4月17日

笑っちゃうくらい本が売れる。
前にいた店では、どんなにがんばっても文芸書はそこまで売れなかった。
大きな新刊がそこそこ売れるくらい。
既刊棚に差さっている本が売れることはほとんどなかった。
でも今の店は、売れる。
既刊棚に差している本も、ちゃんと売れる。
「え!この本売れたの?なんで?」というときすらある。
今の時代、映画化されたり、SNSでバズったり、テレビや広告で紹介された本ばかり売れる。
そうでない本はどんどん埋もれていく。
でも、今の店のお客さまはちゃんと自分の目で見て、自分で好きな本を見つけ出して購入されている感じがして、ちょっと感動すら覚える。
あと、ベストセラーが信じられないくらい売れる。
前にいた店はベストセラーが全然売れなかった。
誤解を恐れずに言えば『手垢のついた本』に興味がないお客さまが多かった。
今の店はミーハーなお客さまが多いのか、何年も読み継がれてきたような文庫本がびっくりするくらい棚から売れる。
東野圭吾の棚なんて、売れすぎて常に傾いている。
『君の膵臓をたべたい』の問い合わせを受けたりもする。
若いお客さまが来る一般的な書店はもしかしたらこれが普通なのかもしれない。
わたしは異文化の地から来たので、ここ一ヶ月はほとんど毎日おどろいている。
ここに来てから、本ってまだ売れるんだ、と少しだけ希望を持てるようになった気がする。

今日は、とても嬉しいことがあった。
なんと前の店でいつも来てくれていたお客さまがわたしに会いに来てくださった。
県を跨いでいるので結構距離があるはずなのに、近くに来たついでに、と立ち寄ってくれたらしい。
もう会えないだろうと思っていたお客さまのひとりだったので、びっくりしたしものすごく嬉しかった。
近くに来たついでと言っても、そこでわたしのことを思い出してくれるような存在になれていたんだなということが嬉しかった。
今の店ではまだ顔見知りのお客さまはいなくて、前はいろんなお客さまとお話しするのが楽しみだったから、久しぶりに知ってる方にお会いできてにこにこしてしまった。
これからも信頼される接客ができるようにがんばろうと思った。
異動してから自信がなくなることもあるけど、すごく、力をもらった。

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