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現代お笑い論

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【不定期連載】気鋭の美学研究者、鈴木亘さんによるお笑い評論です。お笑いをより深く楽しみたい方に。
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記事一覧

【現代お笑い論】#004 爆笑問題 太田光に見る「冗長」の美学 鈴木亘

※こちらのnoteは鈴木亘さんの不定期連載「現代お笑い論」の第四回です。他の記事はこちらから。 爆笑問題 太田光に見る「冗長」の美学爆笑問題と神田伯山の冠番組である「爆問×伯山の刺さルール!」が9月で終了するのが悲しい。前身の「爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!」と「太田伯山」(→「太田伯山ウイカのはなつまみ」)から毎週楽しみに見ていたが、幾度ものリニューアルを経て終わってしまった。 番組はひとつ終わるとはいえ、爆笑問題の存在感はむしろ、ここ数年で間違いなく高まっている

【現代お笑い論】#003 業界用語でお笑いを語る観客たち──お笑い批評と仕事術 鈴木亘

※こちらのnoteは鈴木亘さんの不定期連載「現代お笑い論」の第三回です。他の記事はこちらから。 業界用語でお笑いを語る観客たち──お笑い批評と仕事術連載の第1回で、人々がどんどんお笑いについて語るようになっている、と書いた。次に考えたいのは、人々はどのようにお笑いについて語っているのか、ということだ。 言葉や比喩、観点、枠組み、評価軸の語り等々、さまざまな点から考えることが可能だが、今回取り上げたいのは、最近のお笑い語りの言葉、もっと言うと「用語」についてである。 近年

【現代お笑い論】#002 笑点の新メンバーはどんな人?いま、世界一面白い落語家を見逃すな! 鈴木亘

※こちらのnoteは鈴木亘さんの不定期連載「現代お笑い論」の第二回です。他の記事はこちらから。 笑点の新メンバーはどんな人?いま、世界一面白い落語家を見逃すな! 春風亭一之輔が笑点の新メンバーになった。下馬評通りとはいえ、個人的にはかなり意外だった。きっと多くの落語ファンもそうだったのではないだろうか。しかし改めて考えてみれば、最もあるべき人選だったようにも思う。一之輔は『笑点』を、そして落語界全体の未来を引き受けたのだ。 この記事では、一之輔を入り口として、しばしば作家に

【現代お笑い論】#001 誰もがM-1について語る時代に、より深くお笑いを楽しむには? 鈴木亘

※こちらのnoteは鈴木亘さんの不定期連載「現代お笑い論」の第一回です。現代ビジネスに掲載された原稿(https://gendai.media/articles/-/105145)に一部加筆したものです。 誰もがM-1について語る時代に、より深くお笑いを楽しむには?気鋭の研究者による鮮やかな論点の整理 数あるお笑い賞レースの中でも、M-1グランプリほどに議論を巻き起こすコンテストはない。そして、これほどお笑いについて観客が「語る」機会もないだろう。予選の段階から、本命や注