【作品形式】エッセイ・朗読・1人読み（男女不問）
【文字数】約716字
【目安時間】約3〜5分

＊朗読など。ご自由にお使いください。
＊配信や上演のご連絡を頂けると喜びます✨

朝、どうにも動けないことがある

仕事も日常生活も
何もかも

体が重くて、億劫（おっくう）で

行動できない

そんな時は
簡単にできることから手をつける

そう、例えば…珈琲を淹れる

兎印（うさぎじるし）の赤色のやかんに水を入れて、火にかける

注ぎ口がスリムで、ぷくっと丸みのあるホーロー製
我が家の調理器具の中で、稼働率ダントツ1位のお気に入りだ

ここまで・・・約10秒

豆の保存容器はマットな黒色の缶
蓋を開けて、深呼吸する・・・
すーっ・・・はぁー・・・

銅製の計量スプーンに山盛り2杯
ミルに入れて粗めに挽く

ハンドルを回す
クルクル、クルクル

豆を挽き終わるまで・・・約90秒

ペーパーフィルターを棚から取り出し
紙の片端を折ってドリッパーにセットする

KONO（コーノ）式の円錐（えんすい）ドリッパー
素人でも余計な苦味や渋みが出ない優れもの

フィルターに挽いた豆をパサッと入れて
また深呼吸・・・

ここまでで・・・・約2分

お湯が沸いたら、火から外して5秒待つ
目安は85℃から90℃

落ち着いたと思ったら
全体にお湯が行き渡るように
優しくお湯を注いでいく

やかんを火にかけ直したら
ふわっと膨らむ豆を眺めながら蒸らす

やかんの火を止めて、狙いを定める
真ん中から、少しずつ少しずつ
細く長くお湯を注ぐ

ふんわり上下する珈琲豆のドーム
2分かけてゆっくりと

音と
湯気と
香り

さぁ、出来上がり

およそ5分の至福の時間
このひと時が
スイッチのないマイ・スターター

大ぶりのマグカップにたっぷり注ぎ
熱々の液体を口に含む

カップを片手に持ったまま
オーディオの電源を入れて音楽をかける

リモコンで音量を上げる
体を揺らし、リズムに乗ってみる

窓を開けて、背伸びをしたら
鳥の囀（さえず）りが聞こえてきた

さて、何から取り掛かろうか

＊最後までお読み下さり、ありがとうございます☆お題企画『珈琲』に掲載しております！