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Tinderでマルチ勧誘された話#2

初対面で夢の話は頭ディズニーランドかよ、
と思ったのを鮮明に覚えている。
この時点でだいぶ香ばしい雰囲気になってきたのも覚えている。
自分の夢を何と答えたのかはあまり覚えていないが、初対面の男女がお互いに夢を語り合うキャンプファイヤーみたいな状態になっていた。
最終何をするにもお金が必要だよね、という所に着地した。
ポチャ子は自分の夢を叶えるために(確か世界一周とか)不労所得を得ているらしい。
いかに汗水垂らして働くことのが時間の無駄か力説され、あまりいい気分はしなかった。
一方ポチャ子はどんどんテンションをあげていき、「堀田くんは信用できるから、ビジネスの話をしたい。私の1番尊敬している師匠に会って欲しい。」と言われた。
師匠はたまたま近くにいてたまたま時間が空いているので呼べば直ぐに来てくれるらしい。
何かの勧誘だこれ...と流石に気付いたが、ポチャ子のあまりの熱量に負け、「是非会ってみたいです〜!」とか言ってた。
師匠は数分で到着した。
オールバックにサングラスと柄シャツ、完全に呂布カルマである。(以下呂布)
残念ながら木の枝は持っていなかった。
いつの間にかポチャ子は俺の隣に移動し、呂布と対面になっていた。
もう逃げられんな〜と思った。
呂布とも軽い挨拶を交わし、少し雑談をした。
呂布も俺と同じく毎週片町で飲んでおり、片町は彼の庭らしい。
いてーなこいつ、と思っていると呂布はおもむろにスケッチブックを取り出し、マーカーで大きく「NB」と書いた。
「堀田くん、NBって何か分かる?あっニューバランスじゃないよ(笑)」
何も面白くねーよクソが。
分かりません、と答えるとネットワークビジネスの略だと教えてくれた。
特定の化粧品を誰かに紹介し、それを買うと紹介料が貰えるらしい。
その人がまた誰かに紹介すると、大元の俺にもお金が入る、というシステムだそうだ。
完全なマルチやないかい。
本当に興味がなかったが、へ〜とかすごいなァとか適当に相槌を打っていた。
呂布は自分達のビジネスがいかに優れているか、所謂一般人達がいかに損をしているかを力説し始めた。
呂布に説教される俺、隣には微笑むポチャ子。
普通に手とか握ってくる。
ゴリゴリ来んなや髭面...
俺はもう泣きそうだった。(続く)


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