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ドキュメンタリー映画『荒野に希望の灯をともす』上映会

みなさん、こんにちは。ほのぼのハウス農場では、4月13日~4月29日まで「食べて見て遊べる!天空の菜の花畑」を開催します。
このnoteでは、4月21日行われる天空の菜の花畑特別企画上映会『荒野に希望の灯をともす』の内容についてご紹介いたします。


はじめに

当日のチラシ

■テーマ #人権 #平和 #中東 #教育 #生き方 #希望 #土からの平和 #農民
■日程 2024年4月21日(日) 会場13時
■場所 美作市 作東公民館(岡山県美作市江見226-3)
■料金 一般・・・1500円
    小学生~高校生・・・500円
   ※菜の花畑の入場料(500円)を含む。

■ドキュメンタリー映画『荒野に希望の灯をともす』
アフガニスタンとパキスタンで35年にわたり、病や戦乱、そして干ばつに苦しむ人々に寄り添いながら命を救い、生きる手助けをしてきた医師・中村哲。 中村医師が命をとおして残したものは何なのか、その視線の先に目指していたものは何なのか。 中村医師が遺した文章と1000時間に及ぶ記録映像をもとに、現地活動の実践と思想をひも解く。

〇中村哲医師と共に2年間働いた山口敦史
ほのぼのハウス農場の代表・山口敦史は、中村哲医師と共に2年間働いた経験を持ちます。彼は、自分の原点は「中村哲医師との出会いにある」と当時を振り返ります。ほのぼのハウス農場は今年10周年目を迎えます。さらなる10年間に迎えるにあたり、原点をもう一度見つめ直す、そしてこの機会にアフガニスタンの干ばつの現状や中村哲医師の生き様を多くの人々に知ってもらいたいと企画しました。

アフガニスタンについて

 みなさんは、アフガニスタンについて知っていますか。ニュースでは、アフガニスタンといえば、戦争、テロ、女性の問題など情報がよく取り上げられることで、ぼんやりと暗いイメージが浮かぶ人もいるかもしれません。実は、アフガニスタン、2000年から干ばつが顕在化しており、これが一般市民の生活を脅かす深刻な問題になっています。言葉では、簡単に表現できますが、実際は、命に関わる問題なのです。そして、干ばつの影響は、女性・子ども・ご老人と立場の弱いものたちから命を奪っていきます。

渇きに耐え切れず泥水を飲む幼児

戦争に干ばつに様々な困難の中、そこに生きている人々がいます。
当たり前ですが、彼らは私たちと同じ人間なのです。楽しいことがあれば笑い、悲しいことがあれば泣き、家族とご飯が食べられて一緒に過ごせることに幸せを感じる、私たちとかわらない人間です。

65万人の命を救った日本人医師

 アフガニスタンで生きた人々の一人に中村哲医師がいます。
中村医師は、1984年にはじめて隣国パキスタンに派遣医として赴きます.
1991年には、アフガニスタンに診療所を拡大。1998年、現地に本拠地を構えて息の長い支援をするために、パキスタンペシャワールで「PMS(Peace Japan Medical Service)基地病院」の開設にいたります。
そんな矢先、アフガニスタンで進行していた干ばつが一気に深刻化しました。

干ばつでひび割れた大地。

2000年の干ばつでは、WHOによると、人口の半分以上の約1200万人以上のが被災しました。干ばつで多くの人々が難民化し、多くの村は無人化してしまいました。診療所には、毎日患者が大行列をつくっています。干ばつによって綺麗な水が手に入らず、患者の大半は赤痢などの腸管感染症で命を落としていきました。

「飢えや渇きは薬では治せない」
これは、誤解されやすいのですが、飢餓=空腹で死ぬというよりは、食べ物・水不足で、栄養失調になり、抵抗力が落ちたところに、下痢や赤痢などの腸管感染症にかかり、簡単に命を落としてしまうというケースが多いのです。「綺麗な水さえあれば命が助かる・・・」と中村医師は、白衣を脱ぎ、井戸掘りをすることを決意します。当時、53歳でした。

自ら井戸を掘る姿は地元住民を勇気づけた。

「百の診療所より一本の用水路を!」
 水不足は、日に日に深刻になっていきます。井戸を掘っても、その井戸が枯れてしまう。アフガニスタンの多くの人々は自給自足の農民です。農地が荒れ果てることにより彼らの職業も奪われてしまいました。さらに、襲い来る干ばつ、地下水の枯渇を受け、中村医師は「緑の大地計画」を発表。2003年、用水路建設に着手しました。

「用水路がもたらす恵みと平和」
試行錯誤のすえ、地元住民、日本人ボランティア、多くの人々が協力し、2010年に全長25km(現在27km)のマルワリード用水路が完成しました。これまで、計10カ所の取水堰の開通に携わり、2024年現在、70万人以上の生活が支えられています。

干上がったスランプ―ル平野(2005年5月 用水路6km地点)
一面に麦畑が広がったスランプ―ル平野(2009年4月 用水路6km地点)
小麦の収穫を喜ぶアフガニスタン人。

近年の干ばつ
アフガニスタンは、とくに 2018 年と 2021 年に大きな干ばつが襲いました。重要な穀倉地域での河川水位が平年を大きく下回り、農業は危機的状況に陥りました(グラフ)。国連 WFP によると、2023 年急性食料不安に陥っている人々が2280万人(人口の半数以上)、緊急レベルの食料不安に直面している人々が 870万人います。中村医師とその仲間たちが、手がけた地域は緑が豊かになっていますが、アフガニスタン全体では干ばつが進行しているということです。

引用:https://www.kobe-cufs.ac.jp/news/files/sdgstakabayashi.pdf

これからの時代を生きる羅針盤に

 中村哲医師は、パキスタン・アフガニスタンで35年以上支援を続けてきました。そして、2019年に中村医師は現地で何者かに襲われお亡くなりになりました。なぜ、命を懸けてまで、支援活動を続けてこれたのでしょうか。
この映画は、その問いに答えるように、中村医師の言葉と映像を見ることができます。

~作中のことば~

人は必ず死ぬ。当然だが、生命体として逃れられぬ掟である。
いかに多くの所有を誇ろうと、いかに名声を得ようと、それをあの世に持ち去ることはできない。
その時、我々の生きた軌跡が何かの温かさを残して、
人としての温もりと真実を伝えることの方が大切なのだ。

中村哲・『ダラエヌールへの道』

当地への赴任は最初に
ヒンドゥークシュ山脈を訪れたときの
一つの衝撃の帰結であった。

同時に、余りの不平等という
不条理に対する復讐でもあった。

中村哲『ダラエヌールへの道』

「信頼」は一朝にして築かれるものではない。
利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない
誠実さこそが、人々の心に触れる。

それは、武力以上に強固な安全を提供してくれ、
人々を動かすことができる。

私たちにとって平和とは理念ではなく現実の力なのだ。

中村哲『天、共に在り』

自然と人間、人間と人間の関係について
より深く気づくものがあった。

平和とは決して人間同士だけの問題でなく、
自然との関り方に深く依拠していることは確かである。

中村哲『医者、用水路を拓く』

中村哲医師の志を引き継ぐ

そんな中村哲医師の志を引き継ぐ人もののひとり、ほのぼのハウス農場の代表山口敦史です。私は、2006年から約2年間、アフガニスタン駐在員として現地で中村医師と共に働きました。
10年前、ここ美作で農業をはじめ、今までこうしてやってこれたのも、アフガニスタンで、中村医師と「諦めなければ、形になる」と一緒に働いた経験があったからです。現地で中村医師からかけていただいた言葉のひとつ「一隅を照らす」(今いる場所で一生懸命に頑張りなさいという意味)は常に私の背中を押し続けてくれました。
ここ数年の、日本の干ばつの進行を見ているとアフガニスタンの様子は他人事には思えません。中村医師は「アフガニスタンは地球の50年先を行っている」と常におっしゃっていました。干ばつの原因は地球温暖化にあります。アフガニスタンの現実を知り、今の生活を考えるきっかけにしていただけたら幸いです。
また、命をかけて働いた中村医師の生き様から、いかに生き、働くという意味を再考していきたいと思います。
今年で、ほのぼのハウス農場は岡山美作の地に産声をあげて10年を迎えます。多くの人にの支えなければ今日まで続けれこれませんでした。これまで関わってくださったみなさまに、感謝し、私の原点ともいえる中村哲医師の上映会を開催したいと思います。どうぞ、多くのご参加お待ち申し上げます。 


なぜ菜の花畑で上映会なのか?

中村先生は一貫して「人の尊厳と命」に向き合ってこられました。常に言葉にされていたのは「水とパン」でした。そのために、我々現地駐在員とアフガンスタッフは身を粉にして用水路つくりの為に働きました。同時に先生は用水路の周りに数多くの美しい花に溢れた公園を作っていきました。アフガン人は日本人以上に花をこよなく愛し、日本ほど娯楽のない地域において公園で花を眺め、ごはんを食べながらピクニックするということは限りのない平和な姿であったようです。闘いや紛争に疲れた人々を癒していったのです。人々に真の平和と豊かさをもたらすのは「水、パン、花」なのではないでしょうか。美作の荒れ行く農地に今一度息を吹き返し、共に平和について考え、提案していきたいと思います。

ほのぼのハウス農場 山口敦史

ペシャワール会カレンダー「人・水・命」2024年4月より
菜の花畑で寝転ぶ子供たち

最後までご覧いただきありがとうございます。
ぜひこの記事を読んでご関心を持たれた方はいいね!
そして会場へ足を運んでみてください♪

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ほのぼのハウス農場とは?
私たちは岡山県美作(みまさか)の赤土台地で野菜・お米を作っています。自然豊かな恵みである落ち葉や草を畑に還し土を豊かにし、里山と共に生きる持続的な農業を行なっています。
#こどもの味覚を育む野菜 #平飼い卵 #美作


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