見出し画像

主婦の目(1分小説)

遥は商業高校の2年生だ。来年、3年生になったら進路をどうするか、真剣に決めなければならい。遥はきっとスーパーのレジ打ちでもして、そのうちお見合いでもして、お母さんのように主婦になるんだろうな、と思っている。だから、時々お母さんの手伝いをするようにしている。

遥は夕飯の準備の買い物に近くのスーパーに出掛けた。自分の食べたい物を買うという考えもあるが、主婦の目で商品を見ないといけない。
ドーナツが目に入った。120円だが、3割引きの値札が付いている。
遥は3時のおやつにしようと思った。

買い物から帰ると遥はお母さんにドーナツを36円もお得に買ったと自慢した。
お母さんは間髪入れずに言った。
「遥は不要な物を買ったのよ。36円得したんじゃなくて、94円損したのよ。」

遥には、まだ主婦の目は程遠いようである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?