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経営を考える ~ 商売は「ことば」に始まり、「ことば」に終わる

そうであるのに、実際は経営において、「ことば」というものが、実に軽視されている。
例えば、地上波やネット上のコマーシャル。
これが、「心に刺さった!」という人などいるだろうか?

営業メールや葉書、チラシなども然り。
なんらかの情報にはなるかもしれないが、「心に刺さる」ことなど、まずあり得ない。

何故かというと、それらは全て「不特定多数」に向けられたものだから。
当たり前と言えば、当たり前の話。
全てに向けられた「ことば」など、「調子のいいことばかり言って!」という不快感を買うか、或いは全く何とも思われずにただスルーされていくだけだろう。

それなのに、「安い」とか「お得」とか「期間限定」とか、そんな言葉ばかりに長い推敲の時間とお金をかけて、それだけの対費用効果はあるのだろうか?
大企業であれば、元は取れるかもしれないが、大半を占める、中小や個人では、体力そのものを圧迫しかねないから、なかなか問題は深刻である。
セールスの「ことば」を、基本から精選する必要があるだろう。

①まず、調子のいい事ばかりを並べ立てることは、時に逆効果であることを知ろう。

ChatGPTという最先端のAIに乗っかれば、上手い文言をすぐに作ってもらえるから、商売に役立つ?儲かる?
あきらかにAIが作った文章・文言などに、あなたはクラっときますか?
「よし、買おう!」となりますか? なるわけないですよね。


②例えば、お店に入った時など、どういうシチュエーションの時に、「いい店だ!」などと思いますか?

もちろん、SNSで評判の店に行って、なかなか美味しかった時など、
「なるほど、おいしかった!」とは思うかもしれませんが、その店の「ファン」にまで成るか?と言うと、それは別問題ですよね。


①:について
いいことばかりではなく、正直にマイナスなこと、ウィーク・ポイントも書くべきです。
顧客は「なるほどね」と参考になる以上に、正直に情報を伝えている店側の姿勢に対し、注目することになります。
その上で、「でも、その欠点を出さないよう、補って余りあるようなサービス、付加価値を心がけて頑張る所存です!」と結んでおけば、かなりの信用を得ることになります。


②:について
あなたがお店に入った時に、どういうことをされれば、一番不快になるでしょうか?
「味がまずい」「コスパが悪い」「店員の態度が悪い」等でしょうか?
まず第一に、「店に来たのに、無視されている」ということがまず最悪ではないでしょうか?
何かのきっかけがあって、せっかくその店に来たのに、そんなことをされれば、たとえその後どんな美味しい料理が出てきても、「美味しい!」なんて、とても思えないでしょう。
つまり、誰もが「この世に唯一無二」の自分に対して認識して興味を示し、尊重してほしいわけです。
誰にでも同じことを機械やAIが言うのではなく、人間がその人個人に対して、です。

これは、何十年も前の話。
外国を妻と旅した時、時に我々日本人はひどく冷淡に扱われることがあります。
いやそういう風に扱われているような気がして、ひどく寂しくなる時があります。
ニューヨークのマクドナルドでは、ガムをくちゃくちゃ噛んでいる女の子が、ハンバーガーをしかめっ面で、ぽいっと投げてよこします。
フランスでは、店に入っても放っておかれ、フランス語のメニューしか見せないなんて嫌がらせのようなことも。
そんな同時代に、イングランドのある田舎のレストランでは、非常に若い女性店員なのだけど、私たちが会計をしたいと立ち上がると、すぐに気づいてニコッと微笑み対応してくれたことがありました。
もちろん、私たちはすぐに、その店員さんのファンになり、店のファンになり、ついにはイングランドそのものファンにもなりました。


「ことば」。
話し言葉も書き言葉もあるが、このイングランドの小さなレストランの女性店員のように、自分の店やサイトに来てくれた人の、まず個に気付き、興味を示し、尊重すべきでものとした上で用い、それを商いの原点とするべきであろう。



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