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選挙に行かないと67万円を無駄にする

一部有料にしていますが、本noteの趣旨は無料で読めますので、ぜひ最後までお付き合いください。

もし、あなたの手元に67万円があったとして。

67万円をゴミ箱にあっさり捨てる人はいないでしょう。

でも恐ろしいことに、4年に1度、50〜60%の人が67万円を無駄にしています。「投票に行かない」選択をしている人たちです。

何を言ってるんだ?と言われるかもしれませんが、事実です。

今年度の東京都の予算(⼀般会計歳出総額)は7兆4,250 億円。2019年7月時点の有権者数は11,396,789人。割り算すると67万円です。有権者は本来、67万円の使い道を決めることができるのです。

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ただ「誰に / どこに投票したら良いのか分からない」という悩みがあるのも事実です。僕らは「投票のやり方や考え方」について教わったことがない。中学の社会科や、高校の政治経済の授業で選挙について学びましたが、選挙権の行使の仕方に関する指南は受けませんでした。

僕も、毎回選挙には行っています。

自信や確信を持って投票しているわけではありません。候補者の勝ち / 負けに一喜一憂するのは違いますし、より効果的な選挙への関わり方があるのでは?とモヤモヤしていました。

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そこで参考にしたのが谷隆一さんの『中高生からの選挙入門』という本です。ここにはたくさんの選挙Tipsが書かれています。僕が「なるほど」と思ったポイントを3つほど紹介します。

なおこのnoteでは、国政に合わせて、与党を自民党・公明党、野党をそれ以外としています。都議会における与党は都民ファーストの会なのですが、コロナ対策など、国の影響をモロに受けている状況の中で、国政と行政を切り離すことはできないからです。

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1. そのままの政治で良いなら与党、変えた方が良いなら野党

「与党の政治には不満はあるけど、批判ばかりの野党に投票するのも違う気がする……」という悩みをお持ちの方もいるでしょう。

ですが「そのままの政治で良いなら与党、変えた方が良いなら野党」というセオリーに即した方が良いと思います。

選挙とは、現政権への評価という意味合いが強いです。あなたの判断基準がコロナ対策への信任・不信任だったとすれば、「菅さんのコロナ対策に概ね満足している」なら与党だし、そうでなければ野党に投票する。ここでまず、2つの道に分岐することができます。

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2. 入れたい候補者でなく、勝てそうな候補者を選ぶ

せっかく投票する以上は、自分の一票を「当選に影響する形」で使った方が賢明です。そのため大差で当選する人や、どう頑張っても当選できない人への一票は避けた方が良いでしょう。

議会とは、多数決による「数の論理」がものをいう場所です。今年度の国会では見送られた選択制夫婦別姓の法制化も、賛成よりも反対の方が多かったことが原因です。下のURLを見て分かるようにほとんどの党が選択制夫婦別姓に賛成にも関わらず、与党である自民党の反対に押し切られた形となっています。

もしあなたが、選択制夫婦別姓に対して賛成の立場であれば、まずは与党の議席を「増やさない」ことを考えなければなりません。野党の票は割れる傾向にあります。割れてしまうと、一番得するのは与党です。じっくり考えて与党の議席を「増やさない」方策を考えるのが重要です。

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3. 当落線上の候補者に投票する

谷さんは以下のように書いています。

はっきりいって、市議会議員選挙などでは、組織票をもつ上位の人たちの当選は、ほとんど最初から決まっています。大事なのは、当落線上の誰を議会に送り込むかです。その2つ、3つの議席によって、新たに生まれる議会の性格が決まっていくのです。わずか3席程度……と思うかもしれませんが、その3席が3つとも与党、あるいは3つとも野党なら、それによって議会のバランスが変わるのです。
(谷隆一『中高生からの選挙入門』P52より引用)

誰が当落線上なのか……を知るのは、なかなか難しいところです。

国政選挙の場合は途中結果としての世論調査も出て、だいたいの趨勢は事前に把握できます。SNSなどあらゆるメディアやツールを駆使して、「誰がいけそうか」「誰がギリギリなのか」を意識的にチェックしておきましょう。

谷さんは「落選したとしても票は意味をもつ」と書いています。選挙では当選・落選だけでなく、「どんな風にして勝ったか」という点も大事だからです。圧倒的な大差で勝敗が決すれば発言力が強くなりますが、ギリギリで勝ち抜いた場合は、対立意見を気にしないわけにはいかないのです。

支持しない候補者が当選したとしても、彼らは「敵」ではありません

僕らが選んだリーダーなわけで、彼らがどう動いていくか、それを決めるのは一人ひとりの有権者です。僕らが率直な意見を言いやすいような状況を作れるかどうかも選挙にかかっていると言えます。

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「今の社会は何かおかしい」と思う人は、絶対に投票に行った方が良い

冒頭で、「67万円が無駄になるから」というネガティブな理由で投票に行くべきと主張しました。ですが、それ以外の理由ももちろんあります。

投票率が低ければ低いほど、組織票を持った人たち(与党)が有利になるという事実です。

1万人の有権者がいたとします。2千人は与党、1千人は野党Aの支持母体だとします。支持母体の人たちはどんな悪天候でも選挙に行きます。なので投票率が30%しかなかったら、

<投票率が30%だった場合>
・与党…2,000票
・野党…1,000票
結果:与党が野党の2倍の得票数で勝利(つまり圧勝)

となります。それ以外の人たちの意思は届きません。これが投票率が80%だったらどうでしょう。

<投票率が80%だった場合(得票数は与野党で半分ずつだったとき)>
・与党…4,500票
・野党…3,500票
結果:与党が僅差で勝利(しかし4割以上が支持していないため与党は対立意見に配慮せざるを得なくなる)

という感じになります。白票が意味がないというのも同じ論理です

与野党にとって意味のあるのは「どこに投じられた票なのか」ということなのです。

「何となく不安だけど、誰にも賛成票を投じたくないから選挙には行かない」というのが、何にも増して無駄というか、もったいないと言えます。

また投票に行くと、政治のことが一気に自分事化します。政治に関する情報を無意識的に集めるようになり、ノイズだった選挙演説が「何を話しているんだろう?」という興味に変わります。

投票において、正しい / 正しくないは存在しません。候補者の勝ち負けだけが選挙の意味ではないからです。

「情報のない自分なんかが一票を投じて良いのか」と不安になる必要はありません。考えられる限りのベストな一票を投じることに意味があります。

ということで、東京都民の皆さん、ぜひ選挙には足を運びましょう!

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それを踏まえて、僕の投票先は……

という中で、期日前投票を利用し、僕は東京都議会選挙の投票を行ないました。

ここからは個人的な話というか、自分が今回の東京都議選で投じた一票についての考察です。自らの備忘録という意味合いも強く、有料とさせていただきました。(選挙の参考というより「こんな選び方もあるんだな」と思ってもらえると嬉しいです)

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