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ピエール・ルメートルという作家(その2)〜映像化作品も良し

「炎の色」について書いていたら、ルメートル作品の映像化についても紹介したくなった。

簡単に紹介した、大戦3部作の第一篇「天国でまた会おう」は映画化された。アルベール・デュポンテルが監督・主演するが、ルメートル自身も共同して脚本を書いている。この作品は、フランス映画界の権威ある賞、セザール賞において作品賞こそ逃すが、監督賞、主演男優賞など5部門で受賞、ルメートルは脚色賞を受賞した。

この映画は日本では2019年に公開されたが、私は気がつかず、WOWOWで放送された時に観て、今回再度配信で観た。文庫本2冊を、2時間弱の映画に上手くまとめており、ルメートル自身の関与に負うところも多いのだろう。

2人の元戦士の物語で、復讐計画の起点になるエドゥアールは戦争で顔の下半分を飛ばされ、瀕死の重傷を負う。彼は自信を死者として葬り去り、生きるためのエネルギーを得るために、世間を欺く大掛かりな詐欺行為へと突き進む。

こう書くと、重苦しいドラマを想像するかもしれないが、各所に散りばめられたデザイン、色彩によって、ちょっと洒落た映像で描いていく。さらに、社会に対する風刺も含め、喜劇的な味付けが観るものを楽しませる。

もちろん、ストーリーそのものは、ルメートルの小説のエンタテイメント性が全開となり、飽きさせる時が一切ない。また、「炎の色」へのつながりは、小説よりもこの映画の方が良いと思わせる箇所もある。

ルメートル原作の映像化作品をもう一つ。Netflixで配信されている「監禁面接」日本刊行2018年の原作は、ルメートルがノン・シリーズ物として書いたサスペンス。他の作品同様、読み始めたら、“やめられない、止まらない“小説である。

失業中の男アラン、50代後半という年齢もあり、再就職がままならない。そんな時、訪れた一流企業への就職チャンス。ただその最終面接の内容が異常なものであった。本の帯の惹句を借りると、<就職先企業の重役会議を襲撃せよ それが最終試験である>。

これをNetflixがドラマ化、全6話のミニシリーズで、こちらの映像化もなかなかに面白い。全編、緊迫感あふれる展開だが、その迫力が映像からも伝わってくる。アラン役の男優、味があるのだが、どこかで見たことある。エリック・カントナだった。

サッカーファンならご存知だろうが、カントナは元フランス代表のサッカー選手、ただし代表としてよりもマンチェスターユナイテッドの中心選手として有名で、“キング“と称された。私が、ロンドンに赴任した1996年のシリーズが彼の最終年となり、自身4度目のリーグ優勝を花道にカントナは引退、俳優業へと転じたのである


献立日記(2021/10/18)
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