そこに「人」がいるから

投資関係の方に「国債や商品、あるいは先物と比べて、株は『生っぽさがある』。株の生っぽさが投資する人の感情を掻き立てる」と伺った。

株のうしろに具体的な会社があり、そこに社長はじめリアルに人がいる、と感じていると、投資する側も感情が出やすい、という趣旨だった。損失が出た時に感情的になる具合が違う、みたいな。

これ、例えばSNSも同じ構造よね。そのアカウントの後ろにリアルなひと、具体的な会社があると思うから、絡んだりする。リアルな人が読んでくれると思うから、感情的になる。

後ろにいるのが機械だと思ったら、そこまで絡まないのかも。google echo とか Alexa に対して「炎上」しにくいと思うんだけど、どうなんだろう。

株もSNSも、表面が無機質で抽象的、だけどその後ろに生身の人がいると思えるもの。

感情が掻き立てられるのは、「他者は私の気持ちを分かるはず、分かるべき」と期待してるから。期待が少しでも裏切られると、怒る。

この「怒る」という感情なんだけど、ネガティブな状況に対して、人の反応は大きく分けると「攻撃する」か「逃げる」かに分かれると、脳科学に詳しい人に教えてもらったことがある。株やSNSで人が反射的に怒る=攻撃に出るのは、表面の無機質さ故に「相手が傷つく様子を想像できない」から「攻撃しても平気」になっちゃうんだろうなあ。

この「相手が傷つく様子を想像できない」から「攻撃しても平気」になる構造について、興味深いエピソードを、こないだ、ある本で読んだんです。

冷戦中、東西陣営の間で核装備競争が激しかった時代、アメリカでは「大統領がうかつに核ボタンを押さない工夫」も研究されていたらしい。そこで出された案の一つが「核ボタンを押す前に、大統領には無実な人をひとり、殺してもらう」というもの。核爆弾を落とせば何十万人もの無実の人が命を失う。「相手が傷つく様子を想像できない」から「攻撃しても平気」になるわけ。そこで、一人自分の手で殺すという「生っぽさ」を導入してはどうか、という考えなわけですね。

ちなみにこの提案は「大統領の判断を歪める」という理由で却下されたそうです。

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篠田真貴子

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