見出し画像

【ココロコラム】血液型の性格診断って本当なの?!

TwitterやFacebookなどのSNSでは、日常的に血液型の性格診断がシェアされたり、テレビや雑誌などでも血液型での性格診断の話題がとりあげられています。

正直言って、困ったものだと思います。血液型と性格には何の関連もないことは、昔から心理学者や医学者によって多くの論文が書かれています。

しかし、その手のまじめな学術論文はあまり人の目に触れず、わかりやすいテレビや雑誌などの媒体に出るほうが目立ってしまうのが現状です。今回のブームも、何の変哲もない解説書がなぜか売れてしまい、言われてみれば当たっているところもある。だからなおさら流行るという循環から、ブームが再燃しているのでしょう。

ひとつ知識として知っておいてほしいのは、A型B型O型AB型の血液型は、赤血球のタイプ分けの一つにすぎないことです。血液は他に白血球やリンパ球、血小板などの成分があります。それらにも型があり、その結果、血液型はよく知られているものだけでもRhやMN、HLA、HPAなど何種類もあります。ABO式の血液型だけにこだわっているのは、日本を含む一部の文化圏だけです。

なぜ日本でこれだけ血液型がブームになるのかは、よくわからない面がありますが、なぜ当たっているような気がするのかはメカニズムがわかっています。それはコラムやお悩みでも何回か紹介した【バーナム効果】のためです。誰にでも当てはまるようなことをいうと、結果として当たって見える効果のことです。

「自信がないほうで、ここ一番ではあがってしまって自分の力を発揮できない」「お人よしなところがある」「他人に合わせるのは得意なほうだ」「喜びは形にして表現しましょう」「思いやりのない一言に気をつけて」などという性格判断やアドバイスがよくあります。

これらは血液型が何であれ、当たっているはずです。世にある血液型診断の本は、この【バーナム効果】を最大限に利用して、誰にでも当てはまることをうまく表現しているから、当たっているように見えるのです。

血液型診断を精神科的な目で見たときの問題点は、血液型は普通生まれたときから変わりません。そういうもので性格や相性が決定されてしまうのは、一種の運命論で、個人の後天的な努力を否定することになりかねないことです。最近はどこの世界でも二世や三世が目立ちます。

しょせん、もとから違うんだという諦めが社会に広がると、しだいに世の中が息苦しくなります。生まれながらに決まっていることで、運命が決まってしまうという考え方は、なるべく避けたほうが生きやすくなります。事実、性格は血液型(や、その他の遺伝)に関係なく、自分自身の働きかけでいくらでも変えることができます。

最近、ある芸能人が白血病で骨髄移植を受けました。骨髄移植をすると、血液型が変わることがあります。その方が「血液型が変わったけど、性格は変わっていないようだ」と発言していました。まさにその通りなのです。血液型と性格は、関連はありません。

最後に血液型の賢い活用法を教えましょう。一度、血液型の本を全種類読んでみます。それらは【バーナム効果】満載で、何型の記述も、万人に当てはまるようなことがたくさん書いてあります。いくつか覚えておいて、人との会話に使ってみましょう。もちろん当たっていますから「この人は洞察力がある。自分のことをわかってくれている」と、相手は思ってくれます。【バーナム効果】で、「人を見る目がある」と思わせるわけです。例えばA型の本に書いてあることをB型の人に言っても、当たっていて、そう思ってくれます。ぜひお試しあれ。

(精神科医・西村鋭介)


お読みになって面白いと思ったり、参考になったら下記からサポートをお願いいたします。 サポートでご支援いただいた収益につきましては、今後の記事の執筆料や運営費に充当させていただきます。