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ホラー映画好き。 劇場公開ホラーはなるべくリアルタイムで追っていきたい派。時々日本未公…

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ホラー映画好き。 劇場公開ホラーはなるべくリアルタイムで追っていきたい派。時々日本未公開ホラーも。

最近の記事

ロルカン・フィネガン『ビバリウム』ネタバレ考察・感想・レビュー

家が欲しかっただけなのに…😭 郊外の住宅街に内見に行ったらそのまま帰れなくなって、更には知らん子どもの育児まで押し付けられる可哀想なカップルを描いた風刺系SFホラー。タイトル『Vivarium』の時点で既に不穏で、その不穏さをどこに見い出すかで幾重にも見え方を変える幅のある作品だった。 2000年代後半の金融危機でアイルランド経済が世界的に低迷した際に発生した「ゴーストエステート」が発想の出発点だったらしく、建設ブームで住宅が余ったために、購入者は不良債権を抱え込み、経済

    • ピーターストリックランド『ファブリック』ネタバレ考察・感想・レビュー

      領収書は捨てちゃダメ! 買ったドレスが勝手に動いたり、切り裂かれたはずなのに新品同様に戻ってたり…。「こんなキモいドレス要らない!」とブちぎれて返品に行ったは良いけれど、店員さんに「領収書がないなら無理です」と言われて完封される「領収書は大事」ホラー。領収書さえあれば…。ちなみにみんな大好きA24配給。 赤いドレスによる怪異譚としては、トビーフーパーのテレビ映画『ドレス』が思い浮かぶけれど、彼方が着た者の悪性を表面化させる内面投影のための装置であったのに対し、本作のドレス

      • クレイグゾベル『ザ・ハント』ネタバレ考察・感想・レビュー

        リベラルエリートが労働者階級の保守層を集めて人間狩りを楽しむブラムハウス産サバイバルホラー。アメリカで銃乱射事件と重なったために公開延期→やっと公開できたと思ったらコロナで上映中止&再び延期となった問題作。 リベラルエリートが娯楽のために人殺し(保守層)をするってだけで相当攻めた内容なわけだけど、上映前に物議を醸しまくってたらしい。どれほど政治的主張にまみれた尖った作品なのかと思っていたら、ブラックなユーモアがふんだんに散りばめられたコメディホラーだった。 例えば追手から

        • 『呪怨』の「呪い」との格闘『ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷』ネタバレ考察・感想・レビュー

          ホラー映画でお馴染みなリンシェイお婆ちゃんがインパクトと存在感で幽霊たちを圧倒するリンシェイ映画。もうタイトル『呪怨』じゃなくて『リン・シェイ』とかでも良いんじゃないかな。リンシェイお婆ちゃんに「私を養ってよ!」とか言われながら迫られる衝撃!!怖いよ😱 あと『サーチ』のジョンチョーも出てた!この人も顔面圧凄いよね! ジェニファー&ヨーコのハリウッド版第一作の世界軸を持ち出すところから始まり、連れて帰るという『呪怨パンデミック』、そして中川や佐伯家という日本オリジナルへの目

        ロルカン・フィネガン『ビバリウム』ネタバレ考察・感想・レビュー

        • ピーターストリックランド『ファブリック』ネタバレ考察・感想・レビュー

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          偏見への反抗!『ダークナイト(1981)』ネタバレ考察・感想・レビュー

          案山子ホラーの原点とされる作品。 知的障がいのある心優しい青年ババを殺人犯に仕立て上げて殺害したクソむかつく自警団のオッサン四人組。そいつらが何者かによって一人ずつ消されていく案山子ホラー。Blu-ray付属のリーフレットによると、案山子を中心に据えた最初のホラー映画らしい。 案山子ホラーとは言いつつも、ジャケ画像から想像されるような案山子の化物みたいなのは出てこない。知的障がい者に偏見を持ち、自分たちのコミュニティから排除しようとする田舎特有の陰湿さと魔女狩り的な排他主

          偏見への反抗!『ダークナイト(1981)』ネタバレ考察・感想・レビュー

          ベンウィートリー『A Field in England』ネタバレ考察・感想・レビュー

          本作は、清教徒革命時のイングランドを舞台にしたフォークホラー。爆発音が鳴り響く戦場という「現実」に背を向け、ビールを飲むために酒場を目指す4人の旅路を描く。とはいえ、現実逃避的な楽しいロードムービーなどではなく、暗いトーンで展開する寓話的な物語。その証拠に本作では「現実」が一切登場しない。映画開始と同時に、「現実」は長大な生垣の向こう側に押し込まれ、「現実」から生垣(境界)を越えてやってきた異界とも呼べるこちら側(Field)に物語は終始する。 主人公は、臆病で確固たる自己

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          ベンウィートリー『レベッカ』ネタバレ考察・感想・レビュー

          ウィートリー監督の過去作で脚本を担当し続けたエイミージャンプは監督の奥様。実際に奥様が書いた脚本にウィートリー監督が口出しをすることはほぼないようで、過去作の「らしさ」は奥様の存在が非常に大きかったのだと思われます。そして、本作『レベッカ』ではエイミージャンプは不在。偉大過ぎる前妻レベッカの不在を描くことで、その存在感を強調する『レベッカ』が、偉大過ぎる奥様の不在により、ウィートリー作品におけるその存在感を強調する結果となったのは何とも皮肉で面白い。というか夫婦であんなぶっ飛

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          アリスロウ『プリベンジ』ネタバレ考察・感想・レビュー

          私の赤ちゃんは「痛み」から生まれる… お腹の中の赤ちゃんから殺害指令を受けた妊婦さんが、赤ちゃんの父親の死の原因を作った連中にナイフ片手に復讐する「妊娠(pregnant)」+「復讐=(revenge)」=『プリベンジ(Prevenge)』な異色復讐ホラー。 妊娠すると仕事がなくなる。そんな映画業界(社会全体)に対する監督の想いを直球でぶつけた攻撃的な作風。監督は撮影時妊娠8ヶ月。監督業を諦めていたロウ監督は妊娠を理由にオファーを断ったけれど、妊娠という仕事をする上でのハ

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          『カラー・アウト・オブ・スペースー遭遇ー』ネタバレ考察・レビュー

          人里離れた山奥で暮らす家族のもとに突如落ちて来た隕石のせいで、果物は異形化、家畜のアルパカは大食いに、そしてニコケイもいつも通り楽しそうに狂うSFホラー。そして今まで何度も映画化されたラヴクラフト『異次元の色彩』の映画化最新作。トマトを手にしたニコケイのノリノリなジャンピングゴミ箱シュートは必見! 『襲い狂う呪い』では強烈な緑、『Die Farbe』では映像をモノクロにした上での紫の強調と、ラヴクラフトの原作では「描写するのが不可能なもので、色と呼ぶこと自体、たとえにすぎな

          『カラー・アウト・オブ・スペースー遭遇ー』ネタバレ考察・レビュー

          自分自身の幸福と向き合え!ジェシカハウスナー『リトルジョー』ネタバレ考察・レビュー

          ♫Happines Buisiness♫ なんて狂った歌がエンディングに流れる程度にはイカレた世界。作中でもワーカホリックと診断されるほどにHappines Buisinessな主人公アリスが、匂いを嗅ぐとハッピーな気持ちになれる植物を開発。息子のジョーよりも愛情を注いで大事に大事に育てたその植物にリトルジョーと名付け、育児(ジョー)と仕事(リトルジョー)のどっちが大事なんか問いかけるワークライフバランス映画。 ジェシカハウスナー監督のカンヌ初コンペ選出で話題になった現代

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          真の透明人間は誰か?リーワネル『透明人間』ネタバレ考察・レビュー

          真の透明人間は誰か? 流石のリーワネル。前作の『アップグレード』も前々作の『インシディアス序章』も既存の使い古された枠組みを再構築して「魅せる楽しさ」を意識した演出を取り入れることで方向転換させたものだったけれど、やはり本作も同様でワネル監督らしさ溢れる楽しい作品になっていた。 本作は『透明人間』のリブートと銘打たれてはいるものの、全くもって正統派ではない。完全に亜流。そもそも透明人間は「透明状態から元に戻ろうとする」こと、もっと言うと「なぜ戻るのが困難なのか」ということ

          真の透明人間は誰か?リーワネル『透明人間』ネタバレ考察・レビュー