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黄昏慕情(1分小説)

「今日は、もう帰ろう。」
夏美は黙ったままだ。
浩司が夏美の手を引っ張る。
夏美が逆らう事は、なかった。
(夏美は、俺の事をどう思っているのだろう)
といつも浩司は不安になる。
夕焼けが沈み切る前に、浩司は夏美を車で家まで送っていった。

「明日、会えない?家まで迎えに行く。」
「うん。分かった。」
(明日こそ、ハッキリさせないと)
浩司は寝る前に何度も呟いた。

車の中では、いつものように2人は黙ったままだった。
レストランに着くと、
(今日こそ、ばっちり決めなきゃ)
と浩司は決意した。
レストランに入って、落ち着いた頃を見計らって、
「今日は、夏美の誕生日だろ。おめでとう。」
と言って、ネックレスを渡した。
「ありがとう。」
「来年は、指輪を受け取ってくれるね。」
また、沈黙が始まった。
「夏美は、何を考えているんだよ。思っている事を何でも言ってくれ。」
「ううん。幸せ過ぎて何も言えなくなるの。ありがとう。」
「これからは、思っている事何でも言ってくれ。」
「分かった。」
しばらくして、
「浩司は子供好き?」
突然の事に、浩司はたじろいでしまった。
「そんなとこが、浩司はまだ子供ね。」
初めて2人の間に笑顔の花が咲いた。

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