ショートショート 1分間の国 ◎【家族という迷宮】
2日前の深夜2時過ぎ、私の部屋のドアをノックするものがあった。私はウトウトしてはいたものの半醒半睡というよりはかなり醒めた状態でベッドに入っていて、その続けて2度鳴らされた、手加減なしのノックの音に対しても、律儀に2度「はい」と返事をした。
それへの応答はなかった。家族はもうとうに眠っている時間だし、いま私に用事のあるものなどいるはずはない。いったいどういうことなのだろう、と考えて気味が悪くなってきた。幽霊話は認めていないけれども、時刻はちょうど丑三つ時である。否応なく