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タライ 20221009

9日の日記を10日の朝に書いている。「今日のこと日記に書きますね」「日記再開したんですよ〜」とお客さんに浮かれて話した直後にこれである。晩ご飯を食べて横になっていたらそのまま寝てしまったのです…。

Ryotaさんがいらして、柿内正午+Ryota『雑談・オブ・ザ・デッド』にサインを入れて下さった。柿内さんのポッドキャストでの対談をもとにした、ゾンビ映画について四方八方から話題を接続する賑やかな本なのだが、そのお喋りさながらに雑談をしてくださりとても楽しかった。Ryotaさんも関わっている(そして文中に登場するが私は当てられなかった!)「ぽてと元年」のこと、谷頭和希さんのドンキ本のこと、前日に放送されていたキング・オブ・コントのことなどなど。お笑い番組をカメラワークや空間の配置で見たことなかったなあ。

著者の方や本に登場する人、あるいはポッドキャストで声だけ知っている人とお会いする機会が時々ある。文章からは特に人物を想像したりしないのだが、声は別ですね。勝手に想像してしまう。当たり前だが、今回も想像していた人物像とは全く異なっていた。想像上のRyotaさんは雲散霧消した。とはいえまだ幽霊のように頭の中を漂っていて、現実のRyotaさん像を蝕もうとしている、気がする。想像上のRyotaさんは目が切れ長でツーブロックで背が低い。

その後いらしたお客さんと話していて、本を読むには健康でないと読めない、ということを考えさせられた。いわく、入院した際に持ち込んだ「カラマーゾフの兄弟」は全然読めなかったし、最近も薬の副作用やら腰痛やらで全く、とのこと。本屋としては次々に読んでくれないと次が売れないので、お客さんには健康でいてもらわなくては困る。積読は推奨するが、体調が悪化している時に好き好んで読めない本を買い込むこともなかろう。もちろん買う人は死ぬ間際だって買うだろうが、そう多くはないはずだ。「本を読むための体づくりワークショップ」が必要かもしれない。私は基本的には(ある程度)不健康でも構わないと思っている方だが、本を読むためなら健康になるのも致し方あるまい。

帰りには雨が降っていたので、商店街を駅に向かって歩く。大学前で、何か白いものがこちらに近づいてくるのを、視界の端に捉えた。プラスチック製の白いタライだった。二人連れで並んで歩いているのだが、一方は傘を、もう一方はタライを、雨よけに使っている。手にはドン・キホーテの黄色い袋。買った直後だろうか?確かに二駅先の川越駅前にはドンキがある。そして雨は夕方から降り始めたから、出先で雨を避ける何かを買うこともあろう。しかしドンキにはビニール傘も売っているはずだ。確か500円くらいではなかっただろうか?タライの方が安かったのだろうか。それとも、傘とタライを買うならタライだけ買って傘がわりに使った方が500円が浮く、という考えだったのだろうか。いずれにせよ、白いタライを両手で頭にかぶっているさまはたまらなく愛おしかった。私は傘を忘れたであろう人がカバンを傘がわりにしている光景にもきゅんとするタイプなので(もちろんかわいそうとは思うが)、新しいパターンとの遭遇に思わず「かわいいですね!!!」と声をかけるところだった。何がそう思わせるのだろう?両手で何かを頭に掲げる行為自体か、それとも傘を忘れてしまった感?あまりいい趣味ではないなと思う。私は常に鞄が重いので、急に雨に降られても掲げたりはできず、ただ走るのみである。折り畳み傘はよく失くす。

晩ご飯は水餃子の残りと納豆。鯖の塩辛は非常に味が濃かったので、ちまちま食べた。

本日の新入荷

・booknerd

盛岡の書店 booknerdからくどうれいん「わたしを空腹にしないほうがいい」が再入荷。俳句で出来たタイトルと、食べ物にまつわる短いエッセイが小気味良い。イラストも味わい深い。イベントでもよく売れる一冊。



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