人前でこんなに泣いたことはないんじゃないか
というくらい先生の前で泣いた
涙も鼻水もわけがわからないくらい

なんの整理もできていない
ただただ悲しい
悲しくて涙が出る

30分くらい泣いただろうか
少し落ち着いてきて
なぜ付き合えないことになったのか問い詰めた

「付き合っている人がいる」
と答えた

最低にも程がある

頭の片隅に
そうなんじゃないかという不安はあった
返ってこないメールや
出なくなった電話

でも信じたくなかったから信じなかった
馬鹿みたいに待っていた

付き合ってる人は、あの若くてかわいい副担任だった

ほらね、言ったでしょ
怪しいって

昔から勘だけは働くのよ
17歳のくせにそんなことも思った

そして極めつけは

「最後に…していく？」

だった

冗談？

そこでわたしが「うん」と返事したら
本当にするの？

まだプライドが少し残っていたわたしは
「しないよ」
と言って、さよならした

家に帰ってからは、思い出しては泣いていた
家族に心配されないよう
夜中に泣いた

2日後卒業式だった

わたしにはミッションがあった
先生と写真を撮ること

最後の思い出にツーショット写真が欲しかった

みんなで卒アルに寄せ書きしたり
色んな人と写真を撮ったり
高校生活最後の思い出に浸った

そして帰る前に、事情を知る友達に協力してもらい
先生を探す

教室の前にいた

でも先生の前には、泣きじゃくっている女の子がいた

ああ、あの子も先生のこと好きだったのかなぁ
と思って少し時間を置いた

30分後、職員室で捕まえた

なるべく明るく笑顔で

「先生、最後だから一緒に写真撮って欲しい」

「いいよ」

ちょっと驚いた顔してたけど
ふたりで並んで撮れた

私の顔は引きつっていたけど
宝物ができた

これで本当に最後

「ありがとうございました！さようなら！」

ちゃんと言えた

そこからずっと先生との思い出に浸る日々

失恋の曲聴きながら、たくさん泣いた
思い出に浸りたかった
いつまでも思い出の中にいたかった
どうしてあのとき…
あんな喧嘩しなければ…
とたくさん出てきた

せめてもっと早くフッてくれてたら
わたしの傷は浅かったのかもしれない

楽しかった高校3年間の中身は
ほとんど先生とのこと

ふざけあってたこと
廊下で目が合って笑い合ったこと
電話で話した翌日の照れくささ
好きになってからずっと探してる先生の車

片思いでもいいから
まだ教室にいたかった
明日も先生を学校で探したかった
目で追いかけたかった
もうそれすらできない

わたしから先生を取ったら
何も残っていなかった

なかなか失恋から抜け出せないわたしは
たまに先生にメールをした

でも返ってはこなかった

そしてこの恋は終わ…
　　　　　　　　　　　　　　　　らなかった！

大学編へつづく

#5先生と生徒大学編 　につづく