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「ディープインパクトはドーピングをしていたから凄くない」のか

たまに、「ディープインパクトは禁止薬物を使用していたからランキングにいれるのは間違っている!」 という意見を見かけます。 今日はこれについて少しだけ。

 まずですね、今から私は事実を言いますね。
 ディープインパクトは凱旋門賞終了後、体内からフランスで禁止されているイプラトロピウムが検出された。そして失格になった。 当時、日本ではイプラトロピウムは禁止薬物に指定されていなかった。

 はい、これは事実ですね。

 そして、ドーピングとは、 スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為。 と定義されていますね。
 では「ディープインパクトは凱旋門賞においてドーピングをした」というのはどうでしょうか。 これは事実かどうかはわかりませんね。 禁止薬物で失格になったことは事実ですが、「意図的に」行ったかどうかはわからないのでドーピングと断定することはできませんね。 ただ、私はディープインパクトを凱旋門賞における日本馬ランキングで上位にすることはありません。禁止薬物が検出されたのは事実で、失格になったからですね。これは前述のとおり事実ですから、「あれは三着だ」というのは私は間違っていると思います(あ、ちなみにこれは意見ですね)。

 では次、「ディープインパクトは日本でもドーピングをしていた」というのはどうでしょう。
 これは事実かどうかがわからないのはそれはそうですよね笑 ただポイントは、ディープインパクトが日本においてどれだけ大量のイプラトロピウムを「意図的に」摂取していても、それはドーピングとはならないと言うことです。 ドーピングの定義を思い出してもらえればわかると思いますが、「禁止されている薬物」を使うことがドーピングであり、禁止されていない薬物を使うことはドーピングではないからですね。日本では当時イプラトロピウムは禁止されていませんでしたので、どれだけ使っても構いません。 なので、「ディープインパクトはイプラトロピウムをつかっていたから日本でもドーピングをしていた」 というのは論理破綻しているわけですね。
 ちなみに、今の日本競馬においておそらく、すべての馬が薬物を使っています。これはおそらく事実で、イクイノックスもタイトルホルダーもリバティアイランドも、十中八九薬物は使っているでしょう。 オルフェーヴルもオグリキャップもテイエムオペラオーも十中八九薬物は使っていたでしょう。

「禁止されていない薬物」ですがね。

 抑えておかないといけないのは、禁止されていない薬物を使うことはドーピングではないと言うことですね。禁止されていない薬物であればどのアスリートでも使います。それはスポーツにおいて常識です。禁止されていない薬物をいかに使って、いかに強くなるか、ということをやっているわけですね。 なので、当時禁止されていなかった薬物を禁止されていない地域で使うことは何の問題もないわけですね。
 では、「ディープインパクトが引退後イプラトロピウムは禁止された」。
これは事実ですよね。 つまり、イプラトロピウムは競争能力に影響を及ぼす成分だったわけですね。それを摂取していたのはいいのか!と言うことですが、これも先ほどと同じく、その当時に禁止されていなければ何の問題もないわけですね。
 法律を学んだ方にとっては常識だと思いますが、「法の不遡及」というものがありますね。 法令の効力はその法の施行時以前には遡って適用されない、というものです。なんなら確か日本国憲法にも書いてありますよね。 例えば、私が今鶏肉を食べたとしましょう。しかし今から2年後、鶏肉を食べた人は死刑だ、という法律ができたとします。私が食べたときには全く問題がなかった行為が、2年後には重い罰が課されることになったわけですね。そこで、「お前は2年前のあの日、鶏肉を食べたな!死刑だ!」とはならないですよね笑 法律が制定されて以降、鶏肉を食べたら死刑ですが、それ以前にいくら食べようが全く問題はないわけですね。
 と言うことは、ディープインパクトが(私はこれが何なのか見たことはありませんが)イプラトロピウム濃度100%のものをぐびぐび飲んでいたところで、全く問題がないわけですね。
 他に例として、海外ではお酒が禁止の国がありますよね。お酒は大麻より危険とされることも少なくないです。そこに行ってお酒を飲んだら当然裁かれますよね。んで、日本に帰ってきてお酒飲んで裁かれますでしょうか。まぁ、飲酒運転とか暴力沙汰を起こしたら裁かれますが、勝手に飲んでる分には何の問題もありませんよね。
 来年、ある薬物が禁止薬物に指定され、イクイノックスやリバティアイランドが服用していたことがわかっても、それは何の問題もないわけですね。ドーピングでも何でもないわけです。 その辺りを抑えないとかなり危険なことになりますので、今回少しだけ語ってみました。

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