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模擬授業93.「いじめの予防・対応」

2007年5月13日。TOSSデー若葉での講座「中学校(特に女子)のいじめ」の予防・対応


1.プラス思考にさせるHR

岡田健治氏「ライフスキルテキストで、子どもの人生観を変革する」を「修正追試」した。いじめを予防し、プラス思考にさせるためのホームルームである。中1のホームルームで行った実践記録を紹介する。
発問1 集団生活において、悪いことを箇条書きで書きなさい。1つ書けたら見せにきなさい。
赤丸をつけて、黒板に書かせる。
・悪口・陰口・いたずら・意地悪・いじめ・仲間はずれ・責任転嫁・勝手な行動・グループで固まる
発問2 悪いことをしたときに、それを知っている人が必ず一人います。それは誰ですか。
全員で言う。ほとんどの生徒が言えた。「自分」
説明1 悪いことをしたり、考えたりすると、脳からノルアドレナリンというホルモンが出ます。ノルアドレナリンは毒なのです。
発問3 ノルアドレナリンが出ると、体はどうなると思いますか。
列指名。5人指しても、何も答えが出なかった。6人目から次々と答えが出た。
・病気になる・早死にする・身も心もぼろぼろになる
発問4 集団生活において、いいことを箇条書きで書きなさい。1つ書けたら見せにきなさい。
・友達ができる・楽しく話せる
「挨拶をする」「親切にする」という答えは出なかった。教師が言ってもよい。
説明2 いいことをしたり、考えたりしていると、脳からβエンドルフィンというホルモンが出ているのです。
発問5 βエンドルフィンが出ると、体はどうなりますか。
・病気にならない・長生き・元気になる。
説明3 人間の脳は、いいことをする人、みんなと仲良く暮らせる人を、健康にして幸せになるように作られているのです。
指示1 正しいと思うものに手を挙げなさい。
(1)「病は気から」ということわざは本当のことだ。
(2)人間は、おこったり、悪口を言ったりすると、病気や早死にになる毒が出る。
(3)人間は心のもちようで病気を防ぐことができる。
(4)世の中のためや人のためになるよい行動をすれば健康で長生きする。
(5)「あいついやなやつだ」とか「あいつに意地悪してやろう」など、悪いことを思うだけでも体に害がある。
答えは、すべて正しい。
30人中、(1)14人、(2)20人、(3)28人、(4)30人、(5)30人が挙手した。

次の日、感想をプリントとして配布。
以下、生徒の感想。
・ 少しの悪口でも自分の体や心をきづつけるのがいやだと思った。
・ いじめる本人も悪いことを考えているから、自分で自分自身をキズつけるてると思った。
・ 人のいやがることはけっしてしてはいけないということ。
・ 自分がダメになることが一番おそろしい気がする。

≪先行実践≫

岡田健治氏「ライフスキルテキストで、子どもの人生観を変革する」TOSSランドNo.2320133
白川太一氏「プラス思考の授業(脳内革命)」TOSSランドNo.2210074
白石高士氏「プラス思考をうながす道徳の授業」TOSSランドNo.2210091

2.悪口・陰口を予防するHR

河田孝文氏「弱いものいじめをしない」を「追試」した。悪口・陰口をなくすためのホームルームである。以下、中学1年のホームルームでの実践記録である。

説明1 人間の脳は3つの部分で出来ています。「ヘビの脳」、「猫の脳」、「人の脳」です。「ヘビの脳」は、息を吸ったり、ものを食べたり、眠ったりなどの命令を体に出す脳です。この脳が働かないと、人間は生きていくことが出来ません。「猫の脳」は、喜んだり、怒ったり、悲しんだりするための脳です。「人の脳」は、人間だけにあり、ものを考えたり、覚えたり、言葉を話したり、勉強したりする脳です。
説明2 人をいじめると、脳のある部分を攻撃することになります。
発問1 どこを攻撃すると思いますか。
「ヘビの脳」「猫の脳」「人の脳」から挙手させる。全員が「人の脳」に手を挙げた。答えは、「ヘビの脳」
説明3 いじめは、「ヘビの脳」、息を吸ったり、ものを食べたり、眠ったりする力を奪っていることになるのです。相手の命をどんどん縮めている、殺人をしているのと同じなのです。

新聞の記事の要約を読む。
(1)いじめる高校生退学、小中学生は転校(中国新聞1996年8月22日)
いじめをする児童、生徒は親に説明していじめを受けた児童と学級を離される。それでもいじめを続けるのなら高校生は退学、小中学生は転校しなければならなくなる。
発問2 いじめをした生徒は、どうなりましたか。漢字2文字で2つ書きなさい。
全員で答える。ほとんどの生徒が言えた。
「退学、転校」
(2)暴行認定し賠償命じる(朝日新聞1996年10月26日)
石川県のある小学校の児童は同級生から殴る、蹴る、ロッカーに閉じこめられるなど集団で暴行を受けてけがをした。いじめられた子の親はいじめた子の親8人を裁判所に訴えた。裁判所は、いじめた子の親に対して慰謝料として35万円払うように命じた。
発問3 いじめをした生徒は、どうなりましたか。
列指名。2人目で答えが出た。「訴えられる。」
(3)いじめた生徒の父親自殺(朝日新聞1996年10月1日)
鹿児島県のある中学校の男子生徒がいじめを苦に自殺した。自殺した子の遺書にはいじめた子の名前がはっきり書いてあった。いじめた子の父親は「自分の子どもがいじめをして自殺に追い込んだのだ」とそれを苦にして自殺した。
発問4 いじめをした生徒の父親は、どうしましたか。
全員で答える。さっきよりも多くの生徒が言えた。「自殺」
話をしっかり聞いていることを大いに誉めた。
説明4 「いじめ」をすると、いじめられた人だけでなく、いじめた人もその家族もみんな不幸になっていくのです。
発問5 多くのいじめは、何から始まると思いますか。
真剣に書いているときに、
説明5 悪口・陰口です。
余韻を残すように言う。
指示1 今日の感想を書きなさい。2分です。
すぐに、感想を書きはじめた。

次の日、感想をプリントとして配布。
以下、生徒の感想。
・両親にめいわくをかけるのはいやだと思った。
・やっぱり悪口やかげ口は良くないことだと思った。
・悪口やかげ口で、自殺してしまったりするから言わない方がいいと思った。
・悪口など人のいやがることはけっしてしてはいけないということ。
・いじめた子の親が自殺してしまったのには、あらためて本当にいやだな・・・と思いました。
・いじめした人は罪がとてもあるなと思った。

≪先行実践≫

河田孝文氏「弱いものいじめをしない」(向山洋一著『学校の失敗』扶桑社)
白川太一氏「いじめを無くす授業」TOSSランドNo.2210041
高野宏子氏「「いじめ」の授業」TOSSランドNo.2210105
西岡美香氏「のうみそくんはしっている」TOSSランドNo.2210169

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