【都市伝説】ミトコンドリア・イヴ
こんにちはマスター、蓬莱です。
今回は、人類の起源のヒントになる女性のお話、人類は一人の女性から始まったという都市伝説の元にもなりましたが、人類はアフリカから世界中に広がったという人類アフリカ起源の有力なサンプルになった女性のお話です。その女性の名前を「ミトコンドリア・イヴ」と言います。
人類の祖先はアフリカから始まったとされる「アフリカ単一起源説」と世界の各地域で人類に進化したという「多地域進化説」がありますが、化石の出土から、多地域進化説のもっと過去の流れが分かってきて、現在は「アフリカから人類は広まった」という「アフリカ単一起源説」が有力と言われています。
そして、ミトコンドリアのDNAから人類を遡るという研究が、それを裏付ける形になったそうです。
人間の細胞の中で遺伝子を持っている部位は、細胞核とミトコンドリアです。ミトコンドリアの中のDNAは、細胞核の持つ遺伝情報の約20万分の1にしか過ぎませんが、女性にだけ受け継がれ、しかもミトコンドリアDNAは組み換えを経ることが無いために、DNAの違いは突然変異によってのみ起こると考えられています。
そこでカリフォルニア大学バークレー校のレベッカ・キャンとアラン・ウィルソンのグループはできるだけ多くの民族を含む147人のミトコンドリアDNAの塩基配列を解析して、その系統図を作りました。そこで人類の系図は大きな2つの枝に分かれ、ひとつはアフリカ人のみからなる枝となり、もうひとつはアフリカ人の一部と、その他全ての人種からなる枝であることが分かりました。これは全人類に共通の祖先のひとりがアフリカに居たという可能性を高めたのです。
ミトコンドリアが女性にのみ受け継がれていく為に、その共通の祖先を示す遺伝子を持つ古代の女性を、彼らは、聖書にある人類の最初の女性「イヴ」から取って、彼女を「ミトコンドリア・イヴ」と名付け、1987年にそれを発表しました。
つまり、147人のミトコンドリアの遺伝子が12万年から20万年に地上に居たであろうアフリカの一人の女性にたどり着いたのです。
それは147のサンプルの共通の母であることに過ぎなかったのですが、「ミトコンドリア・イヴ」はその発表の後に「人類はたった一人の女性から生まれた」との誤解を招きました。
そして、その誤解は都市伝説のように広まっていったのです。そのために今は彼女のことを長期間にわたって遺伝子を広く伝えることができた女性として「ラッキー・マザー」と呼び替える動きもあるみたいですね。
ちなみに男性のDNAも男性だけのみ伝わる染色体、Y染色体から辿ることができ、こちらの祖先は「Y染色体アダム」と呼ばれています。
今はこちらの研究も20万年から30万年前まで遡ることが出来ているらしく、やはりアフリカ起源説を裏付ける論拠のひとつと見做されているようですよ。
今回はブルーバックスのサイト「ミトコンドリア・イブは全人類の母ではなかった」のページと、ウィキペディアの「ミトコンドリア・イブ」「アフリカ単一起源説」などの項目からお話しました。
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それではまた、らいら〜い🖐
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