昨日は京都の店舗の方が人が足りなくてピンチだとかで、半日だけ応援に行った。 二ヶ月ぶりに降り立った京都はやっぱり同じ近畿でも大阪とは全然空気感が違う。 歩いている人も全然違う。 大阪のように、ガニ股で肩で風を切りながら歩いているおじさんなんてひとりもいないし、道の真ん中で突然叫び出す人もいない。人種が違う。 わたしは大阪の人間だけどなんか安心する、京都。 久しぶりにスタッフのみんなに会えたのが嬉しかった。 何かと大変そうだけど、少しでも力になることができてよかった。 毎日の
「あっ!!」 その光景を見たとき、びっくりして思わず両手でテーブルを叩いてしまった。 立派なテーブルに並べられた箸置きや食器が僅かに震えて音を立てる。 「なに?どうしたん?」 箸を持ったまま目を丸くした夫が向かいから問いかけてくる。 「これ、これはSNSで炎上してるのを見たことがある例のあれ。すごい、初めて体験した!」 半ば興奮して、少し喜んですらいるわたしの目には、白ごはんが並々と入っているおひつが映っていた。 四月末、夫と二人で伊勢へ行った。 一泊二日、思えば夫婦になっ
仕事中、ちいさなお客さまが話しかけてきてくれた。 「ここの本屋さん大きすぎ!この世界の本ぜんぶあるんかな!」 と言っていて、可愛すぎて笑っちゃった。 「せやな、あるかもしれんな!」 と返しておいた無責任な大人はわたしです。 あの少年、梅田のジュンク堂などに行った日にはびっくりして飛びあがっちゃうんじゃないかな。 少年、世界はきみが思っているよりもっともっと、ずっと広いんだよ。 でもね、本を読めばそんな広い世界を自由に飛び回ることができるんだよ。 本は、自分の目や耳では知ること
笑っちゃうくらい本が売れる。 前にいた店では、どんなにがんばっても文芸書はそこまで売れなかった。 大きな新刊がそこそこ売れるくらい。 既刊棚に差さっている本が売れることはほとんどなかった。 でも今の店は、売れる。 既刊棚に差している本も、ちゃんと売れる。 「え!この本売れたの?なんで?」というときすらある。 今の時代、映画化されたり、SNSでバズったり、テレビや広告で紹介された本ばかり売れる。 そうでない本はどんどん埋もれていく。 でも、今の店のお客さまはちゃんと自分の目で見
先日、2024年度の本屋大賞が発表された。 大賞を受賞したのは宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』。 昨年の3月に発売されてからずっと売れ続けている、はっきり言ってバケモノみたいな文芸書。 発売前にプルーフを読ませていただいたとき、これはどうやって売ったらいいのだろうと頭を抱えた。 成瀬は明るく楽しい気持ちになれる物語だけれど、突出したすごい展開があるわけではないし、度肝を抜くような伏線もない。 本当にただ淡々と、成瀬というひとりの少女の生き様を描いている。 しかも、舞台
お客さまから文芸書のお問い合わせを受けた。 たまたま知っている本だったので、検索するまでもなくすぐにご案内できた。 「ついでにこの本も聞いていいかしら」とタイトルを提示された文庫本も、わたしが読んだことある作品。 一直線に棚から本を取ると、お客さまはすごいすごい!と大喜び。 「じゃあ次はこの本!」とだんだん楽しくなるお客さま。 その本も調べるまでもなく知っている本。 なんだか逆に恥ずかしくなってきて「た、たまたま知ってる本が多いです〜!」と謎の言い訳をしながらお客さまをご案内
先月インフルエンザに罹患してから、嗅覚が消えた。 発症しているときはどちらかというと咳の症状の方がひどくて気が付かなかった。 仕事のときは毎日いい匂いのハンドクリームをつけることでやる気を出しているのだけど、ある日何の匂いもしなくて大変ショックを受けた。 いい匂いをまとうことで自我を保っている部分があるので、最近はずっと人間未満のまま働いている。 好きな匂いが分からなくなったのも悲しいけど、ごはんのにおいが全く分からないのが一番悲しい。 夫がどんなにおいしそうなごはんを作っ
店員が「できない」と言っていることを「できるでしょ」「前はできた」と言ってくるお客さまって一体何なのだろう。 うちの店ではバーコード決済は他の支払い方法との併用ができないのだが、契約社員さんが 「PayPayは他のお支払い方法との併用ができないんですって言ったら、お客さんに「いやできるやろ」って言われました。お前だれやねん」 と言っていて申し訳ないけど笑ってしまった。お前だれやねん。 以前、わたしもお客さまにdポイントカードを出されて「dポイントはつかないです」と言ったら「
3月13日、朝起きるとなんだかのどが痛かった。 ときどき乾燥することがあるので、今回も夕方頃には治っているだろうと思っていたけど、退勤する頃になっても一向に良くならない。 14日、やっぱり変わらずのどが痛いうえになんだか身体の節々が痛い。 万が一に備えて出勤前に病院へ。 念のために、と別室の待合室に案内された。 看護士さんと患者のおじいさんが 「今日はわし何で来たと思う?」 「自転車?」 「三輪車や」 「めっちゃ安全やん」 という会話をしていてとても関西を感じた。 診察の順
毎日店が寒すぎる。あまりにも寒い。 わたしと同じ時期に異動してきた店長は「寒すぎるから異動願い出したい」と言っていた。わかる。 うちの店は入り口が吹きさらしで、自動ドアすらなく、直接店内と外が繋がっている。 なので暖房を入れていても何の意味もない。 外と気温が変わらないうえに、地下だから日光が当たらない分むしろ外より寒い。意味がわからない。 風がビュンビュン吹き抜けてくる。ここ数日はとくに風が強いのでものすごくきつい。 店内奥は暖かいけど、入り口付近は寒すぎて夕方以降はその辺
お客さまに「この本どこにあるかしら?初めて来たから分からなくて」と言われて(奇遇ですね、わたしも今日が初めてです)と思った。 もちろんそんなことは言えないのでちゃんとご案内した。そんなこんなで大阪の店舗に異動して最初の日。 初日にして人が足りないとかで、何も教えてもらうことも出来ず終わった一日。 大体どこの店舗もやること一緒だからいいんだけども。 やっぱり大阪と京都だと同じ関西でもまったく客層が違った。 朝から早速大阪のおばちゃん客がゲラゲラ笑いながらわたしの肩をどついてきた
京都のお店の最終勤務日だった。 普段と何も変わらずいつも通りに出勤し、いつも通りに品出しをし、発注し、接客をした。 休みだった夫がわざわざ最後だからとサプライズで来てくれた。 何も買って帰らなかったけど。買わんのかい。 昨日会うのが最後だったアルバイトの子がわざわざお菓子を持って来てくれて、正直そこではちょっと泣きそうになった。 もう退職した同い年の元アルバイトちゃんも会いに来てくれた。 このお店で一番仲良くなって、一昨日も一緒に錦市場にあそびに行ったのに、わざわざ来てくれて
ついにあしたは京都の店に出勤する最後の日。 思えば4年間もここで働いたんだなあ。 入社したときは、コロナウイルスが流行り始めたまさにその頃で、ゴリゴリに緊急事態宣言の最中だった。 そんな時期だったので、面接に行ったときに「他の候補者もいたけど辞退したので選考はあなただけになりました」と言われたのを覚えている。 つまり、はっきり言ってコロナ禍ラッキー入社だった。 その頃はまだ実家にいたので、京都への通勤は一時間半近くかかった。 でも「この京都の店舗で働いてくれるなら採用します」
今日という日が忙しすぎたのと、異動や引き継ぎや大きな会議での発表やあれやこれやでキャパオーバーを引き起こし、家に帰ってから限界が来て爆泣きしてしまった。 「異動いやや〜!」 とぎゃん泣きするわたしに、夫が 「五月なら新しい店でも大丈夫!新しいお客さんとも出会えるよ!」 と慰めてくれた。 けれど申し訳ないことに全然心に響かなかった。 わたしは涙が感情を追い越すことが多くて、自分でもなぜ泣いているか分からないときがある。このときもそうだった。 でもよく考えてみると、わたしの「異動
昨日は移動先の店舗で引き継ぎがあった。 今勤めているのは京都の店舗で、何度も書いているけど本当にものすごく客層が良い。 3月から異動する店舗は大阪にある店舗なので、はっきり言って客層は最悪だろうと思っていた。 自社に入る前は、大阪のど真ん中にあるクソデカ書店で働いていて、数々の酷い目にあった。 自分も大阪人なのではっきり言うけど、大阪人の店員に対する態度は目に余るものがある。 引き継ぎ初日から怒号を浴びせられる可能性を考えて出勤した。 けれど、どのお客さまもめちゃくちゃ良い人
バレンタインらしいけど、わたしは東京で仕事だった。 年に一回ある、全国の店長が集まって今年度の目標や店の成果を発表する報告会。 わたしは店長でもないまだまだピヨピヨのひよこ平社員なのだけど、光栄なことになぜか発表者に選ばれてしまい、全国の敏腕店長に囲まれることに怯えながら会場に向かった。 でも会場の席順は、お話ししたことがある近畿の同い年の店長と、いつもLINEでやり取りしている名古屋の店長のとなりでとても心強かった。 実は弊社の全国の会ったこともない文芸好きの方たちとのLI