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女性議員を増やすにはクォーター制しかない!?

少し前のことですが、時事通信が「女性擁立、与野党が支援策」を記事にしていました。記事の中では「政府が2025年に各党の衆議院議員候補の35%を女性にするという目標を立てていること」「自民党は10年後の2033年までに国会議員の30%を女性にするという目標を立てていること」などが紹介されています。

女性ゼロでは通用しない海外

海外でジェンダーバランスの現状がどのように捉えられているかを象徴的に表すエピソードを紹介します。ヨーロッパから帰ってきた学者の方によると、ここ数年は共著で出版する場合に筆者の半分が女性でないと出版社が受けてくれないようになってきたというのです。シンポジウムでも「パネリストの半分は女性」という暗黙の了解があり、あるとき女性パネラーが体調を崩してパネラーが全員男性になってしまい、パネルディスカッションそのものが中止になったこともあったそうです。

アジアにおいても女性の活躍が目立つようになってきました。ASEAN諸国の政治家や官僚と会議で一緒になると、日本側だけ男性ばかりで気まずい雰囲気になることがあります。ジェンダーバランスの面では、日本が世界に取り残されているのが現状です。

政治から女性の昇進を後押ししたい

ジェンダーギャップ指数が取り上げられることがありますが、女性の教育の機会や健康において日本は世界トップクラスで男性との差はありません。最大の課題は女性の社会的地位(経済、政治、行政などの分野)の低さです。

各党は手をこまねいて見ているわけではありません。自民党では女性候補に対しては100万円別途支給するという制度ができましたし、ベビーシッターに対する補助やハラスメント対応も強化しています。ただ、これらの取り組みによって女性政治家が増えるとはどうしても思えないです。

衆議院にクォーター制の導入を

個人的な意見ですが、女性政治家を確実に増やすためには衆議院でクォーター制度を導入するしかないと思います。参議院の全国区の候補者を増やすという方法もあるのですが、当選は相当ハードルが高いですし、閣僚の数や総理の可能性を考えると衆議院でジェンダーバランスを変える方が近道です。

クォーター制度とは、候補者を一定の割合を女性にすることですが、小選挙区で女性候補者を揃えても当選者の数で割合を維持するのは相当に困難です。女性の衆議院議員を早急に増やすためには、比例区でクォーター制を実施するしかありません。

整理しなければならないのは、衆議院比例区の議席は誰のものかということです。これまで自民党は基本的に衆議院候補者を比例名簿で同列1位に並べて、小選挙区の惜敗率の順で当選させてきました。小選挙区で頑張れば、たとえ負けても当選確率が上がるという仕組みです。政治家の側からすると「フェアな制度」ということになるのですが、有権者の側からすると選挙区で敗れた候補が比例で復活するという仕組みは分かりにくい。

各党の比例区の議席数は、有権者が比例区でその党名で投じた票の数で決まります。これまでは比例区の議席も政治家個人のものとして扱われてきた面がありましたが、私は比例区の議席はあくまで党の議席であると捉え直すべきだと思います。

私が推すクォーター制度とは、各党が女性候補を優先して当選させることを党の意思として明確にした上で、比例区の上位に女性を並べるという方法です。比例区で特定の女性候補を連続して当選させるというわけにいかなければ、選挙区でも出馬し比例区で優先的に当選できるのは2度までに制限し、その後は自力(比例優遇なし・小選挙区)で選挙を戦うというのも一案です。

政治家の働き方改革も重要

女性の政治家を増やすためには政治文化そのものを変えていくことも必要です。率直に申し上げると、子育て、休暇、体調管理などを考えると政治家のワークライフバランスは最悪です。これは男女問わず問題なのですが、特に女性の政治への参入障壁を高くしていることは間違いありません。

政治家の働き方改革は、政治そのものを変えることでもあります。選挙のやり方や、永田町で様々な政策決定が夜に「寝技」(裏の打ち合わせ)で決まる政治文化も変えるべき時期が来ていると思います。


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