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鈴木敏夫がいる限り、映画製作の灯は消えない

「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、ついに宮﨑駿さんの一挙手一投足が取り上げられた。

完全ノープロモーションで上映された、宮﨑駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」。

こんなに語ってもいいのかという驚きと、そこまで赤裸々に語ることでフィクションを楽しめなくなるのではという懸念が混ぜになっている。

それでも宮﨑駿という人間は、もはや日本国内における「宝」のような存在だから、彼の言動を取り上げることの意義は十分あるだろう。文字通り、制作に関わった荒川格さんが人生を賭けて密着したわけで、その仕事ぶりには惜しみない拍手をおくらざるを得ないだろう。

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でも、今回のドキュメンタリーでちょっと影の薄かったのはプロデューサーの鈴木敏夫さんだ。

というかむしろ、このドキュメンタリーでの見せ方そのものも、鈴木さんがほぼほぼコントロールしているのでは?と感じることも多かった。

例えば「宮﨑駿と高畑勲の関係性」。ある意味で今回のドキュメンタリーの主役は高畑勲さんであり、高畑勲さんのリブランディングとしての効果も大きかったのではないか。(「宮﨑駿すごい」となればなるほど、そんな彼が畏怖する存在である高畑勲は神のような存在になっていく)

KADOKAWAが2020年に刊行した『ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』には、こんな表記がなされている。常々鈴木さんが語っている、プロデューサーの役割(存在のあるべき姿)についてだ。

ジブリ作品は、作家と編集者がそうであるように、監督と鈴木との対話や、ふとしたきっかけによって動き始めます。映画が生まれる瞬間は、監督とプロデューサーが作るのです。鈴木は、ときに創作意欲を刺激し、ときに寄り添い、ときに議論を戦わせ、そうやって高畑勲・宮崎駿両監督との信頼関係を築き、共に映画を制作してきました。
そういった鈴木の働きは、資料や記録には残りません。世間では、資金集めや宣伝戦略のような部分ばかりが注目されますが、鈴木のプロデュースの真髄は、表には決して見えない部分に多くあるのです。

(永塚あき子(編)(2020)『ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』KADOKAWA、P90より引用)

現在、鈴木敏夫さんは75歳。

2024年には70代後半に突入する。アラサー、アラフォー、アラフィフをはるかに上回るアラエイ(around 80)だ。

彼が健在な限りにおいて、映画製作の灯は消えないだろう。

クリエイターの伴走者。いくらドキュメンタリー番組において出演時間が短くとも、この言葉が伊達でないことは自明であった。今から宮﨑駿の次回作が楽しみでならない。

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