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【竜が最後に帰る場所】恒川光太郎 読書感想

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
ホラー小説愛好家です。

今回は恒川作品を嗜んだので感想を書きたいと思います。
やっぱり、恒川ワールドは最高である。まずは概要から

しんと静まった真夜中を旅する怪しい集団。降りしきる雪の中、その集団に加わったぼくは、過去と現在を取り換えることになったー(「夜行の冬」)。古く湿った漁村から大都市の片隅、古代の南の島へと予想外の展開を繰り広げながら飛翔する五つの物語。日常と幻想の境界を往還し続ける鬼才による最重要短編集。
魔術のような、奇跡のような。稀有な才能が描く、世界の彼方ー今、信じている全ては嘘っちなのかもしれない。

あらすじ

やっぱり期待を裏切らない、恒川ワールド!最高に面白い。いや、面白いという言葉で片づけるには勿体なさすぎる。五篇あるので、それぞれの作品の中で個人的に好きな三篇の感想を書きたいと思う。

迷走のオルネラ

この作品は恒川先生としては、少し異端な作品だと言えるだろう。
ファンタジー要素も入っているが、どちらかというと、ダーク寄りだと思う。オチは衝撃的である。影の主人公、宗岡は最低最悪の野郎で救いようがないどうしようもない人間だ。そんな宗岡にも天罰が落とされる‥・

この作品に出てきている女の子、コジマ。この女の子の考え方は、共感できるものが多くあり、恒川先生の思想を受け継いでいるのかな?と疑問に思った。そんなコジマの好きなセリフを残しておく。
「神でも愛でも平和でも仁義でもなんでもよ。どうしてかといえば、ただ生きるだけで一生を終えるより、何かに人生を捧げたほうが上等な気がするからじゃない?みんなやっきになって旗を探している‥」

夜行の夜

恒川先生らしい作品である。主人公・ぼくはどうなったのかはぜひ作品を読んで確認して頂きたい。さて、もし本当に【夜行】の列、錫杖の音がしたら外に出るだろうか。勿論出る、過去になんて未練はないのだ。歩きまくって、色々な世界を見たほうが楽しそうだし‥(単純な考えですね)

鸚鵡幻想曲

きました、この作品で一番好きな短編である。あなたは【偽装集合体】ご存じだろうか。もし、知っているという方はご一報願いたい。さて、僕はこの作品を読むまで【偽装集合体】というワードすら知らなかった。それもそのはず、恒川先生が作り出したものだから、読むまで知らないのは当然である。しかし、この作品、もしくはこの感想を読んでいる方は【偽装集合体】というワードを知ってしまった。さて、この世の中に【偽装集合体】は存在しないと言い切ることは出来るのだろうか?否、出来ないと思う。この世には、科学では証明できないことが沢山ある(と、勝手に思っている)。生きている内に、夜行か偽装集合体をお目にかかりたいモノである。

読了日2023/6/1

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