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「コミュ障がやめたほうがいいこと」を当事者としての経験から深掘りしてみる


https://x.com/trivia_hour/status/1578190111774162944?s=20

昔、Twitterで「コミュ障」に関する面白い投稿を見つけて保存しており、先ほどフォルダの整理をしていた折に発見しました。

今見返してみてもシンプルかつ非常に有益だと思える内容だったので、ここでご紹介しつつ、私見を交えながら更に深掘りしてみようと思います。

1と2については単に短文発信としての「掴みの面白ネタ」だと思うので真面目に取り合わないとして、3~7の内容は個人的にかなり的を射ているように見えます。


3.「はい」「そうですね」のみ

まずは3にある、質問に対する「はい」「そうですね」のみの返答についてですが、これはコミュ障の人が意識せずに多用している方法だと体感しています。

私もかつてはこれを多用し、コミュニケーションを大幅に気まずくさせてしまっていた過去があります。だいぶ遅れて気付いたのですが、「はい」「そうですね」という返答は、受ける側すると「この話題は止めましょう」という提案に映っています。その後すぐに考える素振りを見せて、続けて言葉を切り出そうとする場合はその限りではないものの、そうせずに黙ってしまう場合は「会話の打ち切り宣言」として効果を発揮してしまうのです。

「はい」「そうですね」"のみ"の返答が正常に作用するのは、クレーマー対応などとにかく聞くに徹さなければならない状況や、仕事場での業務的な報告をしあう場合に限られてくるのではないでしょうか。

★対策

そもそも何故、人が「はい」「そうですね」のみの返答をしてしまうのかというと「過度の緊張で言葉が出なくなっている」または「会話の展開に付いていけていない」、大方これらの状況に陥っていることが原因ではないかと予想されます。

前者であれば「自分の緊張状態を気にし続ける」という意識の集中が更なる緊張を招いてしまっている為、緊張とは独自の功利があって人間に搭載された機能に過ぎないと割り切った上で「きちんと緊張しながら話そう」という態度に切り替えることで解決がし易かったです。

後者の場合は、一度相手に立ち止まってもらい、自身の理解が追い付いていないことを相手に正しく伝えられることが望ましいです。私の場合、体調不良や緊張が原因となって会話に付いていけていないことも多く、その際には「会話に付いていけていないこと」「その個人的な理由」を適切な言い方で伝えるように心掛けてから、コミュニケーション上の不具合は大きく改善されました。

アルカイック女子高生:
「『きちんと緊張しながら話そう』とはまた斬新な発想ですね。かの有名な森田療法(神経症治療の大物、森田生馬先生が考案した方法)を彷彿とさせられました」

ホロ9:「はい、そうですね」

アルカイック女子高生:「おい」

4.相手に質問させるだけの会話

「相手に質問させるだけの会話」というものも当然、コミュニケーションが上手くいかない方法です。こちらから話題を振る、質問を返すことをしない場合、相手側に接待を求め続けるという謂わば「客とサービス」のような空気感に陥ってしまいます。

相手側の負担が大きく、これがあまりにも続くと幾らベテランの営業職でも冷や汗を流しながらたじたじしてしまうことでしょう。「話題を振ってくれないのは、自分が嫌われるせいだろうか?」という風にも誤解を与えてしまいかねません。

とはいえ、これもまた過度な緊張状態で言葉が詰まっている際にも起きがちで、私もネットで他人とのコミュニケーションに踏み出した初期の頃は、しょっちゅうこの「接待を求め続ける態度」に陥っていました。

★対策

例えばですが、「えっと、そうですね。う~ん……」という風に声に出して、「自分は意図的に黙ったのではなくて、ちゃんと考えていること」が相手に伝わる素振りを出すよう心掛けてからは、かつてのように目に見えて相手を困らせてしまうことはほぼ無くなりました。まだ上手く人と喋れない段階であっても、「なんとか喋ろうとしている態度」さえ相手に伝われば、会話全体の緊張感や、相手の焦りといったものが大幅に解消される筈です。

コミュニケーションとは自分の意見や状態を「文字や言葉として相手に伝えること」だという本質が見て取れる部分でもあります。相手への敬意や、場に応じた言い方さえ心がければ、時にはそれがネガティブな内容であっても双方の仲を深めるきっかけと成り得ます。

相手の誤解が解けた後は、会話の中で気になる部分や興味を持った部分、または相手がどうしても話したそうにしている部分に対して、こちらからも積極的に質問をしてみることが有効です。

アルカイック女子高生:
「お久しぶりですね、ホロ9さん。元気にされていますか?」

ホロ9:
「まあまあですね」

アルカイック女子高生:
「……」

アルカイック女子高生:
そういえばこの間、YouTubeチャンネルを開設されたとか。楽しんでいらっしゃいますか?

ホロ9:
「まあ、普通ですね」

5.自分が質問したのに膨らませない

アルカイック女子高生:
「ホロ9さんってnoteもされているんですね。どういう記事を書かれているのですか?」

ホロ9:
「主にひきこもりに関する記事を書いています。あとは個人的な趣味である健康情報の発信をすることも多いですよ」

アルカイック女子高生:
「そうなんですか」

ホロ9:
(じゃあ、なぜ聞いた……)

このように、「質問をしておきながら膨らませる気が無い」という態度も相手側の違和感、不信感を生じさせる悪因となってしまいます。聞かれた相手側からすると、「なぜ聞かれたのかな?」「何かマズイことでも言ったかな?」という疑問で一杯に。最悪の場合は、何も考えずただ気まぐれで喋っている人だと思われ、不審がられてしまいます。

★対策

相手の要素の一つが気になって聞いてみたは良いものの、今の自分の知識では膨らませる手立てが無かった……ということも実際問題あるかと思います。

例えば、上司がオシャレな柄のネクタイを締めているのを見て、「そのネクタイ、最近買われたんですか?」なんて質問を振ってみたところ、実は昔から持っていたし、自分が全く知らないブランドのものだったという場合は一瞬返答に詰まるかも知れません。しかし落ち着いて考えれば、案外簡単に次の一手は見つかるものです。「なるほど、そうでしたか。あまりに似合っていたのでつい聞いちゃいましたよ」という風に、出だしに戻って「質問をした動機」を伝えることで、「何故聞かれたのかな?」という怪訝を払拭し、言葉を続けることも出来ます。

6.目が合うとすぐに逸らす

たまたま目が合って、そのままじっと相手を凝視し続けるというのも明らかに不自然ですし、目を逸らすこと自体は悪い事ではないと思います。

★対策

ただ即座に逸らすと「自分は嫌われているのかな?」または「何か後ろめたいことでもあるのかな?」という印象を相手に与えてしまいかねないので、軽く会釈をするという過程を挟んで目を逸らす方が無難です。

7.話題に困ると携帯を使う

その後、本当に偶然共通でハマっているスマホゲームでも見付かれば話題が盛り上がりそうですが、コミュニケーションの選択肢としてはかなりのギャンブルです。

「話題に困っている」という前提から来る苦肉の策だとは思いますが、コミュニケーションの土台である相手との「時間の共有」「意識の共有」を部分的に打ち切るという面でも、その後会話が弾んで取り戻せたり、相手と仲良くなるということはほぼ不可能になるのではないでしょうか。

自分が携帯を使い始めると、「おっと、それじゃあ自分も……」と相手も携帯を触り始め、お互いに自分だけの世界に埋没してしまうことがほとんどでしょう。気付いた頃には「今日はそろそろ帰りましょうか」という事態に。

★対策

相手との仲を深めたい場合は、携帯(スマホ)に逃げたくなる気持ちをグッと堪えて、今日あった出来事や、お互いの関心事についてを改めて共有し合ってみることをオススメします。

おわりに

以上、「コミュ障がやめたほうがいいこと」という人気ツイートに関して、コミュ障当事者としての実体験を交えながら深掘りしてみました。

元々が今よりもだいぶ重度のコミュ障だった私ですが、訓練の内にこれらの壁にぶつかっては周囲の手も借りながら、徐々に対処できる確率を上げていきました。

元がSNSでの発信ということもありやや俗っぽく書かれたツイートではあるものの、列挙されている内容は実に的を射たものが多いと感じられたことが、今回取り上げてみようと思った決め手となりました。

遥か古代より変わらず、他者と関わることが社会的にも生物学的にも重視される人間という種族にとって、コミュニケーション能力とは人生全体を左右する重大要素です。しかし悲しいことに、現代では民間の争いや不利益の大半が単に双方の「コミュ障」から引き起こされている事例が数多く観測されています。自然にいけば万事上手く進み、関わる全員に功利をもたらしていた筈の空間が、たかが「コミュ障」で阻害されるというのはあまりに勿体なくはないでしょうか。

かくいう私自身もまだまだ「コミュ障」を完全に抜け切れてはおらず、今もなお奮闘中です。体調によってはツイートで指摘されている状態に陥ってしまい、相手を困らせてしまうこともありますが、それでも経験を重ねるに連れて着実に良くなってきているのを感じます。同じく「コミュ障」改善に燃える同志たちにとって、この記事が幾らかお役に立てば幸いです。


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