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MY クラブミュージック HISTORY 其の肆 前編


はい、どうも。こんにちは。何かのきっかけで読んで下さる方々、ありがとうございます。其の參から少し日が経ちましたが、更新していきます。


前回は洗練された、尚且つポップな邦楽アーティストとの出会いを綴りました。今回はその日本のOtaku cultureに強く影響を受けた、欧米やヨーロッパ諸国のムーヴメントです。



と、その前に。

何の成果も得られなかった実習期間を終え、学生生活のクライマックスである試験&就職期間を迎えた僕とクラブミュージックが大好きな僕の友達の前に悲しいニュースが流れてきました。

僕らは言葉が出ませんでした。彼の才能は凄まじく、世界中の地に住む人々を楽しませ、俯いた隣人が居れば前を向かせ、立ち止まる時があれば進むべき道を教えてくれる、音楽でそれを可能にする事のできる感覚と技術を持っていた、類稀なミュージシャンでした。
天晴れ。

R.I.P  Tim Bergling







それでは、本題に移ろうと思います。


future funk、lo-fiとJ-RAP入門編
(其の肆 西洋圏との邂逅と因縁の決着)


Future funk:正体不明のノスタルジー

↑題名を読んでこう思った人がいるかもしれませんが、まあ落ち着いて下さい笑(安倍晋三)。


実習期間が終わり、東京から地元に帰ってきて少しだけひと段落ついたのも束の間、季節は次々死んでいくが如く、直ぐに忙しい期間がやってきました。
実習期間中も様々な音楽に出会い、メンタルを助けられた僕でしたが、実習の次にやってきた試験&就職期間には、実習とはまた別の意味で多くの刺激を与えられました。

前回の記事で紹介したtofubeats教授が主題歌を担当していた電影少女2018の時にも少しだけ触れましたが、この頃80年代リバイバルがジンワリほんのりとファッションや音楽においてブームとなっていた気がします。
詳細なタイトルを言うとアレなので一応は名前を伏せますが、あの人気ヤンキー漫画の実写ドラマ版もちょうどこの辺の時期であり、まさに80年代のちょっとダサくて古臭いけど逆にそこがいい(?)みたいな雰囲気が若者文化に僅かに浸透していました。


そのドンピシャなタイミングで、またいつものようにYouTube君が出してきたオススメがコレです。

80年代リバイバルというブーム下、その辺の時代のアニメにも興味が湧いたオタクの僕は、YouTubeで主にセーラームーンのfunny moments集を見たり、学校のオタク友達と幽☆遊☆白書の話題で盛り上がったりしていた(調べたが幽白もセーラームーンも90年初期です。本当にごめんなさい。うる星は80年代だヨ)。恐らくそれが高じてYouTubeが上記をオススメしてきたんだろう。
night tempoを知ったのはまさにコレがきっかけだった。さらにその下の楽曲はイギリス人のトラックメイカー、TANUKIの作品である。このトラックメイカーの名前はジブリの迷作ないし名作「平成たぬき合戦ぽんぽこ」から取られているのだというのだから、まあ、言わずもがなnight tempo君も然り日本のカルチャーに影響を受けた外国アーティストなんです。


重要なのは、何故レトロアニメなのか。という事。
「いや、そりゃ、お兄さん。その2人がアニメやシティポップといったジャパニーズカルチャーが好きだから以外の理由なんかないでしょうに。」と会話を終わらせてしまっても良い。ですが、Night Tempoのコチラのインタビュー記事↓では、彼が自身で作り上げたこのジャンルに対しての思いを話しているので、是非読んでみてほしい。

ただ、短期的なムーブメントとして消費されて終わらなければいいですね。ずっとこの文化を育てながら多くの人々に伝達してくれたらいいなと思っています。少なくとも専門家だとか専門店を名乗って活動するのであれば、それだけの責任感を持たなければならないというか。

Night Tempo君、ネットの権威ある音楽垢の方々からはあまり好かれてない印象なんですが、僕はやはり彼の音楽に青春時代を彩られた人間の1人なので嫌いにはなれないですね。
↑のコメントはかなりの皮肉だと思っていて、そもそもこの音楽ジャンルそのものが圧倒的に消費社会の産物だと思うんですよね個人的に。彼を始めfuture funkを作っているアーティスト達は、80〜90年代初期のバブルの雰囲気を高く評価していて、更にその辺の時代に生まれた色彩豊かなアートワークやポップ且つ技巧的なレイアウトで創 製作されたアニメーションを自分たちの音楽に取り込んでおり、それらは派手なバブル経済を象徴するかのようなデザインだと個人的には思う。

「リバイバル」という概念も、流行を作り上げるために多くのエンタメ企業が前時代のクリエイティブを利用した(凄く悪い言い方です)結果のものという要素もあると思うんです。


それでも、↑こういったローテンポにも関わらず乗り物で夜の街や海辺を疾走したくなるようなミキシングをする技術は本当にイカすな、と思う。この曲は試験期間が始まりたて+SoundCloudという素晴らしい音楽アプリと出会った頃に、サンクラ内で拾った。下校して帰宅後も自転車を走らせて夜の地元を駆け、受験勉強のために友達とファミレスに集まってた。今でもこの曲を聴いたら思い出す。

Future Funkはきびきびしていて速い、真夜中に120kmで走っているオープンカーが巻き起こす風みたいな。

https://ameblo.jp/chocolat-et-framboise/entry-12408517068.html



この曲も↑そう。やっぱりfuture funkのこの、得体の知れないノスタルジックさや自分の記憶の中にある「レトロ」の概念をコラージュアートが如くツギハギで繋げた夢幻的なサウンドは、この音楽にハマっていた当時の雰囲気をすぐに思い起こす事が出来るほどに思い出を色鮮やかにしてくれる。
僕が最も好きなトラックメイカーの1人であるfuture funk界の権威、マクロスmacross82-99と悲しいAndroidもインタビューでの質問にこう答えている↓。

Vaporwaveのアートワークや映像というのは、主に日本の80〜90年代くらいの頃のものをサンプリングしたものが多いですよね。そういったものを日本人が観て、ノスタルジックを感じるのは自然なことだと思うのですが、なぜ遠く離れたメキシコのあなたがそういったものからノスタルジーを感じたのでしょうか?

正直に言ってそれを説明するのはとても難しいけれど、それはたぶん父の影響だと思う。昔、父が僕に日本の何か、具体的には憶えていないんだけど、写真や絵を見せてくれたんだ。そのとき僕はそれを完全に理解することはできなかったんだけど、すごく印象的で、自分の心の中にずっと残っていたんだよね。

単純にVaporwaveよりもFuture Funkの方が踊れてハッピーなサウンドだよね。だからこそ、Future Funkの音楽は急激にポピュラーになったんじゃないかな。難解だったり悲しい曲を聴くよりも、踊れて楽しい方が誰でもいいよね。

https://spincoaster.com/interview-macross-82-99

僕たちが生きている現実がほんとうの現実なのか、想像したものを盲目的に信じ込んでいるだけなのか、といったことについて考え始めたんです。僕たちは誰かがプレイしているゲーム内のキャラクターかもしれない、人生全部がまるごと夢なのかもしれない、人生なんてないのかもしれない。

https://ameblo.jp/chocolat-et-framboise/entry-12408517068.html

下段の悲しいAndroidのインタビューは印象深い。future funkという音楽ジャンルの源泉が、いわゆる懐疑主義的哲学思想だというところ。よく当ジャンルで扱われているサウンドエフェクト「フィルター」によって、聴いている最中に夢の中にいるような浮遊感というか。脳が浮いているような感覚を与えられる事からも、このインスピレーションはfuture funkを語る上で重要だと思う。

ジャンルは違うんですが、初めてfuture funkを聴いた時は、supercarのYUMEGIWA LAST BOYを聴いた時の感覚に少し似ていた。そういう意味でもやっぱりHIGHVISIONは時代の先を征く名盤だった。


このノスタルジーを具体的言語で説明するのはかなり難しい。でも上述のインタビュー然り確かに親世代の影響も強いと思う。上記の80年代リバイバル時の10〜20代前半の親世代が、ちょうどバブルの時期に同じく10〜20代だったという事もあり。

ここでMYマクロスmacross82-99ベストトラックを載せておきます↑。いやもう、本当に。ファンクという既存のジャンルで全く新しい世界観を構築するのは感嘆の一言じゃあないか?
この頃は(受験勉強のストレスもあり)AKIRAを観てないにも関わらずこの動画で健康優良不良少年とか、クローズZEROの登場人物に憧れて、喫煙なんかしちゃって、めっちゃカッコつけてたなぁ、、。年齢に見合わない高二病、、。(今はNO smoking LIFEです)。
でもそれも良い思い出。

future funkの代表的な作品↑。


lo-fi HIPHOPとSoundCloud:
USアングラとotakuの融和

future funkによって日本文化が多くの海外アーティストに影響を与えた事を知った僕のInstagramアカウントのオススメ欄に、こんな感じの動画が流れてきた↓。

インスタで見つけた時は、上はAKIRA、下はカリ城のMADだった。
上:カナダはトロント(間違ってたらスンマソン)のラッパー9Tails、下:アメリカはオハイオ州のトラックメイカーsoft spokenの楽曲作品。future funkと同じく、日本のアニメ作品のワンシーンを切り取っている、今度はそれらとは全く違うジャンルであるHIPHOP

そう、HIPHOPである。↑の記事で綴りました、僕の個人的音楽史の中で偏見と怨念に満ちた出来事から実に5年以上の歳月が経過したタイミングで、遂に向き合う時期がやってきたんです(大仰)。


まず、lo-fiHIPHOPとは何か(ネットリ(石破茂)。

まあ、↑ここらへんにざっくり書いてあります、はい。
紹介した2つの曲の内、上の9Tailsのはちょいと違って、どっちかというとjuice Worldやlil peepにのようなエモラップに分類されると思うんですが、wikiに書いてある通りlo-fiとはそもそも悪い録音環境の中で製作されたアンダーグラウンド作品を指すので、僕の中では同タイプのものだという認識です。有識者の方々、お手柔らかにお願いします。

僕がこの辺の音楽と触れ合った時期は、受験&就職期間のど真ん中であり、焦燥感と無力感で極めて余裕のない時期でした。そのため、インスタなどの「見るだけ」のSNSで潰す程の時間しかなかったように思います。
その焦燥感や無力感といった暗い感情に、このダークで荒削りなサウンドが寄り添ってくれたんだと思います。

↑もインスタで発見。幽☆遊☆白書の映像で流れてきた。元ネタが思いっきりJ DillaのThe Antemだと知ったのはちょっと経ってからの事。

「lo-fiといえば」でお馴染みのこの画像↓よろしく、

著作権の問題で数年後、バチバチのパチモンになった

lo-fiHIPHOPて机に向かって勉強してる時に物凄くマッチする音楽なんですわ。基本的にボーカルが少し小さめに録音されており、それを包み込むゆったりJAZZサウンドやグニャリとしたエモロックサウンドのお陰で、心地良く・丁度よく聴き流せる。そしてその裏で深く響く、808ベースによるビート。


コチラ↑の動画の2:22〜あたりで紹介されているお爺さんのコメントから考えられる通り、lo-fiないしエモラップは極めて(当時)現代的な音楽ジャンルであったと思う。また、日本のアニメがどんどん躍進していく時期に台頭しており、otakuカルチャーと共にあったとも考える。

リルウジの痛Audi R8


このlo-fiHIPHOPとの出会いは、後に僕のHIPHOPに対する偏見が少しづつ剥がれていくきっかけの一つだった。当時ジョジョ第5部のアニメが開始された時期で、エンディングにjodeciが使われていた事や、そのエンディングをCoolioのGangsta's paradiseに差し替えた動画などをYouTubeで見つけた事で

西海岸系のHIPHOPやGファンクというあまりにもイカすオールドスクールジャンルを知る事ができた
(次の記事で)。


また、remix曲の素晴らしさを知ったきっかけでもあります。インスタで知ったlo-fiの曲群については、アングラ過ぎてYouTubeで調べるというよりは無料でそれらの曲が聴けるアプリがいいんじゃないか?ということで、ここでサンクラの登場です。

このアプリを使って、多くのアニソンやゲーソンのサンプリング曲を聴き漁っていました。海外トラックメイカーニキ達の熱意とセンスって本当に素晴らしい、、、。









すみません、突然ですがここで一旦終わりにします。
思った以上に多くのお気持ち表明をしなければならず最後まで書ききれませんでした。
其の肆は前編後編に分けます。

前回記事の其の參の最後で紹介した、この辺のJラッパーの方々へのクソデカ感情は後編にて。

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