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お稽古場探訪⑥【辰巳和磨 先生】鳩森八幡神社の能楽殿

宝生流能楽師の先生とお弟子さんに
能を「習うこと」の魅力をお話いただきます。

「能を習ってみたいけど、誰に習ったら良いか分からない。
先生の雰囲気を知りたい。
稽古場の情報を教えてほしい。」

という方はぜひご参考にどうぞ!

第6回目は
辰巳和磨(たつみかずま)先生です。
鳩森八幡神社の能楽殿でのお稽古についてお話を伺いました。

■辰巳和磨 Tatsumi Kazuma
シテ方宝生流能楽師
1990年、東京都目黒区生まれ。辰巳満次郎(シテ方宝生流)の長男。1994年入門。19代宗家宝生英照、20代宗家宝生和英に師事。初舞台「鞍馬天狗」花見(1995年)。初シテ「殺生石」(2014年)。「翁」千歳(2016年)、「石橋 連獅子」(2019年)を披演。

──和磨先生の稽古場情報を教えてください。
私の会は「宝珠会」(ほうじゅかい)と言いまして、月に3回、火曜日に鳩森八幡神社の能楽殿でお稽古しています。

この能楽殿は朝9時から夜9時まで使えるんです。宝珠会ではお昼頃からお稽古しています。お勤めの方は夜にいらっしゃることが多いですね。
稽古時間はその人によりますが、だいたい30分くらいです。謡だけの方、仕舞だけの方、両方習っている方など様々いらっしゃいます。

宝生会が開催している「宝生流謡曲仕舞教室」の火曜・木曜教室という初心者向けの教室がございまして、2年前まで私は火曜教室を担当していました。私が内弟子を卒業した後、火曜教室に通っていたお弟子さんが、こちらの鳩森八幡神社でのお稽古に移ってくださって、今も教えています。

父・辰巳満次郎の会は「あまねく会」というのですが、父が全国のいろいろなところを飛び回っているので、私も勉強を兼ねて月に3回あるうちの1回を父の代わりにこちらの能楽殿で教えています。初めて私がお弟子さんに教えさせていただいた場所なんです。

──稽古場の特徴を教えてください。
野外にございまして、能舞台ならではの屋根もあります。ガラス張りになっており、薪能のときには全部外せるんですよ。ちなみに、防弾ガラスです(笑)。夜になると反射して鏡のようになるので、自分の舞っている姿が見やすいです。

舞台付近にはベンチがあるのですが、お昼時にはそこでお弁当を食べながらお稽古の様子を見ている参拝のお客さんもいます。外から稽古風景を見て、お稽古を申し込まれた方もいらっしゃいました。ここでお稽古するお弟子さんは、人から見られるということに慣れていくかもしれないですね。

──和磨先生のお稽古で大切にされていることは何ですか。
私も教えることに関しては初心者なので、人に教えるということは、自分が習うことだと思って、考えながら教えるようにしています。

お弟子さんのほとんどが私より年上の方なので、人生の先輩なんですが、その方々に教えるというのは、とても気を遣いますし、慎重に教えるようにしていますね。
私の会には結構初心者の方が多いのですが、父のあまねく会には、私よりずっと長くお稽古されていて、私の祖父から教わっていた方が多いんです。それも緊張しますし、緊張感をもって教えるようにしています。

ここの稽古場の他にも父の代わりに教えている場所がございまして、上野や三島、厚木、熱海に行っています。
能楽師として、宝生流として、名を汚さないように気を引き締めて教えようとしていますが、なかなか課題を感じます。

──先生の公演情報を教えてください。
6月28日(水)に青雲会(宝生流若手能楽師の勉強会)で「羽衣」を舞います。「羽衣」という曲は初心者の方も観やすい人気曲ですよね。お稽古をなさっている方が多いので緊張します。品よく勤めたいと思います。

✨チケットのご予約はこちら✨

※入場料はございませんが、事前予約制です。

──これから能を習ってみたいと考えている方にメッセージをお願いします。
能は敷居が高いと思っていらっしゃるかもしれないですが、私は敷居が高くていいと思っているんです。能って習えるんだ、と知っていただければいいですよね。日本のお稽古事は早いも遅いもないですから、いくつになってもできる趣味だと思います。また、趣味にとどめず、お稽古を通して何か感じ取っていただければ嬉しいです。

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和磨先生のお弟子さんにインタビュー

──お稽古を始められたきっかけを教えてください。
20代の頃から能を観に行く機会はありまして、ちょうど国立能楽堂に行ったときに、宝生能楽堂でのお稽古案内のチラシをもらったことがありました。
数年前にコロナの給付金で10万円が給付されましたよね。あのときに何に使おうかと散々考えた末に、何か習い事をしたかったので、能のお稽古代に使ってみようと思ったんです。そのときは続けるとは考えていませんでした。

──習い続けている理由は何ですか。
楽しいからです。あまり家で練習しないので申し訳なくて行きにくいことはあるんですけど(笑)。
謡曲仕舞教室で習い始めたときの先生が和磨先生でした。そのときに毎週火曜日に行っていたので、そのままこちらで同じ曜日に習っています。

和磨先生の声ってとってもいいじゃないですか♪自分の番を待っているときは声を聞いちゃっていますね。

──能を習ってみて気づいたことなどはございますか。
習い事は、毎日の少しずつが基本なんだろうなと思いました。
やっていていいなと思ったのは、能は動きが静かで、ゆっくりしているところです。私は割と雑で、ぱぱっとやってしまう方なので、普段の生活にも良い影響が出たらいいですよね。

習った所作や身体の使い方は日常生活で補えると思います。
例えば、身体の倒し方。首で倒すんじゃなくて体から倒す。スマホを見るときも体全体を倒せば首が痛くならない。お稽古で教えていただいたことを日常に落とし込めるようにしています。

──発表会に参加されてみていかがですか。
自分の精神面にもすごくいいなと思います。
ウクレレをやっている友達を発表会に連れてきたことがあるのですが、大鼓の音の大きさ、謡や楽器をどうやって合わせているのかびっくりしたみたいです。


他のお弟子さんにもお話を伺ってみました。


──こちらの能楽殿でお稽古されてみていかがですか。
オープンな雰囲気が素敵な舞台ですよね。自然の中にあって、この神社は落ち着いていてすごく好きです。将棋会館も近いですし、将棋塚もあるので文化的な場所ですよね。

──和磨先生の雰囲気はどのような感じですか。
和磨先生は非常にカジュアルな感じで、ポイントをついて教えてくれます。個人ごとにやり方を変えていらっしゃるんだと思います。

──周りで能を習ってみようかと悩まれている方がいたらどのようにお声がけされますか。
伝統芸能は自分と関係のないところにあったと思っていましたが、習っていくにつれて、伝統文化に直接ふれる面白さや、他のものに興味が広がっていくことが分かりました。
僕は京都が好きで毎月のように行っているのですが、京都には、初めて観阿弥・世阿弥が義満に能を認められた場所があったり、能の曲に関する神社がいろいろあったりするので巡る楽しさがあります。

お稽古では、謡でお腹の底から大きな声を出して、仕舞で普段やっていない動きをやるので、すごくリフレッシュできると思います。


インタビューにご協力いただきありがとうございました!


インタビュー日時:5月9日(火)、鳩森八幡神社の能楽殿にて。

【おまけ話】
鳩森八幡神社には富士塚がございまして、頂上から能楽殿を眺めることができます。
ぜひご登拝を✨

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