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旅の記憶15〜旧ウェンブリースタジアム

サッカーEuro2020の開幕について先日書いた。ロンドンの会場はウェンブリースタジアム、いわゆる“サッカーの聖地”と言われている競技場である。このスタジアムは、2007年に建設されたものであり、正確には新ウェンブリースタジアムである。

オリジナルのウェンブリーは、1923年に建設されたもので、1963年の大改修などを施しながら、2000年まで使用された。正面入り口のツイン・タワーが印象的な建物であった。ウィキペディアによると、収容人員83,000人、かつては立見席があったので、サッカーの試合における最大観客数は1923年のFAカップ決勝で126,047人とのこと。1923年、大正12年というのが凄い。

私が初めてウェンブリーに入場したのは、1999年、ローリング・ストーンズのコンサートだった。"No Security Tour”におけるロンドン公演で、サポーティングにシェリル・クロウが登場、13万人以上の観客を集めた。私にとって初めてのイギリスにおけるスタジアム・ライブ、様子がよく分からなかったので、スタンド席を取っていた。ピッチ上はオールスタンディング、席から見下ろすと、後方にはビールなど酒類を売るブースがあり、リラックスしてコンサートを見ている人、ステージにはあまり目を向けず踊っている人、楽しみ方の多様性を感じた。

そして、サッカーの試合を観たのは、同年のチャンピオンズ・リーグのグループ・ステージ、アーセナルとイタリア セリエAのフィオレンティーナの試合だった。本来ならば、アーセナルの本拠地ハイベリーで開催されるべきだが、おそらく収容人員数が少ないため、ウェンブリーでの開催となったのだろう。サッカーの聖地での観戦、歴史の重みを感じた。

当時のアーセナルはベンゲル監督の下、オランダ代表ベルカンプを始め、タレントが揃い、1997-98年シーズンはリーグ優勝とFAカップのダブル、1998-99年はリーグ2位と黄金期を迎えていた。一方のフィオレンティーナは、絶対的エース、アルゼンチン代表のバティストゥータを擁していた。

試合は0−0で進行、後半70分も過ぎた時、それまで抑えられてきたバティストゥータが、遂に巡ってきたチャンスを、絶妙のシュートでものにし、フィオレンティーナは勝ちをもぎ取った

そんな旧スタジアムは壊され、同サイトに新ウェンブリーが建設され、新しい歴史を刻んでいる。新国立競技場も、旧競技場に代わって、劇的な瞬間をホストすることになるのだろう


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