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相方がボケても、多分僕は気づけない

夕日が沈んできたので
「そろそろ帰ろうか〜」
相方に声をかけ、自転車を走らせた

1月。日が沈むと
ぐっと寒くなるので
その前に家に帰りたかった

「天気もいいし、自転車でどこかへ出かけたい」
そんな相方からの呼びかけで
久しぶりに夫婦二人で
自転車を30分程走らせて
近くの河原へ向かった

河原では、話すわけでもなく
各々にすきな時間を過ごした

僕はベンチに座って、読書
相方はシートをひいて、ヨガ

何か特別なことをしてる訳ではないけれど
こういう時間をほのぼのと過ごせることが
何よりもしあわせだな〜
夕日を見ながら、そんなことを思った

河原からの、帰り道
自転車で一列になって走りながら
僕はぼーっと最近の出来事を思い出しており
相方は後ろで歌を歌っていた
この人はどうも、自転車で走っていると
歌う癖がある

特に交通量の多い道路だと
声量が増す

前を走っている僕には
バッチリ聴こえてくるので
「なんでそんな必死に歌ってるの?笑」
と聞いてみると
「腹から声を出すのが気持ちいいから」
と満足げな顔で、言っていた

交通量が多いと
車の音で声がかき消されるので
周りを気にせず歌えるんだとか
(僕にはバッチリ聴こえてるけどな)

ただ、人とすれ違う時などは
ピタッと歌うのをやめるもんだから
聴いてるこっちは、ちょっとおもしろい
(一応そこは気にしてるんだな)

唐突に「あたしさ、本屋さんに寄ってくわ!」
と言ってきたので
本屋さんなんてこの辺にあったけ?
と思いながらも
僕もついていこうと思い
相方の後ろを走っていくと
迷いなく入って行ったのは、図書館だった

「図書館だよね?ここ」
と言うと
「そうだよ」
と、さも当然という感じで返答が返ってくる
「本屋じゃないじゃん」
と、心変わりしたのかと確認してみると
「細かいよ。本だから一緒だよ」
と、さらっとあしらわれた

そうか、僕が細かかったのか
なんか違う気がするのだが
また細かいと言われそうなので
気にしないことにした


図書館と言う名の本屋を出て
家に着くと、ちょうど下に住んでいる
大家さんのおばあちゃんに遭遇

我が家の大家さんは
とってもフレンドリーで
面倒見のいい大家さんで
昭和の漫画に出てきそうな
ナイスキャラ大家さん
(今後もう少しゆっくり触れたい)

「あら〜お帰りなさい〜!!」
いつものように声をかけてくれる大家さんに
「こんにちは〜!」と挨拶し
僕が先に自転車置き場へ向かう
後ろから聴こえてきたのは
「隅さん、こんにちは〜!」
と挨拶する相方の声

いや、ちょっと待て
大家さんの名前は「宮さん」だよ。笑
(ちなみに隅さんは夫婦で仲良しな、別のおばあちゃんの名前)

流石の相方も
間違って名前を呼んでしまったことに気づき
慌てて「ごめんなさい、宮さん!!」と訂正したが
大家さん、まったく聴いておらず
いつも通りのマシンガントークで
何かをずっと話しかけてくれている
(そういう人で本当に良かった)

その光景が面白すぎて
一人自転車置き場でニヤニヤする僕

一通り話を聞いた後
話を一旦終わりにするため
挨拶したが
「隅さん、また来ますねー!あ、宮さん!!」
またもや間違える、相方

なお、こんなにわかりやすく間違えても
大家さんはもっぱら話す専門で
聴いていないから大丈夫なのだが

どんだけ間違えるんだと
笑いが止まらない、僕

「どうしよう、頭ではわかってるのに
 口から出てくる言葉がずっと『隅さん』だった!!笑」
と笑っている相方

小ボケから、大ボケまで
今日もよりどりみどりだな〜
この人は

日々、ツッコミきれない程
ボケをかましてくる相方

30代、夫婦ふたりきりの生活
「まだ早くない?」
なんて言われるかもしれないけれど
ちょっと不安がよぎるときがある
将来のこと(老後)

それでも、こんなことが続くと
この人となら
なんだか全部、笑いに変えられそうだ
そんな気持ちになってくる

こんなに毎日ボケをかまされ続けたら
将来僕は、相方がボケても
気づけないかもしれない

でも、それは
幸せなことなのかもしれないな
そんな風に、大笑いしながら今日も思った

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