見出し画像

ギャルソン魂。(テレビドラマ「王様のレストラン」を観て)

TVerで配信されている「王様のレストラン」を鑑賞している。

松本幸四郎さん(現:2代目・松本白鸚)演じるギャルソンが、個性豊かなメンバーたちと共にフレンチレストラン「ベル・エキプ」を切り盛りするという話。レストランを知り尽くすギャルソンに、当時憧れを持った方も多いのではないだろうか。

「王様のレストラン」
(演出:鈴木雅之、河野圭太、1995年)

ギャルソンの千石せんごくは、初代オーナーのもとで勤務し、「伝説のギャルソン」として知られていた。初代オーナーとの方向性の違いで店を辞めていたが、2代目オーナーに請われて復帰。さぞバリバリと現場を取り仕切るのかと思いきや、千石の腰は低い。

やる気のないシェフ、経営力のないディレクトール、明らかに能力に欠けているメートル・ド・テル……。彼らを叱咤激励するわけでもなく、対話を試みながら、なんだかんだ実力以上のものを発揮させ、「ベル・エキプ」に奇跡をもたらすという筋書きだ。

TVerでは、現在7話まで配信中。さすが三谷幸喜脚本というか、懐かしさよりも「新しさ」を感じるテレビドラマだ。

*

今日は、そんな千石さんの姿から連想した「ギャルソン魂」についてnoteに書いてみたい。

ちなみにギャルソンとは、フランス語で男性給仕を指す言葉だ。つまりウェイターのことで、女性給仕は「セルヴーズ」と呼称するそう。(ここではドラマに敬意を示す意味で「ギャルソン」という言葉を用います)

僕はバー&レストランのウェイターを4ヶ月で辞めるほど、この仕事の適性はないのだが、千石の振る舞いを見て、ギャルソンの仕事の肝は「対話と観察」にあると感じる。

レストランに何か足りないことはないか、従業員に困っていることはないか、お客さんが本当に求めていることはなにか。

例えば2話では、山口智子さん演じるやる気のないシェフの才能を見出す。彼女の行動を観察し、「実は負けず嫌いである」ことに気付くと、夜が明けるまで、とことん新メニューの開発に取り組んでいく。オーナーと懇意の関係にある千石だから、「シェフなんだから新しい料理をつくれ!」と命じることもできた。しかし千石はそうしない。腰は低いが、言うべきことはしっかりと言う。「対話と観察」を重んじてきた証だろう。

徹底的に観察し、対話を繰り返しながら最適解を図っていくのだ。

*

そんなギャルソン魂を真似て、昨日訪ねた美容院で、若い美容師に「おすすめの映画」について話をしてみた。

僕が映画好きであることを知った彼に、「おすすめの映画、何かありますか?」と聞かれたことがきっかけだ。「おすすめの映画」と聞かれると、けっこう難しい。それまで僕は、そのときの気分に応じてむにゃむにゃと回答することが常だった。

ギャルソン魂の肝は「対話と観察」だ。

私:「普段どんなジャンルの作品を観るんですか?」
美容師:「ホラーとか好きです!」「最近だと『FALL/フォール』や『M3GAN』も鑑賞しました」「サブスクではU-NEXTとNetflixに加入しています」
私:「チョン・ジョンソさんが狂気をまとったシリアルキラーを演じる韓国映画「ザ・コール」はどうか?Netflixで観れます。あらすじは〜」
美容師:「わ、面白そうですね!」

嬉しかった。

自分の中にある「おすすめ魂」はいったん脇に置いて、相手との対話を試みる。もしかしたら、彼の服装や言葉遣いなどを観察していたら、もっと良い「おすすめ」もできたかもしれない。

マーケティングでも「顧客のニーズを掴むことが大事」といわれる。

でも、けっこう難しいものだ。そうではなく「ギャルソンのように振る舞うのはどうか?」を意識することで、仕事にも活かせるかもしれない。

困ったときはギャルソン魂を思い出せ。千石さんだったらどう振る舞うか。

「王様のレストラン」から良いヒントをもらえた。残りの放送回も楽しみである。

──

「王様のレストラン」のスタッフ情報を調べていたら、なんと主題歌は平井堅さんでした。いつも観ていたのに気付かなかった……。エンドロールで流れる馴染みの曲のはずで、センス良い楽曲だなとは思っていたのですが。

ドラマで使われている「Precious Junk」という楽曲は、平井さんのデビューシングルです。Music Videoは時代を感じますが、楽曲は素晴らしいので、ぜひ聴いてみてください。(編曲はジョー・リノイエさん)

#ドラマ
#ドラマレビュー
#ドラマ感想文
#フジテレビ
#ギャルソン
#王様のレストラン
#鈴木雅之 (演出)
#河野圭太 (演出)
#三谷幸喜 (脚本)
#松本幸四郎
#筒井道隆
#山口智子
#鈴木京香
#西村雅彦
#小野武彦
#平井堅 (主題歌) #PreciousJunk
#TVer または #FODプレミアム で観れます。

この記事が参加している募集

ドラマ感想文

記事をお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただくのも嬉しいですが、noteを感想付きでシェアいただけるのも感激してしまいます。