はじけたいのにはじけることができないシビアの現実逃避

いいかい、
今日からぼくは新しい自分になる
この誕生の瞬間!
太陽はぼくだけを照らし
ぼくの中にある暗闇は幕を閉じた

夜が来たって平気さ
月はおしみなく柔らかいヒカリを
ぼくの頭に降り注ぐのだ
まるでコーヒーにうかぶなまくりーむ
みたいに、穏やかに
そして、なめらかに

あははは
変われるって素晴らしい
新しい人生を始めることは
こんなに簡単なことだったのか
これまでの自分は本当の自分じゃない

さあ
過去の自分を振り返らずに
ぼくは自分自身を解放して
これまでよりももっと
力を抜いて生きていくのさ
人生は楽しんだもの勝ちだよ
ほら、ごらん
時計の秒針はぼくと共に歩いている
いいや
まるでスキップしているようだ

さあ
カーテンのすきまから見える狭い世界を
覗き見るような人生とはおさらばだ
誰の目も気にしなくていい
たとえ雨の日だって
ぼくは傘もささずに外へ出て
降り注ぐすべての苦しみをも受け入れよう

ところがぼくは
大事なことを忘れていたのだ
これまでにぼくが他人に
してきたことを
ゼロにすることなんかできないんだってこと。。
ぼくは他人に厳しく生きてきた
そう、もちろん自分にもね。
今更その何十年も積み上げてきた行いを
リセットして
新しい人生を歩もうとすることは
もしかすると
容易いことではないのではないか?とね。

ああ、太陽はあんなに照っているのに
月光はあんなに優しくわたしを包み込むと
いうのに
ぼくだけが
自分だけが敵なのだ

だがしかし
もがくのはやめよう
「変わりたい」そう思えただけでも
きっと新しい人生のドアは用意されている
はずだから

そう
これからもわたしは
自分の中にあるシビアさと共存し
決して浮かれず
はじけず
人生の階段をひとつずつ登っていくのだ
ゆっくりと、着実に。

しかし
それこそが"シビア"という名に値する
生き方であろう

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