちを表現したくて「いちばんブルーなブルース」というつもりでタイトルにした。  妻と別居してまだ日が浅い頃だった。子供たち3人はぼくと残った。その時期は何をしても失われた家族の像が亡霊のようにぼく

[有田焼・香蘭社]ジャポニスムブームがアメリカに広がった時代|幕末・開化期、佐賀の万博挑戦

 ウィーンへの派遣団の中に、納富介次郎という男がいた。もともと絵が巧みな佐賀藩士で、幕末には上海に渡った経験を持つ。  納富は万博閉会後に、フランスのセーブルなどヨーロッパ各地の焼物の地におもむいた。そこで石膏型を用いて、粘土液を流し込むなど、同じ形の器を量産する方法を習得。ろくろほど手間がかからず合理的で、帰国後は有田に技術を伝えた。  美術史家の森谷美保さんによると、納富は次のフィラデルフィア万博用の図案集を、新政府に提案したという。  それが実現して「温知図録」が