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「ベルサイユのばら」が散った後に〜映画「ナポレオン」は勉強になった

池田理代子のマンガ「ベルサイユのばら」の主人公の一人で、歴史上も存在するのはマリー・アントワネット。物語は、フランス革命が起こり、アントワネットが断頭台に送られるシーンがクライマックスの一つだったと思う。革命を扇動するロベスピエールが登場し、フランスは恐怖政治の時代へと突入する。

「ベルサイユのばら」のおかげで、このあたりまでの歴史は、それなりに認識しているのだが、この後どうなるのか。ナポレオンの登場は知っているが、彼のことは多くは知らない。

広辞苑の“ナポレオン“の語釈として書かれているものから、私の朧げな認識を(本当はもっといい加減)表現すると次のようになる。

<コルシカ島の生まれ。士官としてフランス革命に参加。軍司令官としてオーストリア軍を破り、エジプト遠征。ナポレオン法典の制定、皇帝に即位。ヨーロッパの覇権を確立するかに見えた。しかし、イギリスに対する大陸封鎖は不成功、モスクワ遠征の失敗、退位してエルバ島に流された。脱出して帝位に復したが、ワーテルローの戦いに敗れ、セントヘレナ島に流されて没>(広辞苑第七版より抜粋)

もう一つの認識は、お妃の名前がジョゼフィーヌであること。これは、ルーブル美術館にあるダヴィッドの“超“大作「ナポレオンとジョゼフィーヌの戴冠」を通じて。さらに、パリのレストラン「ルドワイヤン」を訪れた際、ナポレオンとジョゼフィーヌが会食した場所と知り、彼女の名前は頭に刻まれた。

リドリー・スコット監督の映画「ナポレオン」は、この私の雑な認識を埋めてくれた。政治家・軍人ナポレオンが何を行なってきたのか、そしてジョゼフィーヌとはどのような女性で二人の関係性はいかなるものだったか。史実に忠実かという点については批判もあるようだが、とても勉強になった。

ナポレオンに関係する“公“と“私“を、2時間40分程度の映画に収めるのは決して簡単なことではないと思うが、流石リドリー・スコットという仕事ぶりで、ポイントを押さえている。そして、ナポレオン役の、ホアキン・“ジョーカー“・フェニックスは私の好みの役者である。なお、ジョゼフィーヌはNetflix「ザ・クラウン」のS1・2でマーガレット王女を演じたヴァネッサ・カービー。

もちろん、駆け足すぎる感はあり、週刊文春12月14日号の“Cinema Chart“のページで、映画評論家の森直人が若干の不満を書き、<ディレクターズカット版こそが真価か>と書いているのも分かる。たしかにApple TVなどで配信されるであろう“ディラクターズ・カット版“は楽しみではあるが、映画館の大きなスクリーンで見るべきシーンが満載である。戦闘シーンのみならず、上記の絵にならった戴冠式のシーンも素晴らしく、観て損は絶対しない。

池田理代子は「ベルばら」の続編的に、「エロイカー皇帝ナポレオンー」(題はebookjapan版)を書いているが未読。読んでみようか



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