秘書兼職を巡る報道が、有権者の首を締めることにならないか。

気になる政治のニュースについて。

市区町村の議員を務める傍ら、国会議員の公設秘書を兼職する。どちらが「兼」になっていたのか現状は定かではないけれど、毎日新聞の調査によると、「兼職届」を提出していなかった日本維新の会に加え、自民党、立憲民主党で少なくとも4名の議員が、地方議員を公設秘書として兼職させていたという実情が明らかになった。

このニュースを見て、「けしからん!」というのは簡単だ。毎日新聞の記事では、茂木敏充幹事長は「法律的に問題がないにしても、見直してもらうことが望ましい」と見解を述べていることが紹介された。

立憲民主党では、栃木2区の福田昭夫が日光市議を秘書として兼職させていたことが、地元紙の下野新聞にて報じられている。

2023年3月4日の下野新聞では、県内全25市長議会の議員に支給されている月額報酬が掲載されていた。それによると、日光市の月額報酬は38万円、期末手当は181万円となっている。「38万円×12ヶ月+181万円=637万円」が少なくとも当該議員には支給されることになる。(それ以外にも日当など、各種手当がつくことになる)

この金額を多いか、少ないか、判断するのはなかなか難しいところだろう。

地方の日光市であれば、生活していく分には十分な収入ともいえるかもしれない。

(ちなみに栃木県の市町村で、最も報酬が少ないのは那珂川町。月額報酬は22万円で、期末手当は83.4万円だ。347.4万円が那珂川町町会議員のベースとなる年収になる)

*

有権者の首を締めることにならないか、とタイトルで記した。

マイナビ転職が調査した「業種別モデル年収平均ランキング2023」によると、上位は「1位「外資系金融」(1,683万円)、2位「生命保険・損害保険」(846万円)、3位「環境関連設備」(791万円)」という形でラインナップされている。もちろん平均なので、都市なのか地方なのか、年齢やキャリア、実力などの個別事情は勘案されていない。

別に僕は、議員の年収が安すぎる!と糾弾したいわけではない。

しかし、「安い」と感じる方が多いのであれば、(特に)地方議員の成り手というのはかなり限定されてしまうのではないか。

例えば、世襲議員が多いのはこういったことに起因しているかもしれない。「年収は低いけれど、一家で生計をやりくりできれば、個人の年収と帳尻は合う。むしろそれ以外の便宜を図ってくれるのならばオッケーだ」といったドラマみたいなロジックも成立しそうだ。

言うまでもなく、国会にせよ地方議会にせよ、多様な人材が登用されることが望ましい。年齢や性別、バックグラウンドなどが異なることで、多様な意見を議員が代弁することになるからだ。そんな中で有望な若手が「議員になるよりも、エンジニアになった方が得だ」「議員には興味があるけれど、家族の暮らしを考えると議員を選ぶことはできない」といったマインドになってしまったら、それは有権者にとって損でしかないだろう。

問われるは、仕事のアウトカムであるべきだ。

感情論で、「けしからん!」を続ける限り、この国の未来は決して良くなりはしない。

#毎日新聞
#下野新聞
#秘書
#秘書兼職
#議員報酬

記事をお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただくのも嬉しいですが、noteを感想付きでシェアいただけるのも感激してしまいます。