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輪島の塗り

「使えば使うほど、磨けば磨くほどツヤが出ます。」

昨年、輪島に行った際、その美しさ、丈夫さ、永遠性に惹かれて。奮発して購入。

あの夏から、ほぼ毎日使用しては磨いています。

漆の下に、うすーく入ったストライプの模様。購入時より、すこーし見えてきた気がします。見た目の変化はその程度ですが、愛着の変化はそれよりグッと増しています。

例えば、震災の際に、ガラガラガッチャンと落ちてきても無傷だった輪島塗りの茶碗たち。例えば、欠けてしまっても、作った工房にお願いすれば修理してもらえる輪島塗りの茶碗たち。

変わることが当たり前の今。新しいものが良しとされる今。周りも自分も目まぐるしく変わって。変わる社会に着いていかなきゃって自分もどんどんアップデートして。

それで、自分がわからなくなる。

丈夫で変わらずにいる輪島塗り、欠けてしまっても元の自分に戻れる輪島塗り。

輪島塗りに憧れを抱きます。

変わらないでいられる自分。欠けても修復できる自分。周りの意見に流されることなく、周りの意見に耳を傾け、必要なことを吟味できる自分。人と自分の違いを認め、受け入れ、自分と並行に眺められる寛容な自分。

輪島塗りを磨きながら、毎日自分のあるべき姿を確認する。輪島塗りは、ただの食器ではない。その存在を、眺めることで、磨くことで、自分の内面をも眺めることになる。

あぁ、なんていいものに出会ったのだろう。



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