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雨傘(1分小説)

外は雨だった。
中学1年生の宏は、学校から帰るところだった。
玄関の下駄箱で外履きに履き替えて、傘を持って出ようとしたら、雄司が立っていた。
「困ったなあ。急いでいるんだけどなあ。」
雄司はぶつぶつ言いながら、恨めしそうに外を見ている。
「この傘、貸してあげるよ。」
「いいの。」
「大丈夫だよ。もうじき止むよ。」
「助かるー。ありがとう。」
宏は雄司に傘を貸してあげた。
(どうせ、もうじき止むだろう。)
宏は楽天的なところがあった。
雨は、なかなか止まなかった。
宏は玄関に立っていた。
30分ぐらい経っただろうか。
宏は家に迎えの電話をしようかと思った頃、美咲ちゃんがやってきた。
「こんな時間にどうしたの?」
「今日は掃除当番だったから。」
「あれ?宏君、傘持ってないの。」
「うん。」
「私の傘に入れてってあげる。」
宏と美咲ちゃんは相合傘で玄関を出た。
美咲ちゃんは宏の憧れの的だった。
宏は、とても嬉しかった。
宏は、今度は誰に傘を貸してあげようかと思った。

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