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回想(1分小説)

「渡、起きなさい。」
「渡、御飯食べなさい。」
「渡、友達来てるわよ。」
「渡、早く来なさい。」
お母さんの渡攻撃が毎日続く。
(もう、うるさいな。)
小学生の渡は、うんざり。
だまっていたら、
「渡、返事しなさい。」
と怒鳴られる。
お母さんが夢にまで出てくる。

あれから、10年。
渡は、1人暮らしの大学生活を始めた。
ある日、夢の中で、母が
「渡、渡、渡」
と呼んでいて、夜中に目を覚ました。
(お母さん、どうしているかな、今度のお盆には帰省しよう)
と渡は思った。

お盆に渡は電車に乗って帰省した。
家もお母さんも昔からのままだった。
家にいる間も、
「渡、御飯よ。」
「渡、お風呂入りなさい。」
「渡、夜遅くまで起きてると、目に悪いわよ。」
相変わらずの渡攻撃だった。
しかし、渡は嬉しかった。
(お母さん、これからも元気でいてね。)
昔が懐かしく、そして、今の幸せを噛みしめて、渡は寝た。

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