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通勤電車の優しいひと


もう終電近く。

話す人も少ない
静かに揺れる通勤電車。

立っている人は
ぽつぽついるくらいで
比較的すいていました。

私の隣には少し体調が悪そうな
女性が座っていました。

何駅か動いたところで
女性が急に嘔吐。
私は、驚いて
自分の大きめリュックに
手を入れたものの、袋がない。

どうしよう…と
思っていたところ、
前に立っていた
見知らぬお兄さんが
さっとビニル袋を出し、
無言で女性に手渡しました。

それもビニル袋は黒。
すごい!

それから
電車はすぐに駅に着いて
女性は出て行って、
お兄さんは別の席へ。

私は何もできなくて、

お兄さんのおかげで
その場は静かに過ぎました。
とっさの行動が優しい。

女性は必要以上に
恥ずかしい思いも
しなくて済んだと思います。

誰だって体調が悪くなる時は
あっておかしくないし、
仕方ないときは
どうしようもないから
少しずつ助け合うのは
だいじなんだと思いました。
全員他人同士でも。

みんなお疲れの下り列車

かっこいいって
こういうこと。


aoi314