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コンビニのオーナーは"労働者"でも"資本家"でもなく"小作農"である件

(写真はぱくたそ(www.pakutaso.com)より)

過酷なコンビニの労働環境

 コンビニのオーナー経営者や労働者の労働環境に注目が集まっています。
セブンイレブンで、とあるオーナー経営者が、働く者(オーナー自身含む)にとって過酷な24時間営業をやめて短縮営業をしたところ、本部から契約解除や違約金請求の警告を受けて話題になりました。つまりコンビニのオーナー経営者は、24時間営業することを本部から義務づけられているわけです。
(ちなみにセブンイレブンの本部は、営業時間を短縮する「実験」を一部で開始すると発表しましたが、これはあくまでも実験であり、今後どうなるのかは現時点では不明) 

 さらにオーナー経営者たちが加入する労働組合(ユニオン)は本部に対して、営業時間の短縮などを認めるよう求めて団体交渉を申し入れましたが、本部側は、そもそもオーナー経営者は労働者ではないとして、現時点では団体交渉には応じていないようです。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190307-00010000-bfj-soci

オーナー経営者は「労働者」ではない

 ご存知のとおり、コンビニのオーナーは、フランチャイズの企業の本部と契約を締結し、自分で店舗を経営し、必要なら店員を雇用して、本部から支援を受けつつ、一定の基準に従ったロイヤルティ(悪い言い方をすれば上納金)を本部に支払うという立場にあります。
 つまりオーナー経営者は、本部に雇われて労働を提供して賃金をもらっている立場ではないので「労働者」ではなく、逆に自分で資金を調達し店員を雇って経営をするので、敢えていえば「資本家」ということになるでしょう。

オーナー経営者は「資本家」である・・・のか?

 しかしここで注意しなければならないのは、オーナー経営者には契約上いろいろな制約が課されていて、自由に自分の判断で営業形態を決めることができないということです。
 まず上記のように24時間営業が義務づけられており、商品の仕入先も販売価格も決まっています。さらに売れ残った商品(特に飲食物)を安売りして完売させることもできず、売れ残りを捨てることによる損害はすべて自分がかぶることになります。
 本部に逆らえば契約を解除されて、たちまち店を失います。また多くのオーナー経営者は資金的に余裕がなく、本部やその他の機関から多額の借入金をして店を立ち上げているのが実情です。

 このように考えると、オーナー経営者を「資本家」と考えるのは、形式的にはともかくとして、実質的にはかなり実情からかけ離れている感じがします。
 それでは、オーナー経営者の立場はどう考えれば良いのでしょうか。

オーナー経営者は「小作農」に近いかも?

 あまり厳密な表現ではありませんが、私は個人的には、コンビニのオーナー経営者に近いのは、昔の「小作農」ではないかと思っています。詳しく説明しましょう。

 終戦直後の農地改革までは、日本の農家の多くは自分の土地を持たない小作農でした。
 土地の所有権は地主が握っており、小作農は、地主から農地を貸してもらって自分で耕作・経営し、収穫の一定部分を地主に地代として「上納」するという形で生活していたのです。
(地主に雇われて賃金をもらっていたのではないことに注意して下さい。)
 ロイヤルティとして粗利の一定部分を本部に「上納」するオーナー経営者に似ているのではないでしょうか。

コンビニの企業の本部=大地主
コンビニの店舗=農地
オーナー経営者=小作農
バイト店員=小作農が忙しいときに手伝う季節労働者

…と考えると、イメージ的にぴったりくるように思うのです。

よろしければお買い上げいただければ幸いです。面白く参考になる作品をこれからも発表していきたいと思います。