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伊丹十三の映画が観られる‼︎(その4)〜「マルサの女2」

日本映画専門チャンネルの伊丹十三劇場、2月25日の放送は「マルサの女2」である。前回取り上げた「マルサの女」(1987年)で大ヒットを飛ばし、伊丹十三はその続編を翌1988年に投入する。

”パート2”は、第一作よりも豪華でなくてはならない。前作で、宮本信子が扮するマルサと対決したのは、ラブホテルなどの経営者、役者は山崎努だった。本作の悪は、巨悪である。新興宗教の管長であり、地上げ屋という裏の顔を持つ男、そして演じるのは三國連太郎である。

公開から35年が経過しているが、この映画が提示していることの本質は、何も変わっていないのではないかとも思える。

集金マシーンと化している宗教団体、そこから多額の金が政治家に還流し便宜が図られる。同時に行われる、都市再生という名目の地上げ。

改めて伊丹十三作品を観ると、そのテーマの普遍性に驚く。決して一時のブームには終わらない映画を撮っていたのだ。別の見方をすれば、社会の裏側に脈々と流れていながらも、様々な理由から表立って取り上げたこなかったものに焦点を当てたとも言える。それは、今も流れているのだ。

三國連太郎はもちろん素晴らしいのだが、教祖役の加藤治子、国税局サイドには丹波哲郎と、ベテラン陣が存在感を発揮している。宮本信子の上司、前作同様津川雅彦、この人は何やってもはまり役になる。

その中で、「タンポポ」の海女役に続いて出演する洞口依子(当時23歳近辺)がただものではない。借金のカタとして三國の愛人になるのだが、大ベテランに引けを取らない。

前作を記事にした時に書き漏れたのだが、本多俊之の音楽が素晴らしい。これも、35年前を感じさせない要素のひとつだろう。

改めて見比べると、「マルサの女2」は、第1作よりも優れた作品に仕上がっている感じがする。冒頭からドラマが疾走する。上述の通り、深いテーマを奥底に秘めながら、エンタメ性も充実している。

監督4作目にして、伊丹十三もいよいよ調子に乗ってきた、そんな作品である

*吉田カツのポスターが素晴らしい!!


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